《歩くだけでレベルアップ!~駄神と一緒に異世界旅行~》第251歩目 初めての男!

前回までのあらすじ

なーんか星が集いだしたじ-(。´・ω・)?

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ここはカルディア王國、王都『カルディア』。

現在、私と姫華はこの地にてしばらく滯在しているところです。

それと言うのも、「開発第二都市『サーマル』の地にて竜殺し様あり」との報を得て、すぐに飛んで來たまでは良かったのですが───。

どうやら、目的の竜殺し様とはれ違いになってしまったようなのです。

しかも、肝心の竜殺し様のその後の行き先が分からないという始末。

(行き先ぐらい冒険者ギルドに伝えてくださいよ、もうッ!)

私の愚癡はともかく、これで私と姫華に與えられた選択肢は二つとなりました。

王都『カルディア』に向かうか。

はたまた、國境都市『ゲルゴナ』へ向かうか。

の二つです。

王都を候補にあげたのは、竜殺し様の當面の目的地だと予想されるからです。

詳しい理由は知りませんが、竜殺し様は力を求めているようですので。

次に、ゲルゴナを候補にあげたのは改めて言うまでもないでしょう。

竜殺し様の依頼主であるモートマ伯爵がゲルゴナに居らっしゃるからです。

普通の覚から言えば、竜殺し様の行き先はゲルゴナ一択と言えるでしょう。

依頼主であるモートマ伯爵に結果報告をして報酬を貰うという流れの観點からも。

「むむ。ここにも居ないんですの?」

「......そのようですね。どうしますか? 今からでもゲルゴナへと向かいますか?」

ですが、姫華と相談した結果選んだのは王都『カルディア』でした。

そして、見事肩かしを喰らったという訳なのです。

「ゲルゴナに居るという保証もないですの。しばらくは報収集しますの」

「それが賢明でしょう。どうやら行が読めないお方のようですし」

今になって思えば、私と姫華は異世界の常識に染まりきっていたのかもしれません。

まず、この異世界でも報連相はとても重要なものではあります。

しかし、魔道の影響で面と向かっての報連相はあまり重要視されてはいません。

ギルドの素材依頼とは話が全く異なるのです。

例えば、戦場での結果報告はそういう役目の者がしっかりと伝えてきます。

検分役と言いますか、大抵の戦場には必ずと言っていいほど居るものです。

つまり、依頼主に直接報告する必要は全くないのです。

無意味とまでは言いませんが、報告容はそう変わるものではないでしょうから。

例えば、今回の一件のような報酬はギルドへの振込みが一般的となっています。

そんなことぐらい、冒険者ならば知っていて當然です。

つまり、報酬をわざわざ依頼主に催促しに行く必要が全くないのです。

當然、依頼はギルドを介すものですから、催促しなければ報酬が支払われないということは絶対にありませんので。

そんな訳で、冒険者というものは仕事が終われば新たな仕事を求めて旅立つもの。

そういう認識が一般的なのです。

もう一度言いますが、ギルドの素材依頼とは訳が違うのです。

故に、今回のような一件で、依頼主に律儀に挨拶しに行く者などそうそういません。

それは例え勇者であってもです。

挨拶に行くメリットと言えば、依頼主の印象が良くなることぐらいでしょうか。

いえ、それすらも魔道を使えばいつでも連絡できることを考えれば......。

第一、何かあればギルドを介すことをできるというのも大きい要因の一つでしょう。

だから、私と姫華は王都への道を選択しました。

しかし、當の竜殺し様はその期待を見事に裏切ってくれました。

いいえ、そもそもの話、ゲルゴナに向かったかどうかも怪しいものです。

以上のような経緯がありまして、私と姫華は王都にて滯在することになりました。

そして、変化があったのはしばらくしてからのことだったのです。

※※※※※

「騎士団......ですの?」

姫華がこてんと首を傾げました。

それに合わせて、トレードマークであるポニーテールがピコピコときます。

私と姫華が王都に滯在してしばらく経った頃です。

カルディア王より「相談したいことがある」との容で急使が來ました。

そして、相談された容というのが、竜殺し様の騎士団設立のお話でした。

「はい。家臣のモートマより急ぎの報せがありましてな。いかがしたものかと」

「竜殺しさんは今、ゲルゴナに居るんですの?」

「......え? はぁ、そのようでありますな」

「ふーん。そうですの。今はゲルゴナに居るんですの」

「え、えっと......聖様、どうしたものでしょうかな?」

「こ、こら、姫華! 失禮でしょ!」

相談容などまるで意に介していない様子の姫華に、カルディア王は困の表

こういう事態でも、カルディア王がドワーフ族だからまだ良いのです。

これが他種族の王だったらと思うと......うぅ。キリキリと胃が痛む思いです。

「あぁ、騎士団のことですの? 文乃はどう思いますの?」

「そうですね」

そもそも、個人が保有する騎士団など前代未聞のことです。

通常なら「何をバカなことを」と、一笑に付すところなのですが......。

私はカルディア王の様子をちらりと窺いました。

「......」

そんな私を固唾を飲んで見守るカルディア王。

いえ、カルディア王に限らず、家臣の方々すらも一心に見つめてきています。

そう、まるで「良いでしょう」との許可を待つ期待の籠った眼差しで───。

(まぁ、カルディア王國の人々からしたら、そう願うのは當然のことですよね)

