《歩くだけでレベルアップ!~駄神と一緒に異世界旅行~》第59歩目 不可解なきつね!
前回までのあらすじ
悩みながらも、バカ貴族を助けるために救援依頼をけた
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□□□□ ~アテナの優しさ~ □□□□
ダンジョン20階層
救援依頼をけた俺とアテナは早速その足で領主邸まで出向き、詳細を聞いた上でダンジョンに出向いた。
領主からの依頼は以下のものだ。
①最優先にすべきことは跡継ぎの証である印章を持ち帰ること。
②息子の生死は問わない。
以上だ。
正直驚いた。
自分の子供が大切だから救援依頼を出したのかと思えば、大切なのは子供ではなく印章だと言う。
印章は貴族である証とともに、このフルールの領主たる証でもあるらしい。
息子は作ればまた得られるが、地位は一度失ったら容易には手にらない。
そう言われた時は絶句した。
でも実際は、跡継ぎがいなければ、貴族と言えどもお家斷絶もありえるだろう。
しかしそこは貴族。バカ息子以外にも子供はちゃんといるみたいだ。
つまり、バカ息子という駒の一つを失ってもなんら痛くもくもないということだ。
それよりも重要なのが、貴族の証である印章。それさえあれば後はどうでもいい、とさえ言われた。
.....この親にして、この子あり。まさにその通りだ。
貴族の世界というものはよくわからないが、やはりいい気分はしない。
エルフやドワーフが積極的に協力しようとしないのも頷ける。
「はぁ~」
「おおきいためいきー!どうしたのー?しあわせがにげるよー(。´・ω・)?」
溜め息をつくと幸せが逃げるってやつか。よくそんなことを知ってんな。
「.....お前はいつ見ても幸せそうだよな?羨ましいよ」
「とうぜんだよー!歩といっしょにいるとたのしいしー、しあわせだよー( ´∀` )」
「・・・」
ちょっと沈んだ気持ちがし晴れたような気がした。
アテナは基本バカだけど、その言葉に、その思いに裏表が一切ない。
純真そのままの気持ちをぶつけられると、こそばゆくはあるものの、いつも勵まされる。
───ぽふっ。ぽんぽん
「ありがとな?」
「にへへー(*´∀`*)」
頭をぽんぽんされたアテナは、いつものように八重歯を覗かせながらにぱー☆と微笑んできた。かわいい。
ちゃんとしてれば可い子なんだけどな~。大きいし。
「それでー?どうしたのー?」
「いや、俺の行は正しいのか今更ながら疑問に思えてさ」
「どういうことー?」
「領主の話を聞いたあたりから、なんかこの救援依頼をけたことがバカらしく思えてきたんだよ」
もともとこの救援依頼にはあまり乗り気ではなかった。けるかどうか迷ったのがいい証拠だ。
それこそエルフやドワーフのように、我関せずを貫き通してもよかった。
それでも、どんなに評判が悪い子供であっても、子供を大切に思う親の気持ちは異世界であっても変わらない。
そう思ったからこそ偽善だとわかりつつも、しない偽善よりかはする偽善、と割り切った上で依頼をけた。
しかし蓋を開けてみれば・・・
バカ息子に負けないぐらいのバカ親だった。
これで息子を心配しているのであれば、まだ救援依頼をけた意味はあった。
でも結果は息子などには興味がなく、心配しているのは貴族の証である印章の行方のみ。
こんなバカなことがあってもいいのだろうか。
真面目に悩んだ俺が一番のバカだったとかもはや笑うに笑えない。
真面目がバカを見る世界とか、本當この世界は・・・。
いや、人間族だからか?もっと言うなら貴族だからか・・・。
そんな愚癡をアテナに吐き出してしまった。
「(´・ω・` )」
アテナは珍しくおとなしく耳を傾けていたが、ゆっくりと口を開いた。
「じゃー、やめるー?」
「・・・」
「みんなやらないんだしー、歩がやめてもだれも文句は言わないよー?」
「・・・」
「やめよー!やめよー!それでー、今日もはちみつたべるのー(*´μ`*)」
・・・。
「ダメ.....だな。一度引きけた仕事だ。責任を持ってやり遂げないと。無責任な真似はできない」
マジメか!あぁ~日本人って本當真面目な人種だよな・・・。
こんな乗り気にならない仕事でさえ投げ出すことができないなんて。
.....見事飼い慣らされた社畜人生観だ。
「うんー!じゃー、がんばろうー( ´∀` )」
「・・・」
あっさり意見をひるがえしたな?いつもなら駄々をこねるのに・・・。もしや!?
