《歩くだけでレベルアップ!~駄神と一緒に異世界旅行~》第260歩目 怒っていないとは言うけれど!

前回までのあらすじ

ギャルの○○○○をおくれー (V´・(oo)・`V)

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「まさか本當に貰えるとは......。これ、どうしたら良いんだ?」

次の神の間へと向かう亜空間の中で、俺はほとほと困っていた。

今、俺の手の平の中には黒いヒラヒラとした『』が握られている。

しかも、ほ・ん・の・り・と・溫・い・のが、俺に焦燥と妄想を募らせる。

結論から言おう。

エリス様の暴走は回避された。

と言うか、最後の最後で大逆転を果たし、滅茶苦茶ご機嫌な様子で見送られた。

全てはうちの參謀であるドールの獻策『に飢えている者にはを與えよ』が役に立った訳ではあるが......。

だが、しかし───。

「えっと......アルテミス様が二回、アレス様が一回ときたよな?」

指折り數えつつ、十連ガチャの現狀を確認する。

「そんで、アテナを信じるなら特典分が殘っている訳だから......殘りは六回でいいんだよな? となると、恐らく次辺りは───」

いつもならその事実に、某世紀末の男達のように「ヒャッハー」して喜ぶところなのだが、今はそんな気分に浸ることができない。

全ては手に握られた黒いヒラヒラとした『』のせいで───。

本來、こんなものはアイテムボックスにでも突っ込んで置けば問題はないのだ。

アイテムボックスは異次元。スキル使用者以外は確認の仕様がないのだから。

とは言え、アイテムボックスのスキルはアテナと共有している以上見つかる可能は十分にあるのだが、見つかったところでアテナ程度ならどうとでも言いくるめられる。

だが、ここ神界ではスキルが使用できない。

正解には、特別な措置で神界へと立ちる許可を得た俺は使用できない訳だが。

故に、安全な隠し場所がないのが現狀となる。

「いや、本當にどうしたら良いんだろう? 見つかったら......當然怒られるよな?」

俺は文字通り手・に・汗・を・握・り・な・が・ら・それをマジマジと眺めつつ、恐らく次の目的地であろうしの彼の元へと向かうのだった。

■■■■■

「......お待ちしておりました、アユム様」

「で、ですよねー」

三指付いて俺を出迎えてくれているニケさんを見て、思わずその言葉を口にしてしまった。

ニケさんに會えた嬉しさが半分、隠し事をしなくてはいけない罪悪が半分で非常に微妙なところだ。

しかし、しどろもどろしている俺とは対照的に、ニケさんの挨拶は淡・々・と・続いていく。

「......こうして再びお目にかかることができまして大変嬉しく思います」

「お、俺もですよ。ニケさんに會えることをどんなに心待ちにしていたことか」

「......そのお言葉を聞けただけでも、『彼』としてこれ以上の幸せはありません」

殊更に『彼』という部分を強調するニケさん。

そんなニケさんの無言の圧に、俺は思わず面喰らってしまった。

「そ、そうですか?」

「......えぇ」

「......?」

おかしい。何かがおかしい。

何がおかしいとは言えないけれど、妙な違和じる。

「えっと......ニケさん? 何かありました?」

「......いいえ。特に『何も』ございませんが?」

「えー」

いやいやいやいやいやッ!

あからさまに『何も』の部分を強調する辺り、何かあったと言っているようなものだ。

だが、ニケさんの様子を窺うに、その『何か』について話す気はないと思われる。

と、その時、ようやく違和の正に気付くことができた。

「ニケさん?」

「......」

そう、ニケさんの様子が初・め・か・ら・おかしいのだ。

三指を付いて出迎えてくれたのまでは良いとしよう。

今までもそうして出迎えてくれたのだからおかしい部分は一切ない。

だがしかし、明確に異なる部分が存在する。

それは、座禮をしたまま一向に頭を上げようとしていないのだ。

いつもなら、可憐なの花開いた笑顔をすぐにでも見せてくれるというのに。

それはまるで、俺とは顔を合わせたくないとでも言っているような───いや、俺に會いたかったと言っている以上、顔を合わせられない理由が他にあると考えるべきだろう。

では、顔を合わせられない理由とは───?

(お、思い當たることが幾つもあるんですけど!? アルテミス様の件とか、エリス様の件とか!......って、あれ? 確か神の間の出來事は他の神には分からないと、どなたかに聞いた覚えがあるような?)

しかし、ニケさんに限ってはそういうものが通用しない可能は大いにある。

なんたって『勝利の神』であるのだから、もしかしたら出歯亀し放題ということも......。

(謝るか!? 正直に吐いて謝るか!? ニケさんに嫌われるのだけは勘弁だぞ!?)

だが、まだそうだと決まった訳ではない。

十中八九怒っているとは思うけれど、確認せずにはいかないだろう。

「あ、あの、ニケさん?」

「......何でしょう?」

「つ、つかぬことをお聞きますが......もしかして怒ってます?」

「......」

「お、怒ってますよね?」

「......何の───」

俺の言葉に思うところがあったのか、ゆっくりと頭を上げていくニケさん。

「お話でしょうか?」

「ひぃ!?」

言葉にならない聲とはまさにこのことだろう。

ニケさんの顔を見た瞬間、俺はまるで金縛りにでもあったかのような衝撃をけた。

それは、いつもと変わらないしい笑顔だった。

それは、俺を心から歓迎してくれている優しい表だった。

例えるなら、神様。

そこには聖母のような微笑みが浮かべられていた。

「......ふふふ。微塵も怒ってなどおりませんよ?」

「......」

なのに、俺の目には憤怒の表をした般若の姿が見えてしまったのだ。

靜かな怒りと言うべきか、非常に怖い笑顔。

違和の一つとしてじた、同居人のな"ー達が一向に姿を現さないのはこれが原因だろう。

「......では、早速ダーツへと參りましょうか」

「おうふッ......」

いやいやいや、こんな狀況で行ける訳がないでしょうが!!

