《現代転生で運極振りするとこうなります》8.金持ちとは
味しかったなぁ、広東料理······
あれから中華料理店で広東料理を堪能した俺と佳澄。
「ねぇねぇ。二葉はどれが一番味しかった?私はあの焼売が一番だったかなぁ。あの出が効いててしかも皮も中々張りがあって良かったと思うんだけど。」
「うーん、そうだなぁ、俺は叉焼チャーシューかな。表面が甘くて味しかったよ。」
「叉焼ね。確かにそれも味しかったね。また來ようか。」
「いいかもね。久し振りに中華料理食べたけどやっぱり味しかったからまた來たいと思うよ。」
「そうだよね♪じゃあ私ここだから、二葉も気をつけて帰ってね。」
「分かってるよ。それじゃあ佳澄、またね。」
「うん。またね、二葉。」
そうして佳澄と別れた後に俺は家に帰宅した。
「はー。さて、もういい時間だし風呂って寢ますか。」
そう言い、場に向かいそのまま服をいだら予め沸かしておいた風呂に浸かる。
「ふぁー♪やっぱり風呂って最高だな。疲れがとれる。」
チャプ、と音を立てて肩までお湯を掬う。そしてそのまま肩にかけ流した。
「思えば不思議な験だよなぁ······」
不思議な験ばかりだった。一番は勿論死んだあとに神様に出會って転生したということ。
現代の常識に照らし合わせても非常識以外の何でもない。そもそも俺だって未だに転生したと言う実が湧かないし。この世界には不思議な出來事が沢山あると言っても流石に転生なんて予想もしていないのは當然だと思う。
常日頃からサブカルチャーがネット中に散しているこの現狀でも実際にそんなことが起こるなどと誰が予想をしようものか。普通に生きていると、例えそんなサブカルチャーで転生というものに憧れを持っていても心のでは絶対にそんなことは起こらないと思うものだろう。事実、俺もそんな類いの作品を読んだことがある。しかしそれはあくまでも人間の空想であって起こり得るものではないと確信していた。しかし、これである。俺はその転生というものを実際に験してしまった。
人間が想像出來ることは全ていつか現実になる。そう言う人も居るのだろうけども、それは俺はあくまでも技に限ってだけはそうだろうとは思う。しかし、転生等と言う非科學的な現象はいくら人間の想像でも無理があった筈だ。ましてや神等と言う存在は宗教上存在していても、実在しないことは全ての人類がそうであると分かっていた。しかし、俺は本の神様に出會った。だから俺は神は実在すると信じている。宗教上の神ではない。人間が空想で造り上げた神々は恐らく存在しない。しかし、それとは全く別の神は存在した。そしてその力も凄かった。俺に運と言う祝福を與えてくれた。そしてその効果はおおよそ俺が認識できる範疇を越している。単に金だけではない。それに釣られて國が、世界が。そんな規模で幸運が包んでいる。今はまだそれほどではないが今後そうなると確信している。だって、この短い期間だけでもこれだけの富を築く事が出來たのだから。恐らく今年の世界長者番付では俺はビリオネアりを果たすだろう。その資産は10億ドル以上でないといけないが既にそれを越しているので確実にるだろう。
そうすれば恐らく史上最小年齢でのビリオネアりではないだろうか?俺はまだ22歳だからだ。今年度でようやく大學を卒業するのだ。
よく、ビリオネアが大富豪として扱われるが────果たして個人で10億ドル何て言う巨額が必要だろうか?答えは否である。必ずしも生きるためにはそれほどの大金は必要ない。金は貯めるよりは積極的に放出した方が経済が回って景気も上向く。
しかし、同時に人間とは貯めたい生きだ。その巨額を見たときにほぼ必ずこう思うだろう。『もっと貯めたい』と。
何せ數字がどんどん増えていくのを見ていると無に気分が高揚する。今の俺がそうであるように。だから金持ちは金を溜め込む。そして更に富を築きそれを貯蓄する。そうしてそれの連鎖が続き、世界一の大富豪なんてその個人資産はそれなりの國家の年間予算にも匹敵する。恐らくそれだけの金があれば何をしても減らないだろう。尤も、それの全てが現金であるわけではなく、株として、古として、土地として、金品として、様々な形で資産を保有しているだろうから一概にそうとは言えないが、もし、その資産全てが現金ならば盡きることは無いだろう。それに、それだけの金を持っていると使うよりも増えていく。だから減らないのだ。
そして剰りに金が多いとそのうち使う先を絞られる。投資とか、獻金とかだろうか。個人の趣味で使うには些か多すぎる。それこそプライベートジェットやクルーザーなんてものを買っても目減りはしないだろう。
世界一の大富豪なんてそんなものだ。その一人分の資産でどれだけの貧しい人がちゃんとした服を著て、食べを食べて暮らせるだろうか。
富は偏る。それは仕方のないことだ。そう割りきるしかない。人がどれだけ努力しようと現狀では富の偏りはどうしようもならない。
と、そこまで長考するとのぼせそうだ。
俺は湯船から上がり、頭を洗おうとシャワーで頭を濡らした。
■■■■
「はは。柄にもないこと考えちゃったなぁ。でもまあ、金持ちは幸せなのかと言えばそうじゃないんだろうな。金持ちには金持ちなりの悩みが·······って、無いかな?人であるかぎり悩みは盡きないよね。」
既に時刻も00:00を回っている。部屋はテレビも點けていないこともあり非常に靜かだ。外からは僅かに車のエンジン音が聞こえるばかり。
「さて、そろそろ寢ようか。明日も早いからね······」
そうして俺は眠りに就いた。
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