《高欄に佇む、千載を距てた染で》叉
篳篥ひちりき
偶然、染橋で同じ経験をしたと會ったその晩。
既に、その前に見た夢の記憶は橋から帰る間にほぼ消えていた。それは今迄の経験通り、夢の記憶が消えまた新しい夢を見る。
その繰り返し。
恐らく今晩も、また新たな夢を見るのだろうと……  ただ今回は、と橋の上で時間を過ごしていた。それが何か影響があるのか、無いのか。
と二人で居た為、もしかして二人で同じ夢を見るのでは?等と、んな事を考えながら眠りについた。
々考えていた割には、眠りにつくのが早かった。
朝。
普通に朝を迎えていた。
夢では無く、現実の朝。
初めて染橋に行った後に夢を見なかった。
やはりあのと會った事が何か関係あるのだろうか。
夢を見なかった事が、し足りない気分ではあったが、これでようやく夢と橋の無限ループから解放される安堵が優っていた。
朝ではあったが今迄とは違い、夢を見なかった事を報告と夢を見なかった事が自分だけなのかを確認する為、に連絡をしてみた。
「朝早くすいません。どうでしたか? 
夢は見ましたか? 自分は見ませんでしたが…… 」
「私も見ませんでした。お互い見なかったのですね。あの橋に行って夢を見なかったのは初めてで…… もう見る事もないのでしょうか? 」
「どうなんでしょう。それは…… 何とも。ただ自分もあの橋に行って夢を見なかったのは初めてなので…… もう見ないかもしれませんね」
「何か…… あそこで會った事が、夢を見なくなった事と関係があるのですかね。
それとも… … 一人で居ないと夢は見ないとか…… 」
「確かに…… 今迄は一人であの橋に行っていたので考えられなくも無いですけど。
とりあえずは、夢と橋の繰り返しから解放されたので正直ホッとしてる部分もありますが…… 」
「という事だと、もうあの橋に行く事は無いのですか? 」
「……多分。今、考えてみると何故あの橋に行く事になったのか、何故あの橋に惹かれたのか不思議ですけど、もう行く理由も無いですし……」
「それは、私も同じです。何故か惹かれて……  暫くは様子見ましょうか、もう夢を見ないとは限らないですし」
「そうですね。偶々見なかっただけという事もあり得るので。何かあったら連絡して下さい。それでは…… 」
やはりも夢を見なかった。
が言っていた様に二人で居た事が関係しているのだろうか。
ただとりあえずは、あの橋と夢の事を考えずに普段の生活に戻れそうだと思った。
その後、暫く経ったが夢を見る事は無かった。何も無い普通の時間が過ぎていた為、あのと連絡をする事も無かった。
何も無い普通の日々…… なのに。
綺麗な夕を見たり、雨が降る日や風が吹いている時に何故か、あの橋の事が気になっていた。
今では あの橋に纏わる夢の事は、ほぼ記憶に無いのに……
夕、雨、風。
そして清らかな川の流れ。
寂れた…… 染橋。
それだけは、頭の片隅から離れなかった。
夏の終わりから秋にかけて起こった不思議な経験。そんな経験もかなり前の出來事の様にじる程、季節は進んでいた。
無論あの橋にも、あの橋で出逢ったとも見る事も會う事も無かった。
既に季節は、寒い冬。
寒いと言っても雪が降り積もる程では、無い地域。雪が降る事もあまり無い。
しかし今年の冬は、特に寒い日が続き珍しく雪が舞った。
舞うだけで無く、白く降り積もった。
ここ 二、三年無かった真っ白い景。
雪は朝から降り始め白い景に変えた後も降り続いた。
夜、遅くなっても降り続き止みそうに無い空を見て明日の心配をしながら一日を終えた。
雪が深々と降っているせいか、その夜はとても靜かな夜だった。
……
夢……
夢なのか?
あの橋が見えた。
染橋。
既にあの橋に近づく事も無かったのに、一目で染橋だと分かった。
寢る前に見ていた雪が深々と降る窓越しの空と同じ様に雪が降っている染橋。
橋の欄干には雪が積もっていて、床版《しょうばん》も薄っすら雪が積もっていた。
ただ床版には、雪の上を誰かが歩いた足跡が殘っていた。
自分は橋のり口で佇み、その足跡を見ている。
何かが変だった。
多分これは夢だろう。暫く見ていなかった染橋に纏わる夢。
橋に行っていないのに……
それよりも変だとじたのが、今迄見た夢は俯瞰で見ていたのに…… 今見てる夢は、自分が橋のり口に立っている。
夢では無いのか? 現実?