私も『竜殺し』生誕によるフランジュ王國繁栄の噂は耳にしています。

かつてないほどの勢いだということも。

そんな時に舞い込んできた竜殺し様の騎士団設立のお話。

あるいは、フランジュ王國と同じような結果が得られるかもしれません。

そう考えると、カルディア王國の人々が期待するのも當然のことと言えるでしょう。

だからこそ、ここは冷靜に慎重にならなければなりません。

「私は反対です」

「「「!?」」」

「どうして反対なんですの?」

カルディア王を始め、家臣の方々もガックリと肩を落としたのが見えました。

それでも、私は私の正義の名のもとに反対の理由を述べることにしました。

「勇者の特上、個人の『武力』は致し方ないことでしょう。ですが、個人に『兵力』まで與えるのは々と問題が出てくるかと思われます」

この世界は武力───所謂、所持するスキルレベルが絶対の世界です。

ですから、『兵力』なんてものは実際大したことはありません。

とは言え、やはり數は暴力ともなり得ます。いくら大したことがないからとは言え、不安要素の種ともなり得るものをわざわざ認める必要はどこにもないでしょう。

そんなことぐらい、カルディア王も家臣の方々も分かっているはずです。

ですが、目の前にぶら下げられた人參にどうしても目がいってしまう......。

誠に、人間のというものは恐ろしい限りです。

「なるほどですの。文乃の考えは分かりましたの」

「第一、個人騎士団など議會で承認されるはずがありません」

そう、勇者における様々な活の全ては、全勇者特別機構の承認が必要となります。

ですので、元より私や姫華の獨斷で決めることなど無理な話なのです。

例え、その全勇者特別機構の最高責任者であり議長が姫華であったとしても───。

「......」

「「「......」」」

腕を組み、一人黙考に耽る姫華。

そんな姫華を靜かに見守る私やカルディア王國の人々。

聞こえてくるのは重なることのない荒い息遣いのみ。

まるで、この場を支配しているのが靜寂であるかのように。

そして、しばらくすると───。

「決めましたの」

「「「......」」」

「竜殺しさんの騎士団設立を許可しますの」

「ちょっと!? 姫華!?」

「よ、よろしいのですか!?」

「「「おおおおお!」」」

サラリと弾発言をする姫華。

これにはさすがの私も黙ってはいられませんでした。

「か、勝手に決めたりしていいの!? それに───」

「姫華はその話し方が一番好きですの! 今後もそれで話してしいですの!」

「そ、そんなことを言ってる場合ではありません!」

「殘念ですの......」

「まさかとは思いますが......それだけの為に許可を出したとかはないですよね?」

さすがにそれはないと思いたいです。

ただ、私から目を逸らした姫華の態度が非常に気にはなりますが。

「議會のことなら問題ありませんの。姫華が説き伏せますの」

「姫華ならそれも可能でしょうが......。私が反対してもですか?」

「大丈夫ですの。文乃は姫華の味方ですの。最後には必ず賛してくれますの」

「それはそうですが......」

姫華は決して愚か者ではありません。

先程も言っていた通り、議會を説き伏せるだけの才覚は十分にあります。

そんな聡明な姫華が考えに考え抜いた結果が「是」と言うのであれば、私としても無理に「否」を突き付ける理由はどこにもありません。

それに私は───いいえ、私だけでも、姫華の味方であり続けなければなりません。

仮に私が姫華から離れようものなら、きっと姫華は壊れてしまうことでしょう。

勇者的にも、そして人間的にも......。

「ですが、本當によろしいのですか?」

恐る恐るといった様子で尋ねてくるカルディア王。

気持ちは大いに理解できます。

いつ姫華の決斷が覆るとも限らないのですから。

「構いませんの。勇者姫姫華の名において、竜殺しさんの騎士団設立を認めますの」

「ありがたい! 謝しますぞ、勇者姫様!」

「「「「「勇者姫! 勇者姫! 勇者姫! 勇者姫! 勇者姫!」」」」」

「......」

まだ仮の段階ではありますが、ほぼ本決まりと言っても良いでしょう。

この姫華の獨斷劇を議會の者達や他の勇者達にはどう説明したら良いものか。

(うぅ......キリキリと胃が痛みます)

