《コンビニの重課金者になってコンビニ無雙する》35話 みゃぁで『ミヤ』
暫くのんびりしていた正巳達だったが、不意にチャイムが鳴った。
「私が」
「ああ、頼む」
素早く反応したファスが玄関に向かった。
しかし――
「なっ、貴様など呼んでないぞ……なに? そんな事はそちらで済ませるんだ。私は正巳様の護衛をする為にだな……むっ、『正式な"契約"が済んでいない』と? ……それは確かにな。それでは今日済ませてしまおう」
何やらめている様だったが、様子を伺うに相手は將ではなかったのだろう。しばらく話していたファスが戻って來ると言った。
「正巳様、お願いがございまして……」
「俺に出來る事なら良いけど」
そう言った正巳に、ファスは頷くと言った。
「実は、外に待たせている同僚が居まして……その者が持って來たモノで、手続きを行って頂きたいのです。それ程お時間は頂きませんので」
どうやら、訪問者はファスの同僚だったらしい。
ファスの同僚と言う事は、同じ"コンシェルジュ"と言う事だろうか。
「分かった」
ファスが一禮して下がると、待たせていたという人を連れて來た。
ファスに付いて來たのは、スラっとした形に黒髪黒目のだった。
片手には、アタッシュケースを持っている。
は、正巳の前まで來ると言った。
「私は"デスク"……ファス―ストデスクです。以後お見知りおきを」
「ああ、俺は本郷正巳だ。正巳で良い」
そう言うと、続けてヒトミとにゃん太も紹介しておいた。
「――はい、正巳様にヒトミ様それに、にゃん太ちゃんですね。承知しました」
その後、とし話していた正巳だったが、どうやらはこの前電話した際に出たで間違いないみたいだった。
加えて『私は主に報の管理と手続きの全般をさせて頂きます』と言っていた。どうやら今回のヒトミの件は、この後に任せる事になるらしかった。
「そういえば、その"ファーストデスク"? と言うのは名前なのか?」
「いえ、コードネームの一種でして、業務に於いてはこの名で呼ぶ事となっております」
どうやら、"ファーストデスク"と言うのは仕事上のコードネームらしかった。長いので、ファスや本人も"デスク"と呼んでいるみたいだった。
正巳としては、何となく番號で呼んでいる様で嫌だったので、ファスと同じくにも提案してみる事にした。
「なぁ、その……"あだ名"を付けても良いか?」
そう言った正巳に不思議そうな顔をしていただったが、ファスが『私は"ファス"と付けて頂いた』と言った。ファスの言葉で理解したらしいは、『是非お願いします!』と言った。
そこで、"ファーストデスク"を省略して"ファット"とか"ファク"とか、"ファース"とか考えてみたが、々と問題が有るので決めかねていた。
すると、その様子を見ていたにゃん太が鳴いた。
「みゃぁ!」
にゃん太の方を向くと、ヒトミが言った。
「にゃん太は"ミィヤ"が良いって」
「……良いね。それじゃあ君は、今日から"ミヤ"って呼ばせて貰うけど良いかな?」
正巳がそう言うと、それ迄不安そうにしていたが安心したような表を浮かべた。どうやら、正巳の呟きが聞こえていたみたいだった。
「はい、是非"ミヤ"とお呼びください!」
そう言ってズイっとを乗り出して來るに対して、苦笑しながら言った。
「それじゃあミヤ、これからよろしく頼む」
「はい、よろしくお願いします!」
そう言ったは、ひざを屈めるとにゃん太の頭をでていた。……がにゃん太をでながら『助かったわ』と呟いているように聞こえたのは、きっと気のせいだろう。
その後、から今後ヒトミの家がどうなるかの話を聞いていた。
「――と言う事で、あとふた月ほどは自由に出りできますが、売卻後はそう云う訳にも行きませんので、お早めに荷をまとめて頂けると宜しいかと思います」
どうやら、既に売卻の渉の目途が付いているらしい。話を聞きながら、気になった事があったので、ヒトミに聞いた。
「なぁ、本當に家を手放してよいのか? それこそ、土地は無理でも家自は"移築"する事だって出來るんだぞ? 移築すればそのまま家を――」
正巳の言葉を聞いたヒトミは、真っすぐ目を見て言った。
「いえ、両親の夢は確かに葉いました。それに、私もいつまでも立ち止まる訳には……」
もし必要であれば、幾ら費用が掛かるかは分からないが、移築も手段の一つだと思ったのだが……どうやら、の整理が付いたらしい。
「そうか……それじゃあ、予定通りで頼む」
「「承知しました」」
ファスとミヤに頷いた正巳は、次の事――が持って來たアタッシュケースに目を向けた。すると、正巳の視線をけて説明してくれた。
「本來でしたら予定日まで、まだ日數が有ったのですが……」
そう言ってミヤが開いたアタッシュケースを見て驚いた。
「……これは?」
上部に晶、下部には何やらにも見えるドロッとしたモノのったケース、何よりその隣に取り付けられた機械の中には黒いカードがって見えた。
「こちらは"生登録"を行う機械でして、この登録が済んだ時點で、正式に我々と"契約"したという事になります」
……どうやら、そういう事らしい。
「つまり、コンビニ類の打合せをする日にやる予定だった?」
「はい、その通りです」
ヒトミは、何やらよく分からないと言った様子をしていたが、何を思ったのか口を開いた。
「ダメですよ?」
「……何がだ?」
「正巳さん、お金たくさん借りたんですよね?」
「はあ……?」
「私の為に沢山お金借りて……ファスさんもミヤさんも、二人とも良い人だと思ってたのに!」
そう言ったヒトミは、何故か俺とファス達の間に立つと言った。
「正巳さんは生贄にしません!」
そして――
「私が犠牲になります!」
――手を突っ込んだ。
余りに唐突な事で、反応出來なかったのは正巳だけでは無かった。
唯一素早く反応したのはファスだったが、アタッシュケースのの部分に突っ込んだ腕を引き抜いた瞬間、大きな音が鳴った。
『"警告――30秒以に登録再開されなかった場合、契約報及び効力の全てが無効廃棄となります。再開する場合は再度登録の再會指示の上、登録者の……――"』
見ると、パネル上にカウントダウンの數字が表示されていた。
「お、おいこれ……」
どうしたものかと戸っていた正巳だったが、ヒトミをミヤに任せてファスが言った。
「正巳様、至急手続きする必要があります。私がコマンドを力し終えたら、そこの認証裝置に手をれて下さい。ただ、権限の上書きとそれに類する関係を考慮して、々厳格な――」
ファスの説明の間にも、著実にカウントの進んでいく様子を見ていた正巳は言った。
「何でも良いから、やってくれ!」
正巳の言葉に頷いたファスが口を開いた――
悪魔の証明 R2
キャッチコピー:そして、小説最終ページ。想像もしなかった謎があなたの前で明かされる。 近未來。吹き荒れるテロにより飛行機への搭乗は富裕層に制限され、鉄橋が海を越え國家間に張り巡らされている時代。テロに絡み、日本政府、ラインハルト社私設警察、超常現象研究所、テロ組織ARK、トゥルーマン教団、様々な思惑が絡み合い、事態は思いもよらぬ展開へと誘われる。 謎が謎を呼ぶ群像活劇、全96話(元ナンバリンング換算、若干の前後有り) ※77話アップ前は、トリックを最大限生かすため34話以降76話以前の話の順番を入れ変える可能性があります。 また、完結時後書きとして、トリック解説を予定しております。 是非完結までお付き合いください。
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