現実では無い事は、直ぐに分かった。
何故なら自分はその場に立っているのにく事も話す事も出來なかった。
自分の目で目の前の景は見ているのに。まるで…… 誰かのに自分の意思だけが乗り移っている様。
視線を上げ橋の上の足跡を追う様に、反対側を見る自分。
反対側の橋の終わりに…… 一人のが……
どことなく見覚えのあるじ。
はゆっくりこちらに歩いてくる。
自分の意思とは関係無く自分もゆっくり雪を踏みしめながら歩きだした。
橋の中央に近づくと…… 驚いた。
は、橋で出逢ったあの…… 
いや、違う。似ているが違うだった。
ただ凄く似ていた。
橋で偶然出逢ったとも暫く會っていなかったのに、直ぐに思い出した。
似ている。
似ているがこのとは面識は無い。
それでは…… 自分は、誰なのか?
二人の間を雪がゆっくりと舞い落ちていた。
篳篥 《ひちりき》    終
【書籍化】オタク同僚と偽裝結婚した結果、毎日がメッチャ楽しいんだけど!
【電撃文庫の新文蕓から書籍化・コミカライズ開始!】 相沢咲月は普通の會社で働くOLだが、趣味で同人作家をしている。それは會社には秘密だ。 ある日イベント會場で突然プロポーズされた。相手はメガネ姿のドルオタ……じゃなくて、同僚の滝本さんだった! 超打算で結婚する咲月と、打算の顔して実は咲月がずっと好きだった滝本さんの偽裝結婚の話。 少しずつ惹かれあって最後にはちゃんとした夫婦になりますが、基本的にオタクが同居して好き勝手楽しく暮らすだけです。 裏切りなし、お互いの話をバカにしない、無視しない、斷ち切らないで平和に暮らしていきます。 咲月(女)視點と、滝本(男)視點、両方あります。 (咲月は腐女子ですが、腐語りはしません。映畫、ゲーム、アニメ、漫畫系統のオタクです) 2020/08/04 カクヨムさんで続きを書き始めました。 ここには書かれていない話ですので、ぜひ読みに來てください! 2022/01/07 オタク同僚と偽裝結婚した結果、毎日がメッチャ楽しいんだけど! 1.5(番外編) として番外編をなろうで書き始めました。 話數が多いし、時系列がグチャグチャになるので新しい話として立ち上げているので 読んで頂けると嬉しいです。 2022/01/17 二巻発売しました。 2022/01/25 コミックウオーカーさんと、ニコニコ靜畫さんでコミカライズ開始! ぜひ読みに來てください!
8 115剣聖の幼馴染がパワハラで俺につらく當たるので、絶縁して辺境で魔剣士として出直すことにした。(WEB版)【書籍化&コミカライズ化】【本編・外伝完結済】
※書籍版全五巻発売中(完結しました) シリーズ累計15萬部ありがとうございます! ※コミカライズの原作はMノベルス様から発売されている書籍版となっております。WEB版とは展開が違いますのでお間違えないように。 ※コミカライズ、マンガがうがう様、がうがうモンスター様、ニコニコ靜畫で配信開始いたしました。 ※コミカライズ第3巻モンスターコミックス様より発売中です。 ※本編・外伝完結しました。 ※WEB版と書籍版はけっこう內容が違いますのでよろしくお願いします。 同じ年で一緒に育って、一緒に冒険者になった、戀人で幼馴染であるアルフィーネからのパワハラがつらい。 絶世の美女であり、剣聖の稱號を持つ彼女は剣の女神と言われるほどの有名人であり、その功績が認められ王國から騎士として認められ貴族になったできる女であった。 一方、俺はそのできる女アルフィーネの付屬物として扱われ、彼女から浴びせられる罵詈雑言、パワハラ発言の數々で冒険者として、男として、人としての尊厳を失い、戀人とは名ばかりの世話係の地位に甘んじて日々を過ごしていた。 けれど、そんな日々も変化が訪れる。 王國の騎士として忙しくなったアルフィーネが冒険に出られなくなることが多くなり、俺は一人で依頼を受けることが増え、失っていた尊厳を取り戻していったのだ。 それでやっと自分の置かれている狀況が異常であると自覚できた。 そして、俺は自分を取り戻すため、パワハラを繰り返す彼女を捨てる決意をした。 それまでにもらった裝備一式のほか、冒険者になった時にお互いに贈った剣を彼女に突き返すと別れを告げ、足早にその場を立ち去った 俺の人生これからは辺境で名も容姿も変え自由気ままに生きよう。 そう決意した途端、何もかも上手くいくようになり、気づけば俺は周囲の人々から賞賛を浴びて、辺境一の大冒険者になっていた。 しかも、辺境伯の令嬢で冒険者をしていた女の人からの求婚もされる始末。 ※カクヨム様、ハーメルン様にも転載してます。 ※舊題 剣聖の幼馴染がパワハラで俺につらく當たるので、絶縁して辺境で出直すことにした。
