・・・答えが出ない。

結局、お金の使い道に関して答えが出ないまま朝が來てしまった。

カーテンから洩れる日差しが、眠い瞼を刺激してくる。

「・・ご飯食べて、仕事に行くか」

そう、今日は土曜日だけど出勤日なのだ。

何故寶くじが當たったのに、働いているかって？

俺も寶くじに當たるまでは、辭めると思っていた。

しかし、実際に當たってみると、仕事を辭める事はしなかった。

理由はいくつかあるが、大きい理由を挙げると、3つ。

１．急に仕事を辭めて怪しまれたくない

２．辭めたからと言ってやることが無い

３．何時でも辭められるとなると、今でなくても良い気がする

取り敢えず、辭める理由が出來るまでは、仕事をする事にした。

朝食のコーンフレークにバナナをぶつ切りにしてれ、牛をかけて朝食を取る。

朝食を取り終わると、椅子に掛けてあったジャケットを羽織る。

紺のチノパンに麻で出來た襟付きシャツ、上にジャケットを羽織るのがいつものスタイルだ。仕事容が、Webエンジニアなので、基本的にラフな格好でも良いのだが、急にった打合せにも対応できるようにジャケットスタイルなのだ。

・・以前、先輩がジーパンにTシャツで社外の人の対応して、めちゃくちゃ怒られていた。先輩の二の足を踏まないように、俺は最低でも社外の人と打合せをしても問題ない服裝を選んでいる。

顔を洗って、寢癖が目立たないことを確認して家を出る。

「良い天気だな～」

朝の獨特な、澄みきった空気を吸い込みながら朝日を浴びる。

ドアに鍵をかけ、歩き出す。

門を開き、外に出る。

家は一軒家なので、一人の生活にはし広い。しかし、引っ越してしまうと、急に両親が帰って來た時に困るので仕方なくそのまま住んでいるのだ。

「今日は、確か打合せがってたな」

スマフォで予定を確認しながら、歩く。

基本的に、駅までは歩きだ。

「・・ネットショップ開設の件と、既存のサイトの改修依頼か」

どちらも既に作業自は終えている。

後は、出來たサイトの確認をして貰い、問題が無ければ支払いをして貰う。

その後金を確認して、確認が出來次第引き渡しだ。

「長かった・・」

それぞれの案件の紆余曲折の出來事を思い出して、一人呟く。

まあ、それも今日で終わりだ。前回最終確認と最終調整をした。

後は納品して、金の確認が出來ればこの仕事はこれで片付く。

「それにしても、何もない場所だよな・・」

住んでいる家から駅まではほとんど何もない。

有るのは、畑と空き地で、コンビニもない。

何故こんな不便な場所に家を建てたのか、両親に聞いたことがある。

両親の話によると、ここら辺一帯は當時再開発地域だったらしい。

しかし、當時の市長が電車會社と癒著していて、本來地域一帯を開発する予定が、駅舎に無駄にお金を使い過ぎたせいで、他に回すお金が無くなってしまったらしい。

・・當然當時の市長は解任されたが、それでも先に土地を買っていた不産屋は大変な損失を出したらしい。そんな事が理由で格安にて”既に立ててしまった家”が売りに出されており、俺の両親がこれ占めたものと買ってしまったらしい。

両親曰く、「そんなこと知らなかった」らしい。

・・ニュースを見ていれば、開発が中止になった事くらい分かると思うが。生憎俺の両親は、社會の向に対して興味が薄いので、ニュースなど確認している筈もない。

そんな事を考えていたら、駅に著いたので階段を上がっていく。

・・エスカレーターも有るのだが、利用者がなすぎる為か止まっている。

改札をり、ホームまで行くと丁度電車が來たので乗り込む。

電車の中から見る駅のホームは寂しさをじるものだった。

・・広告の類が殆どない。

有っても、その殆どが保険會社の広告や銀行の広告だ。まあ、確かに”こんな場所でどんな広告を出せと言うのか”と言われると、何も言えないが。

そんな寂しいホームを目に、電車が「ガタン、ゴトン」と揺れながら走り始める。

會社がある駅まで30分ほどあるので、ゆっくり座っていることにした。

『到著、到著～お降りの際は～・・』

到著のアナウンスが流れたので、電車から降りる。

「今日も人多いな・・」

降りると、ホームに沢山の人が居る。

手を広げると必ず人に當たってしまうくらい、人が居る。

今の時間はまだこの程度だが、本格的な出勤ラッシュの時間帯になると、常に人とれているくらいに人の集度が上がる。

人が全く居ないのも寂しいが、流石に人が多すぎてけないくらいなのも困る。

就職して始めの頃は、通勤ラッシュの時間に電車で通っていたが、直ぐに參ってしまい、時間帯を早い時間にずらして出勤する事にしたのだ。

今の時間はまだそれ程人が多いわけでは無いので、問題なく改札を出る事が出來る。

改札を出ると、直ぐにコンビニに向かった。

毎朝コンビニでコーヒーを買っていくのだ。

「・・・コンビニ、家の近くにしいな」

コンビニにはあらゆるものが置いてある。

一軒あるだけで生活が楽になる。

「お、新発売か」

冷蔵の飲みコーナーに行くと、新商品のタグが付いている珈琲があったので、手に取ってレジまで持って行く。・・基本的に新しいものは挑戦してみるのだ。

「はい、珈琲おひとつですね！お支払いは・・現金で、はい～丁度頂きましたので、お釣りがレシートになります！」

・・・いやいや、年よ。

お釣りがレシートって、それ、お釣りじゃないよ・・・

まあ、面白いから良いか。

「はい～ありがとうございましたー」

変に抑揚の付いた聲で送り出してくれる。

・・ああいう名店員がいると、知人を連れて來たくなる。

「お・・？」

ふと視界にった文字に目が留まる。

「・・コンビニオーナー募集？」

気になったので、雑誌を手に取る。

どうやら、コンビニが置いているフリーペーパーのようだ。

そのまま手に取った雑誌を手に、コンビニを出る。

・・そうか、無ければ立てちゃえばいいんだ。

・・家の周りは空き地や畑ばかりだし。

「アリだな・・」

そう一人呟いたところで、俺の肩に手が掛けられた。

「・・何がアリなんですかー！萬引きは犯罪ですよー！」

・・コンビニを出て直ぐ、街中でそんな事をばれた。

慌てて、向き直るとそこにはさっきレジで、対応してくれた・・がフルフルと振るえる手を抑えながら、こちらを睨んでいた。

・・え、冤罪です～

そんな虛しい心のびが、向けられる視線の中で靜かに響き渡っていた。