こうして、竜殺し様の騎士団設立が認められることとなりました。

※※※※※

王宮からの帰り道。

「ですが、本當に良かったのですか? 個人騎士団など前代未聞のことですよ?」

「全く問題はありませんの」

「問題がない訳ではないと思うのですが......」

「竜殺しさんなら大丈夫ですの」

姫華の決斷は揺るぎないものでした。

決して覆すことはない。

そういう強い意志をひしひしとじ取ることができます。

「実力ある者、信用できる者には、それに相応しい立場と力を積極的に與えるべきですの。そうなって初めて実力を発揮できるというものですの」

「竜殺し様だけを特別扱いすることで、他の勇者達から不満が出てくる可能がありますが?」

「その時は一生懸命説得しますの。そうすれば、必ず納得してくれるはずですの」

「さすがに希的観測過ぎる気もしますが......」

「大丈夫ですの! 姫華、頑張りますの!」

の前で両拳をグッと握って決意を新たにする姫華。

そんな姫華を見ていると、つい「一人で頑張る必要はない」と言いたくもなります。

「分かりました。私も可能な限りサポートしますね」

「ありがとうですの! 文乃、大好きですの!」

「姫華ったら、もう......」

それにしても、姫華の竜殺し様への信頼度は凄まじいものがあります。

過去にはこんなことを言っていたこともありました。

竜殺しさんは姫華にとっての水ですの、と。

所謂、『水魚のわり』を例えにしたのだと思います。

魚は水があってこそ生きていられることから、水と魚のように切っても切れない間柄。

つまり、姫華が魚で、竜殺し様が水であると。

以上のことから、姫華は竜殺し様をかなり信頼しています。

いいえ、完全に信じきっていると言っても過言ではないでしょう。

一度もお會いしたことがないのに、です。

當然、私はその理由を知っています。

「やはり、あれが決め手ですか?」

「そうですの。あれ以外にありませんの」

サーマルにて見せてもらった一枚の寫真。

そこに寫る方々を見て、私と姫華は絶句しました。

思わず「アテナ様がなぜ......」と、そう呟いてしまったほどです。

神アテナ様。私達を召喚された張本人です。

そして、神界で大変お世話になった───いいえ、お世話をした(?)神様でもあります。

その神アテナ様が竜殺し様と共に居るという事実。

初めは他人の空似かとも疑いました。

しかし、迸ほとばしる神々しさとしさは隠しようがありません。

否が応にも、神アテナ様本人だと思わされてしまうほどでした。

それ以降、姫華の竜殺し様を見る目が変わったのは言うまでもないでしょう。

「竜殺しさんは姫華にとっての希、そのものですの」

「それを見極める為にも、一刻も早く竜殺し様にお會いしないとですね」

「ですの!」

姫華の言う通り、竜殺し様が姫華の希であってしいものです。

もし、そうでなかった場合、その時は......。

※※※※※

竜殺し様はゲルゴナに居る。

その報を得た私と姫華は早速ゲルゴナへと向かいました。

馬車では數ヶ月かかる道のりも、天馬・トライアングルなら數日で済みます。

と、そこまでは良かったのですが───。

「わぁ! 勇者姫様だ!」

「本? ねぇ、本なの?」

「きれいなお馬さん......」

トライアングルで街中に下りた途端に、子供達に取り囲まれてしまいました。

ちなみに、こうなることはある程度想定済みでした。

天馬はくばにがり、白銀の鎧ドレスをに纏ったポニーテールの戦乙

姫華の姿は、まさに人々の間で語られ、詩人に謳われる英雄そのものです。

そして、大人の語る冒険譚に心を踴らせる子供達。

