《歩くだけでレベルアップ!~駄神と一緒に異世界旅行~》第261歩目 これから先全ての・・・!

前回までのあらすじ

カツ丼でも用意するー(。´・ω・)?

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評価頂きありがとうございます。

とても勵みとなります。

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「先程までの非禮をお許しください、アユム様」

俺にピタリと寄り添い、瞳を潤ませるニケさん。

謝罪と甘えを同時にこなすニケさんにはもはや帽だ。

ただ、その想いにはしっかりと応えてあげたい。

俺はニケさんの細くしなやかな腰に手をあて、グイッと引き寄せることに。

「アユム様!?......あ、ありがとうございます」

ニケさんの表が驚きのから、みるみる朱に染まっていく。

こういう、いつまでも恥じらいを忘れない奧ゆかしい一面を、ぜひうちの陣にも見習ってしいものである。特にアテナとか、ドールとか、モリオンとか。

とは言え、きっと「やーだよー( ´∀` )」、「大きなお世話なのじゃ!」、「奧ゆかしさってなんなのだ?」と言われるに違いないだろうが、はぁ..................。

さて、一息ついたところで、早速原因究明に乗り出すことにした。

と、その前にやらねばならないことがある。

「ニケさん、先に謝っておきますね。すいません」

「何に対して謝られているのですか?」

「ニケさんを傷付けてしまったこと。それに......その原因が分からないことに対する謝罪です」

「そう、ですか」

俺にはアルテミス様とエリス様の件以外に心當たりなど一切ない。

けない話だが、分からないものはどう考えたところで分からないのである。

だが、ニケさんを傷付けてしまったことだけは確かなのだ。

その事実だけでも謝罪するには十分な理由となる。

「本當にすいません」

「謝らないでください、アユム様。私の......私の単なるわがままが原因なのですから」

「わがまま、ですか?」

「......はい。私のわがままなのです」

申し訳なさそうに、俺のの中に顔を埋めるニケさん。

(わがままが発端か。なら、俺に心當たりがないのも仕方がないのかな?)

しかし、ニケさんが怒っていたことを考えると、俺に何かしらの要因があるのは間違いない。

これは今後の為にも、ぜひともそのわがままとやらを聞き出す必要がある。

「(そのわがままとやらを)話して頂けますね?」

「......嫌です」

「なんで!?」

「そ、その......アユム様に淺ましいだと思われたくはありませんので」

ぬぅ、手強い!

手強いが、そこが良いッ!!

いや、本當にこういう奧ゆかしさをうちの陣にも───以下、省略。

みんなの「きょーみなーい(´-ε -`)」、「他の子おなごと比べるでない!」、「だから、奧ゆかしさってなんなのだ?」との聲が聞こえてきそうだ。

それはともかく、斷られたからと言って易々と引き下がる俺ではない。

毎回毎回原因の分からないわがままで、ご機嫌斜めな対応をされても困るからな。

「前にも言いましたが、俺はニケさんのわがままなら喜んで応えてあげたいと思っています。だから、わがままなニケさんは大歓迎ですよ」

「大歓迎......」

「話して、頂けますね?」

「......本當に、本當に失されたりなさいませんか?」

「それはないです、絶対にないです」

「アユム様のことは信じております。......ですが、その絶対の理由をお聞かせ願えませんか?」

「別に構いませんが......」

、ニケさんはどうしたというのだろうか。

ここまで頑ななニケさんは非常に珍しい。

ただ、俺を見つめるニケさんの瞳には不安と決意のが混ざりあっていた。

となれば、語る他はないだろう。

俺がニケさんを選んだ訳を───。

「そうですね、ニケさんは俺の理想のなんですよ」

「理想、ですか?」

「はい、理想のなんです」

「私がアユム様の理想......」

かつて、そういうが一人いた。今はもう葉わぬとなってしまったが......。

いや、もう気持ちの整理はとっくについているし、その人も幸せそうだから別に良いんだけどね?

そんな時に出會ったのがニケさんだった。

惚れた切っ掛けは一目惚れだったが、一目見て「この神様ヒトは(あの人と同じ、俺にとっては)理想のだ!」と、ピンときたものだ。営業で培った俺の人眼が、そう告げてきたのだから間違いない。

とは言え、あの人はあの人。ニケさんはニケさんだ。

決して、あの人の代わりにニケさんを選んだのではないことだけは注意してしい。

俺は一呼吸置いて、話の続きを始めることに。

「だから余・程・の・こ・と・が・な・い・限・り・、ニケさんのことを嫌うなんて有り得ないんです。と言うことか、できないと言った方が正しいかもしれませんね。むしろ、いつ俺がニケさんに嫌われてしまわないかヒヤヒヤ───」

「それこそ絶対に有り得ません!」

「お、おぅ!?」

「ご安心ください。私はどんなアユム様もせる自信がございますので」

「あ、ありがとうございます」

「はいッ!」

今日一番の笑顔ではないだろうか。目が眩やむほどに眩しい。

あれ? この為にわざわざ後を差しているとか!?