■■■■■

冷靜にめ事を解決するには第三者の目があると良いと言う。

俺はニケさんに頼んでバットを呼んでもらい、改めて正座にてニケさんに挑むことに。

「そ、それで、ニケさんは何故怒っているんでしょうか?」

「嫌ですわ、アユム様ったら。先程も申した上げた通り、私は微塵も怒ってなどおりませんよ?」

明らかに怒っているのに白々しい事を宣のたまうニケさん。

いや、怒らせるような要因を幾つも抱えておきながら、それを尋ねようとしている俺も同様か。

だがしかし、俺の方から「これが原因ですか?」とは決して口にはできない。

仮に口にしたことが正解だったならまだ良いが、不正解の場合は火に油を注ぐ結果になるとも言えないからだ。

俺はバットをちらりと見た。

ここは第三者による助け船が必要だ。

「はぁ..................。それは汝が一番良く分かっていることではないですかな?」

「......」

そんな誰でも言えるようなことを聞きたいんじゃねえ!

お前はテレビのコメンテーターかよッ!!

バットが役に立たないことが分かったので、當事者間で解決せざるを得ない。

と言うことで、火に油を注がない方法として思い付いたのが───。

「えっと、アルテミス様───」

「はい? アルテミス様ですか? アルテミス様がどうかなさいましたか?」

唐突なアルテミス様の話題にキョトンとするニケさん。

どうやら、アルテミス様とのキスの一件はバレてはいないようだ。ふぅ、一安心。

「い、いえ。その後、アルテミス様とはどうなのかな、と思っただけです。々あったと聞きましたから」

「はぁ? 特に何もございませんが......アルテミス様が謹慎されて以降接しても、されてもいないですから」

「そうですか。早く仲直り? できると良いですね」

「仲直りと言われましても......私には思うところなど何もないんですけどね?」

「記憶がないんですもんね? じゃあ、仕方がない。うん」

とりあえず、アルテミス様の件が関係ないと分かった以上、この話はさっさと終わらせるに限る。

うっかり口をらせてしまっては元も子もないからな。

となると、殘りは───。

「では、エリス様───」

「エリス様と仰いましたか? アユム様はエリス様とも懇意なのですか?」

「ん?」

おや? これも違うのか?

正直、ニケさんの意外な反応に戸ってしまった。

思い當たることなど、アルテミス様とエリス様の件以外には全くないからだ。

、ニケさんは何に対して怒っているのだろうか?

「アユム様?」

「あ、あぁ、懇意というか々協力してもらってはいますね......HAHAHA」

「そうですか。あの方は非常識な面が多々見けられますので心配でなりません」

「ニケさんがそれを言いますか!?」

「はい?」

何のことやらと首をコテンと傾けるニケさんがくっそかわいい。

それはともかく、さすがのエリス様も非常識の塊であるニケさんにだけは言われたくないだろう。

「ひ、非常識の塊だなんて......酷いです、アユム様!」

「いやいやいや。自覚を持ってくださいね? あッ! それと一応譽め言葉でもあります」

「そんな譽め言葉は聞いたことがありません!」

「あー、俺の『彼』は何でもできて凄いなー」

「......」

ニケさんの整った眉がピクリといた。

「本當、自慢の『彼』、最高の『彼』だなー」

「ほ、本當ですか?」

「噓偽りなく、心の底からそう思っていますよ。神様ニケさんに......いや、最高神アテナに誓ってもいいです」

「アユム様......嬉しいです」

よっしゃあッ!

日本お得意の小出し+うやむや作戦大功!!

話がまともにできないのなら、できる狀況に導すれば良い。

ニケさんの場合は俺に一途であるが故に、面で揺さぶるのが一番だ。

とは言え、口から出任せを言ったのではないことだけは注意しておこう。

何はともあれ、ニケさんとまともに會話ができるようになった。

さて、ここからが本番だ!

ニケさんが何に対して怒っているのか聞き出さないとなッ!

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後書き

今日のひとこま

~エリス様との舞臺裏?~

「......え? そんなことで良いの、人間?」

「は、はい」

「それが本當に人間の葉えてもらいたい願いなの?」

「HAHAHA(泣)......やっぱりダメですよね、こんな願いは」

「いいえ。ダメではないわよ」

「え!? いいんですか!? マジで!?」

「別に構わないわよ? そんなものの一枚や二枚ぐらいならね」

「は、はぁ......(神様の───神様の覚はわっかんね)」

「それは良いのだけれど、どうしてそんなものがしいのかしら?」

「えっとですね......しでもエリス様を近にじていたいと申しますか、単なる思い付きと言いますか」

「あらあらあら。かわいいことを言うじゃない、人間。そんなにわたくしを想っているのね」

「そ、そうなんですよー(棒)」

「いいわ。従順な信者の願いを葉えてあげましょう」

「あ、ありがたき幸せ」

「うーん。今、直接あげたら良いのかしら?」

「はい!?」

「人間もそのほうが嬉しいわよね?」

「いやいやいや! お、畏れ多いです!(な、何を言ってるんだ、この癡神は!?)」

「そうなの?」

「は、はい。新品で結構です」

こんなやりとりがあったかもしれない......?

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