「お前.....まさか俺がこう言い出すとわかった上で、敢えてやめようとか言い出したんじゃないだろうな?」
「なにがー?しらなーい( ´∀` )」
「.....そうか。俺のこと意外とよくわかってんだな」
「あたりまえでしょー!私の歩なんだからー!」
はい、バカ確定。
それじゃ知らないフリした意味がないだろ。.....でも、ありがとう。
俺はアテナの優しさに包まれつつ、救援依頼を淡々とこなしていった。
□□□□ ~始まりの終著點~ □□□□
ダンジョン30階層・隠し部屋
ダンジョンの大部屋には魔部屋以外にも寶部屋というものが存在する。
寶と言っても、よくRPGで見かけるような寶箱にった豪華なものではなく、魔に殺された冒険者などの留品がそれに該當するらしい。
ただこの寶部屋は滅多に見れるものではないらしい。
當然だ。冒険者のほうも十分な準備をしてダンジョンに潛る。だからそうそう死者なんてものは出ない。
特に低ランクダンジョンではほぼお目にかかることはないと、ラズリさんから聞いたことがある。
しかしその低ランクダンジョンで、まさか寶部屋に遭遇するとは思わなかった・・・
今目の前には魔、魔、魔。おおよそ30匹ほどの魔がいる。
そして、辺りに無數に散らばるボロボロになった武や防。
當然その武や防の持ち主は見當たらない。
慘憺たる景とは、こういうことを言うのだろう。
「.....これは酷い」
「なんかきたないものがちらばってるねー(・ω・´*)」
言葉!言葉!表現としては間違っていないけど、一応留品だから!
「あのきたないのはなにー?」
「.....留品。人が裝備してたものだな」
「ふーん。みんなしんじゃったってことー?」
「そうだろうな。この様子じゃ全滅ってところだろうな」
「そうなんだー。じゃーきた意味なかったねー。かえろー(・ω・´*)」
いやいや。印章は持ち帰らないといけないから。
既に寶部屋には人の気配が窺い知れなかったので、魔法で一気に殲滅しようとした。
生きている人がいるなら魔法での殲滅は巻き込む恐れがあるから危険だが、いないならさっさと殲滅して印章を探したい。
そう判斷した俺は早速行に移る。
「魔法で一気に倒すから、アテナは俺の側から離れるなよ?」
・・・。
.....え!?なんで!?
俺はさすがにありえない!と思いつつも、アテナがいると思われる場所に振り向くと.....
・・・。
「はあああああああああああああああああああ!?
なんでだよ!?こんな魔だらけの部屋で、あの駄神の興味を引くものなんてあるのか!?」
もう何度目だよ!しは學習しろよ!
そしてこの展開はまさか......
俺が嫌な予をじていたら、部屋の隅のほうからアテナのバカっぽい聲が聞こえてきた。
「歩~!歩~!きつねさんだよー!きつねさんが寢てるー( ´∀` )」
きつねさんだよ~じゃねえんだよ!俺に心配をかけさせるな!
俺はアテナのもとに急いで走り出した。
□□□□ ~なぞのきつね~ □□□□
「俺はいつも言っているよな?俺の側から離れるなって!」
「ふえーーーーーん(´;ω;`)ごめんなさーい」
俺が頬をつねったことで、アテナがいだ。
とりあえず魔を即殲滅した俺は、勝手に離れたアテナにおしおきをしているところだ。
今回はなぜかアテナときつねを魔が襲わなかったから事なきを得た。
だが、毎回毎回こうも都合のいい狀況になるとは限らないのでキチンと・・・
「んーとねー、多分このきつねさんのちからだと思うよー(。´・ω・)?」
「.....なんだって?」
「このきつねさんのちからで魔に認識されないなにかをつくってたんだとおもうー」
きつねの力?.....魔に認識されないなにかって、どんな力だよ!?
「気絶してるのにそんなことができるのか?」
「きぜつー?ねてるんじゃないのー?」
お前の目は節かよ!?どこをどうみたら寢てるように見えるの!?