「それにしても、アユム様にそんなご心労をお掛けするなんて......私の不徳の致す所です」

「不徳って、そんな大袈裟な」

「いいえ、そんなことはありません。アユム様? 私のし方がまだまだ足りませんか?」

「いやいやいや。十分に伝わっていますよ」

これ以上されて困ることはないが、し怖いというのが本音なところ。

ニケさんは神様だ。

故に、それがどういった影響を及ぼすのか分からないのだから。

「そうですか? しかし、これまで以上に頑張りますね」

「俺の話、聞いてました!?」

ともかく、この様子からして、もう大丈夫だろう。

ニケさんの不安な気持ちを吹き飛ばすことができたのではないだろうか。

それにしても、時折ニケさんは不安の種を抱えてしまうようだ。

なぜ、そんなものを抱えてしまうのかは分からない。

それを今尋ねるべきでもないだろう。せっかく機嫌が直ったんだし。

とは言え、『どう理想のなのか』を尋ねてこない辺り、そこまで深刻な問題ではないのかもしれない。

(そうだな、いずれ『どう理想のなのか』を語る日がくるのかもしれない。その時は......その時こそは覚・悟・するしかないよなぁ)

と、俺が考え込んでいると、ニケさんも何やら考え込んでいることに気付いた。

「アユム様、私思ったんですが......」

「何でしょう?」

「そのもう一人の者(=理想の)を消してしまえば、世界でアユム様に相応しい者は私だけになるのではないでしょうか」

「はい!?」

「むしろ、そうした方が良いようにも思えるのです。アユム様を悲しませた時點で萬死に値する大罪ではないかと。......そうしましょう。ぜひ、そうするべきです。今は私がアユム様のお側に控えている訳ですし、その者を消したところで何の問題もないですよね?」

ちょっ!?

なんかとんでもないことを言い出したぞ!?

「で、ですが、そのおかげ(?)で、今の俺とニケさんがあるのですが?」

「なるほど! さすがはアユム様! でしたら、アユム様を諦めてくれた功績ということで恩赦としますね」

「HAHAHA」

恩赦、恩赦、ね。......ニケさんの全力のが怖いんですけど!?

それに、諦めたも何も俺が振られた......チッ。嫌なことを思い出してしまった。

あぁ、そうさ。俺が振られたんだ。それが何か?

「何だかのつかえが取れたようでスッキリしました」

「それは良かった。では、本題に移りましょうか」

「はい。では、早々にダーツに移ると致しましょう」

「ニケさんが怒っていた理由をまだ聞いていないんですけど!?」

「あッ。お忘れになっておりませんでしたか」

し気まずそうに微笑むニケさん。

何気にちゃっかりしている神様だった。

■■■■■

場所をダーツ會場へと移した。

時間も惜しいのでそこで話す、ということらしい。

「アユム様。今回も私とのデートがご希、ということでお間違えないでしょうか?」

「はい。それでお願いします」

目標をしっかりと定めた上で、ダーツの矢を放つ態勢へと移る。

當然のことながら、俺がニケさんのを後ろから包み込む態勢だ。

ニケさんの良い香りが俺のを満たし、俺の鼓ドキドキがニケさんの心を満たしていく。

「それで、どうして怒っていたんですか?」

「......。アユム様? 私はアユム様の彼なのですよね?」

またかよ!? くどい! とは決して思わない。

の不安に、心配に付き合ってあげるのも彼氏の努めだ。

それに、(神様と言えど)とはそういうものらしいからな。

「その通りです。自慢の彼ですよ」

「ありがとうございます。嬉しいです」

「それで?」

「もう一つ、彼とは特別な存在という認識で良いでしょうか?」

ぽつりぽつりと、まるで確認するように言葉を紡いでいくニケさん。

不安の種は解消されても、心配事は盡きることがないといったじだ。

「そうですね。なくとも、俺はそう思っています」

それに対して、俺は力強く返事をすることに。

「だとしたら、アユム様は酷いです」

「えっと......何がでしょうか?」

いや、本當に心當たりが全くない。

謝罪する用意はあるが、何に対して謝罪すれば良いのかが全く分からない。

俺の服をギュッと握りしめ震えているニケさんの中を慮おもんぱかると、罪悪が苦しくなる。

「......ダンジョンデート」

「ん? 良く聞こえませんでした。もう一度お願いできますか?」

「ダンジョンデートです!」

「ダンジョンデート......?」

「はい。どうして彼である私とではなく、あのような人間とダンジョンデートをされたのですか? 私はアユム様の彼なのですよね?」

一気にまくし立てられても、俺には何のことだが皆目見當がつかない。

そもそもの話、ダンジョンデートとは一なんだろうか?