あるいは大人以上に『姫華』という存在を知っている可能すらありえるでしょう。

「だからあれほど、街の手前で下りましょう、と提案しましたのに......」

「こんなにも有名になっているとは思いませんでしたの。なんか照れますの」

「......照れている場合ではありません」

もはや後の祭りですが、ついつい愚癡をこぼしてしまいました。

姫華には有名人であるという自覚があまりにも足りません。

とりあえず、私は姫華とお揃いのケープに付いているフードで顔を隠すことに。

勇者姫の登場だけでこれだけの騒ぎなのです。

自惚れる訳ではありませんが、ここに聖も登場となるとどうなることやら......。

これ以上、街を騒がすのは得策とは言えません。

モートマ伯爵や自警団の方々の迷にも繋がることでしょうし。

「姫華、先を急ぎましょう。またれ違いにでもなったら───って、姫華!?」

「勇者姫様! 勇者姫様! 握手してください、握手!」

「ぼ、僕も! 僕にも握手してください!」

「ずるーい! 私もしてしいです! お願いします、勇者姫様!」

「いいですの。いいですの。みんなと握手しますの。だから、喧嘩しないですの。順番ですの」

私の思いとは裏腹に、子供達の握手に當然だとばかりに応えている姫華。

そんなことをしていれば、騒ぎは大きくなる一方で───。

───ざわざわざわ。

───ざわざわざわ。

「おい。今、勇者姫様がどうとか聞こえなかったか?」

「勇者姫様って、あの勇者姫様のことか? おいおい、まさかここに來ているのか!?」

「竜殺し様だけではなく勇者姫様も!? マジかよ!?」

子供達のみならず大人達までもが集まり始めてきてしまいました。

ここまでの騒ぎともなると、いよいよ自警団の方々にまで影響が出始めることでしょう。

非常にマズい狀況とも言えます。

「ちょっと、姫華! 今はそんなことをしている場合ではないでしょ!」

「でも、子供達のお願いは無視できませんの」

「時と場合、優先事項を考えてください!」

「だったら、尚更無視できませんの」

「......どういうことですか?」

姫華にも、この狀況は分かっているはずです。

それなのに、頑なにも譲ろうとはしません。

姫華をここまで頑固にさせる理由とは一なんでしょうか?

「勇者とは、常に子供達にとっての夢や希でなくてはなりませんの。だから、姫華は勇者として、子供達のお願いを無視できませんの。これは姫華の正義ですの」

(......あぁ、姫華はっからの勇者)

そこには姫華ではなく勇者姫としての姿がありました。

意地でもこの場からくつもりはないという、不退転の意志をメラメラと燈して。

ましてや、正義を持ち出されてしまったのでは、もはや説得の仕様もありません。

姫華達十傑には『不惜命』という冒すべからずの特例がある以上は。

「分かりました。でしたら、私は先に冒険者ギルドに行っていますね」

「ありがとうですの。文乃は頼りになりますの」

「姫華ったら、もう現金なんだから......」

にへらッと相好を崩す姫華。

ここで、私達は一旦分かれることになりました。

・・・。

さて、一人で冒険者ギルドまでやってきたのはいいですが......。

私はどうにも冒険者ギルドという場所が好きにはなれません。

昔、姫華とこっそりお忍びで行ったラーメンチェーン店のような、「へい! らっせーい!」みたいな雰囲気がどうしても馴染めないのです。

普段、私達が利用しているような厳かな雰囲気の場所も好きではありません。

ですが、それ以上に嫌悪というか難を浮かべてしまうのです。

(でも、頑張らなくちゃ! 姫華に大見得切ったんだもの!)