きつねは全傷だらけでいたるところから痛々しく出をしている。呼吸も荒々しい。
見た目以上にとても危険な狀態だ。當然どこをどう見ても寢ているようには見えない。
かろうじて命を繋ぎとめている。そんな言葉がふさわしい狀態だ。
綺麗だったと思われる黃の並みもボサボサで手れをされておらず、ところどころ赤黒く薄汚れている。
明らかにここで戦闘をしていたと思われる痕跡もいくつか見られる。
それに恐らくこのきつねは・・・・
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『妖狐』 レベル:5(子狐) 危険度:中
種族:妖狐族
年齢:11
別:♀
職業:奴隷
稱號:なし
所有:なし
力:10
魔力:20
筋力:10
耐久:10
敏捷:10
裝備:なし
【一言】きぜつー(。´・ω・)?あー、ほんとだー。いっぱいけがしてるー!
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.....やはり奴隷だったか。
なんとなく予想はしていた。
チートをもらった俺とは違って、バカ貴族だけではダンジョンを潛れるはずがない。當然PTを組む必要がある。
評判の悪いバカ貴族だから、恐らく一般の冒険者とPTを組むことは不可能だ。
そうなると當然奴隷を連れていていくことになるだろう。
でもまさか主人であるバカ貴族は死んで、その奴隷だけが生き殘るとは思ってもみなかった。
いや。ラズリさんの説明ではまれにそういうこともあるとは聞いていたが、それでもまさかだ。
それになにより.....フルールの街中で見た獣人達と同じ首をしている。
.....奴隷か。できれば関わり合いたくはなかった。
それにこのきつね、いくつか不可解な點がある。
「どうしたのー?なおしてあげないのー?」
「.....おっと。そうだったな。ヒール!」
今はこのきつねを怪しむ前に、目の前の失われそうな小さな命を助けることが最優先だ。
ヒールの効果はてきめんで、きつねの傷が見る見るうちに癒えていく。
荒々しかった呼吸もだんだんと規則正しく整い、そして、
『.....コ、ン。.....すぅすぅ』
よほど疲れていたのか、かわいい寢息をたてて寢てしまった。
ぐっすり寢ている姿から、もう峠は越えたと判斷していいだろう。
「これで大丈夫みたいだな」
「ほんとー?じゃー、ぎゅーってしていいー!?」
「なんで!?」
「だってー、もうだいじょぶなんでしょー(。´・ω・)?」
「いやいや。今はぐっすり寢てるんだから、寢かせてやれよ」
「ぶー(´-ε -`)ぎゅーってしたかったー」
いや、俺もぎゅ~ってしてみたいけどさ?もふもふしてそうだし?
でもちょっと危険なじがするんだよな~。
さっきも思ったが、このきつねは不可解な點が多すぎる。
「このきつね、どう思う?おかしくないか?」
「んー?普通にかわいいよー。ぎゅーってしたい(〃ω〃)」
誰が普通の意見を言えって言った!?空気を読んで!?
「ステータスもろもろ々とおかしいだろ」
「歩ならだいじょうぶー( ´∀` )」
「いや、そういうことを聞きたいんじゃなくてだな・・・」
「あーはやくこのきつねさんをぎゅーってしたいなー!歩~とりあえずかえろー(・ω・´*)」
「・・・」
アテナはどうやら聞く耳をもたないようだ。
前々からし疑問に思っていたことだが、こいつは俺が困った局面に陥らないと力を貸してくれないような気がする。
たまたま偶然なのか、それとも狙っているのか・・・
それはまさに神アテナのみぞ知るってところだ。
こうして救援依頼を終えた俺とアテナは謎のきつねを保護して地上をめざした。
初の危険度『中』。このきつねを保護したことで鬼が出るか蛇が出るか、この時は全くわからなかった。
本日の戦利品
①なぞの子狐
②貴族の印章
③魔30匹分の素材
④救援依頼達報酬
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『アテナ』 レベル:3 危険度:極小
種族:神
年齢:ーーー
別:♀
職業:神
稱號:智慧の神
力:50
魔力:50
筋力:50
耐久:50
敏捷:50
裝備:殺戮の斧
神ポイント:195040【↑800】
【一言】ねぇーねぇー!このきつねさんの名前はコンちゃんでいいー(。´・ω・)?