俺が難しい顔をしていると、ニケさんがし拗ねた表で教えてくれた。

「されましたよね? 山賊の人間と一緒に」

「山賊の人間......あー! インカローズとの!(第245歩目參照) でも、あれは───」

「存じております。あの人間が勝手に言っているだけなんですよね」

「......その、すいません」

その通りです、とは決して言えない。

事実はどうあれ、デートしていることは間違いないのだから。

それがたとえ、俺自はデートだと思っていなくとも、だ。

俺も迂闊だった。

やはり、彼が居るのに他のとデートというのは───。

「いいえ。それで怒っていたのではありません」

「え!? 違うんですか!?」

「もちろん、それも許せるものではありません。しかし、その責を負うのはアユム様ではなく、アユム様が斷ったのに強行したあの人間ふとどきものですから」

どうしてくれようかしら、と呟くニケさん。

それを見て、俺は心の中で靜かに合掌せざるを得なかった。

(インカローズ、俺の為に死んでくれ。お前の尊い犠牲は無駄にしないから)

懺悔が済んだところで───おまけに、知らぬ間にダーツも済んでいたところで一つの疑問が殘る。

言わずと知れた、あの疑問だ。

「では、ニケさんは何に対して怒っていたんですか?」

原因はダンジョンデートだという。

しかし、デートしたこと自は(俺には)怒っていないらしい。

となると、何に───?

「ダンジョンデートは『初めて』のご経験だったんですよね?」

「そう......ですね。デートだとは思っていませんでしたが」

「存じております。ですが、アユム様との貴重な『初めて』の共同作業を奪われてしまいました......」

「あー......」

そうか、それが原因か。

今となってはどうしようもないが、確かにそれは悪いことをした。

特にニケさんとは滅多に會えるものではないからこそ、余計にそういうことに拘るのかもしれない。

全ては俺の配慮が足りなかったのが諸悪の源だ。

「淺ましい考えなのかもしれませんが......できることなら、彼である私と『初めて』のダンジョンデートをして頂きたかったです」

「......すいません」

「いいえ。アユム様が謝られることではございません。......ですが、この際ですから言わせて頂きます」

「何でしょう?」

「アユム様の......アユム様のこれから先全ての『初めて』を私に頂けないでしょうか?」

それは、ニケさんの一杯のわがままだった。

それは、ニケさんの悲痛とも取れる懇願さけびだった。

そして、彼からこんな健気なお願いをされた彼氏として、俺は───。

「いいですよ。これから先一緒に、々な『初めて』を経験していきましょう」

「......お約束頂けますか?」

「もちろん」

その言葉を聞くや否や、スッと瞳を閉じるニケさん。

「......」

「......」

つまりはそういうことなのだろう。

ここで、「どうすれば?」と尋ねるのは野暮なことだ。

だから、俺はソッとニケさんのに自分のを重ねたのだった。

「嬉しい......」

ニケさんの頬を伝う一筋の涙。

この涙に込められたニケさんの想いはいかほどのものか。

この時の俺では、まだまだそれを推し測れるまでには至らなかった。

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後書き

今日のひとこま

~不安で不安で堪らない~

「それにしても、急にどうしたんですか?」

「......」

「言葉にしてくれないと伝わるものも伝わりませんよ」

「......不安で不安で堪らないのです」

「と言いますと?」

しずつですが、アユム様の魅力に惹かれる者が出始めてきておりますよね? ですから───」

「あー、なるほど。それはそれで栄なことですが......安心してください、俺はニケさん一筋ですから」

「あ、いえ。そこは心配などしておりません」

「え!? 違うんですか!?」

「はい。私が人間などに負けるとは微塵も思っておりませんので」

「では、何が不安なんですか?」

「負けるとは思っていないのですが、そういう者が出てくる度に心がざわめくと言いますか、モヤッとすると言いますか、跡形もなく消したくなる衝に駆られると言いますか......」

騒だな!?」

「それ自は何ともないのですが」

「何ともなくはないですよね!?」

「そういうを抱く私をアユム様はどう思われるかな、と思うと不安で不安で」

「ま、まぁ、そんなことぐらいで嫌いになったりはしませんよ。大丈夫ですから」

「本當ですか? こんな淺ましいを抱くような私でも、アユム様は『して』頂けるのですか?」

「『大好き』ですよ。それもまたニケさんその神様ヒトですからね」

「大好き......。ともかく、以前アルテミス様より、嫉妬深いは嫌われると伺いましたもので」

まぁた、アルテミス様が原因かよ!?

あの神様ヒトはどこまでトラブルを引き起こせば気が済むんだ!?

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