心に小さい勇気を燈して、私は冒険者ギルドに突しました。

・・・。

結果は殘念なものでした。

得られたのは「恐らくはまだ居るかも?」という不確かな報のみ。

なんでも、數日前のダンジョン踏破クリア報告以降、竜殺し様は冒険者ギルドには姿を見せてはいないとのことです。

「もし竜殺し様が居らっしゃいましたら、お伝えしておきましょうか?」

「そう......ですね。そうしてもらえますか?」

今はそうする他はないでしょう。

招待を片っ端から斷っている竜殺し様のことです。

例え、それがみ薄なことだと分かっていたとしても......。

「畏まりました」

「よろしくお願いします」

私は付嬢の方にお禮を言うと、急いで踵を返すことにしました。

姫華のことが心配だったというのもあります。

それと、一刻も早く冒険者ギルドから立ち去りたいという思いもありました。

だからでしょうか。

心ここに在らずな部分も相當大きかったんだと思います。

「───」

「───」

外から聞こえてくる賑やかな聲に気付くのがし遅くなりました。

その結果───。

───ドンッ!

「きゃ!?」

「ふぎゃ(゜Д゜)」

あろうことか、ギルドのり口で一人のの子とぶつかってしまうことに。

私とぶつかったの子はすってんころりんと盛大に転がっていきました。

一方、私も思いがけない出來事に大きく勢を崩してしまいました。

このままではぶつかったの子ほどではないですが、私も転んでしまうことでしょう。

と、その時───。

「おっと。危ない」

聞き及びのない男の聲。

それと、に伝わる男のたくましい腕の

私は見ず知らずの男にお姫様抱っことまではいきませんが、それに近い狀態で抱き抱えられてしまいました。

(な、ななななな!?)

が熱くなっていくのをじます。

まるで茹で上がったばかりのタコのように。

そもそも、私は男に抱かれることなど初めての経験でした。

いいえ、もっと言うのならば、男れたことさえあまりありません。

(お、思った以上に男はゴツゴツと───って、何を考えているの、私は!?)

異常な狀況に、私は相當混していたのでしょう。

初めて経験したこととは言え、はしたないことを思ってしまいました。

そして、混していたのはどうやら私だけではなかったようでして───。

───もみもみ。

───もみもみ。

(ちょっ!? わ、私には、既に麒麟崎拓馬様という將來のお相手が居るのですよ!?)

まるで、をまさぐられているかのようなとても不快な覚。

まるで、私から許可でも得たかのように大膽不敵で遠慮のないりっぷり。

いくら私の不注意でぶつかってしまったこととは言え、さすがにそれは許容できる範囲を越えていました。

というか、助けて頂いたまでは良しとしましょう。

ですが、それにかこつけて乙を弄ぶとは言語道斷もいいところです。

「うちのバカがすいません。大丈夫ですか?」

私のを散々弄んでおいて、紳士ぶっている態度が余計に腹立たしいです。

怒りのが沸いてきました。

拓馬様にもどう言い訳したら良いというのでしょうか。

「こ......」

「こ?」

そして、私の怒りが頂點に達したその時───。

───パーン!

「このケダモノーーーーー!!」

「なんで!?」

小気味良い音ともに、私は助けて頂いた男に思いっきりビンタをお見舞いしていました。

「あッ! 聖様、その方が竜───」

「ッ!」

付嬢の方の制止を振り切って駆け出します。

手がヒリヒリと痛むのを我慢して、姫華の居るところまで全速力で。

(やっぱり冒険者ギルドは苦手です! まさか、こんなことになるなんて!!)

結局のところ、竜殺し様とは再びれ違いになってしまいました。

どうやら、私にビンタされたその日のに旅立たれたとかで......。

これが私と竜殺し様の初めての出會い。

この日のことを笑い話にできるのはまだしばらく先のこととなります。

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