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アユムの所持金:4584000ルクア【↑1200000】
冒険者のランク:A(クリア回數:4回)
このお話の歩數:約15300歩
ここまでの歩數:約17571000歩
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『アユム・マイニチ』 レベル:5927【↑3】
種族:人間
年齢:26
別:♂
職業:凡人
稱號:神の付き人
力:5937(+5927)【↑3】
魔力:5937(+5927)【↑3】
筋力:5932(+5927)【↑3】
耐久:5932(+5927)【↑3】
敏捷:6187(+6127)【↑3】
裝備:旋風の剣(敏捷+200)
技能:言語理解/ステータス/詠唱省略
Lv.1:初級魔法/初級闇魔法
Lv.2:浄化魔法
Lv.3:鑑定/剣//索敵/知/隠
偽造/捜索/吸収/治癒魔法/共有
初級火魔法/初級水魔法/初級風魔法
初級土魔法/ 理耐/魔法耐
狀態異常耐
共有:アイテムボックスLv.3
パーティー編Lv.1
ダンジョンマップLv.3
検査Lv.3
造形魔法Lv.3
固有:ウォーキングLv.5927 3367/5928
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後書き
次回、きつねのターン!
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今日のひとこま
~ナイト先生の他種族間配レッスン~
「き、き、今日はボクが講師を務めるでしゅ。よろしくお願いしましゅ」
「ナイトさん、よろしくお願いします」
「さ、さ、早速でしゅが、け、けつ、結論から言えば他種族間でも子供はできましゅ」
「おぉ~。アテナが言ったことだから半信半疑だったんですよ」
「た、ただ、但しいくつか決まりがありましゅ。こ、こど、子供は必じゅ母の種族になりましゅ」
「母の?ということは、仮に俺とナイトさんの間で子供ができた場合はドワーフになるんですか?」
「なななななに言ってるんでしゅか!?ボ、ボ、ボクとお客さんの子供って・・・///
そ、そう、そういうことをしたいなら、ボ、ボ、ボクに呑み比べで勝ってからでお願いしましゅ!」
「ナイトさ~ん?仮にですよ?仮に」
ナイトさんの顔が真っ赤だな。ナイトさんは22歳だし、異世界でも適齢期ってあったりするのだろうか?
「こほん。ボ、ボ、ボクとお客さんの場合だと、ハ、ハ、ハーフドワーフになりましゅ。
いくつかの決まりの一つでしゅ。に、にん、人間との間だけし変わるんでしゅ」
「人間との間だけ特殊.....つまりその他の種族同士なら母の種族になるんですね?」
「そ、そう、そうでしゅ。エルフ(♂)とドワーフ(♀)ならドワーフでしゅ。ぎ、ぎ、逆ならエルフになりましゅ」
「なるほど。でもなんで人間だけ特殊なんです?」
「し、し、諸説ありましゅが、ゆ、ゆう、有力なのが人間族は繁力に秀でている種族だからと言われていましゅ」
「繁力、つまり數が人間の一番の武ということですか。ちなみに人間と配すると必ずハーフに?」
「お、おと、男側が人間ならハーフになりましゅ。ぎ、ぎ、逆の場合は必ず人間族になりましゅ」
「えっと、ハーフになると人間が濃くなるとかあります?」
「そ、その、その通りでしゅ。よ、よく、よくわかりましたでしゅね」
やはり予想通りか。人間が優遇因子だと想定すれば、簡単にたどり著ける答えだ。
「(ごくっ。き、聞いてやるぞ!)そ、その、ハーフエルフってもしかして昔のエルフに似てたりします?」
「しゅ、しゅご、しゅごいでしゅね!そ、そん、そんなことまでわかるんでしゅか?」
きた、きた、きたあああああああああああああ!ハーフエルフ、一度は見てみたいなぁ。
- 連載中116 章
【書籍化&コミカライズ】関係改善をあきらめて距離をおいたら、塩対応だった婚約者が絡んでくるようになりました
【6月10日に書籍3巻発売!】 「ビアトリスは実家の力で強引に俺の婚約者におさまったんだ。俺は最初から不本意だった」 王太子アーネストがそう吹聴しているのを知ってしまい、公爵令嬢ビアトリスは彼との関係改善をあきらめて、距離を置くことを決意する。「そういえば私は今までアーネスト様にかまけてばかりで、他の方々とあまり交流してこなかったわね。もったいないことをしたものだわ」。気持ちを切り替え、美貌の辺境伯令息や気のいい友人たちと學院生活を楽しむようになるビアトリス。ところが今まで塩対応だったアーネストの方が、なぜか積極的にビアトリスに絡んでくるようになり――?!
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