8 123DREAM RIDE
順風満帆に野球エリートの道を歩いていた主人公晴矢は、一つの出來事をキッカケに夢を失くした。 ある日ネットで一つの記事を見つけた晴矢は今後の人生を大きく変える夢に出會う。 2018年6月13日現在 學園週間ランキング1位、総合23位獲得
8 162クリフエッジシリーズ第二部:「重巡航艦サフォーク5:孤獨の戦闘指揮所(CIC)」
第1回HJネット小説大賞1次通過、第2回モーニングスター大賞 1次社長賞受賞作品の続編‼️ 宇宙暦四五一二年十月。銀河系ペルセウス腕にあるアルビオン王國では戦爭の足音が聞こえ始めていた。 トリビューン星系の小惑星帯でゾンファ共和國の通商破壊艦を破壊したスループ艦ブルーベル34號は本拠地キャメロット星系に帰還した。 士官候補生クリフォード・C・コリングウッドは作戦の提案、その後の敵拠點への潛入破壊作戦で功績を上げ、彼のあだ名、“崖っぷち(クリフエッジ)”はマスコミを賑わすことになる。 時の人となったクリフォードは少尉に任官後、僅か九ヶ月で中尉に昇進し、重巡航艦サフォーク5の戦術士官となった。 彼の乗り込む重巡航艦は哨戒艦隊の旗艦として、ゾンファ共和國との緩衝地帯ターマガント宙域に飛び立つ。 しかし、サフォーク5には敵の謀略の手が伸びていた…… そして、クリフォードは戦闘指揮所に孤立し、再び崖っぷちに立たされることになる。 ――― 登場人物: アルビオン王國 ・クリフォード・C・コリングウッド:重巡サフォーク5戦術士官、中尉、20歳 ・サロメ・モーガン:同艦長、大佐、38歳 ・グリフィス・アリンガム:同副長、少佐、32歳 ・スーザン・キンケイド:同情報士、少佐、29歳 ・ケリー・クロスビー:同掌砲手、一等兵曹、31歳 ・デボラ・キャンベル:同操舵員、二等兵曹、26歳 ・デーヴィッド・サドラー:同機関科兵曹、三等兵曹、29歳 ・ジャクリーン・ウォルターズ:同通信科兵曹、三等兵曹、26歳 ・マチルダ・ティレット:同航法科兵曹、三等兵曹、25歳 ・ジャック・レイヴァース:同索敵員、上等兵、21歳 ・イレーネ・ニコルソン:アルビオン軍軽巡ファルマス艦長、中佐、34歳 ・サミュエル・ラングフォード:同情報士官、少尉、22歳 ・エマニュエル・コパーウィート:キャメロット第一艦隊司令官、大將、53歳 ・ヴィヴィアン・ノースブルック:伯爵家令嬢、17歳 ・ウーサー・ノースブルック:連邦下院議員、伯爵家の當主、47歳 ゾンファ共和國 ・フェイ・ツーロン:偵察戦隊司令・重巡ビアン艦長、大佐、42歳 ・リー・シアンヤン:軽巡ティアンオ艦長、中佐、38歳 ・ホアン・ウェンデン:軽巡ヤンズ艦長、中佐、37歳 ・マオ・インチウ:軽巡バイホ艦長、中佐、35歳 ・フー・シャオガン:ジュンツェン方面軍司令長官、上將、55歳 ・チェン・トンシュン:軍事委員、50歳
8 155チート特典スキルは神より強い?
とある王國の森の子供に転生したアウル・シフォンズ。転生時に得たチート過ぎるスキルを使い、異世界にて歴史、文明、そして世界一の理すらも変えてしまう? これはとある男が10萬回、地球への転生を繰り返し集めた一億もの特典ポイントを使い、チートスキルを得て異世界にて無雙&地球には無かった楽しみを十分に満喫するお話。
8 147蛆神様
《蛆神様》はどんなお願いごとも葉えてくれる...........???--- 隣町には【蛆神様】が棲んでいる。 【蛆神様】はどんな願いごとも葉えてくれる神様で、町の人々は困った時に蛆神様にお願いごとをするそうだが……。
8 51