《歩くだけでレベルアップ!~駄神と一緒に異世界旅行~》第263歩目 筋を喜ばせてみよ!
前回までのあらすじ
ひぃぃ! 汗くさーい(゜Д゜)
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どんな重傷を負おうとも、神界では決して死ぬことはない。
だが、俺は一瞬だけ天國を、この世の楽園を見たような気がする。
それもこれも全て───。
「ハァ......ハァ......ハァ......。な、なんなんですか、あなたは!?」
「そうだ、ワシがポセイドンだ」
「それ、ずいぶん古いな!?..................ん?」
ポセイドン、だと!?
と言うことは......(最高が☆6のの)☆5キタァァアアア!
おいおいおい。マジで特典に相応しい容じゃないか!
以前説明した通り、神様ごとによって當選確率は大きく異なる。
たとえば、☆3であるニケさんは約60%の確率で當たるようだ。
対して、このポセイドン様は希も希。なんと約2%の當選確率となっている。
まさに幸運中の幸運。
特典という形でしかなかなか巡り會えない高レアリティーキャラなのだ。
と、その時───。
「うきゃぁぁあああああ(゜Д゜)」
「アテナ!? どうした!?」
すぐさま振り返ると、そこにはいつの間にか俺の背後に移していたポセイドン様と羽い締めにされているアテナの姿があった。俺の目の前に居たのに一いつ、どうやって......。
「小僧に比べ、小妹リトール・シスターは弛んでおるのではないか?」
ポセイドン様の目はどこか真剣みを帯びている。
これはもしや!?
「ほれ、みよ。腹などだるんだるんではないか」
「せ、せくはらー! あ、歩、助けてぇぇえええ(´;ω;`)」
「ちょっ!? ポセイドン様! それは! を摑んでますから!」
「ぬ? だったか? 腹を摑んだつもりが間違えたわい。ガーッハッハッハ!」
どこをどう間違えたらそうなるの!?
確かに、アテナの全はぷにぷにしているけどさ!?
とは言え、俺はそのぷにぷにむちむち合が好きなんだけど。
「見てられん。ここでしっかりと鍛えていくがいい、小妹リトール・シスター」
「ぜーったいやだー! 帰るー(´;ω;`)」
「はぁ......」
され過ぎるというのも、ある意味問題だよな。
ポセイドン様はアテナ達兄弟姉妹の長兄にあたるお方だ。
神界のことはデメテル様が、地上のことはポセイドン様が管轄しているらしい。
故に、ポセイドン様は地上における『陸・海・空』全てを司っている大神となる。
「それらを創造しただけで、後は何もしとらんがな」
「え? それでいいんですか?」
「細かい作業は好かぬ。そういうのは薄小妹スモール・シスターの、デメテルの仕事だ」
「えー」
本當、どの神様もテキトーだな!?
ポセイドン様は2mを優に超える大男。
ガチムチ型で、ヒゲむくじゃらながら溫和な表をしている。
そうだな、敢えて名付けるとしたら『モンジャラーおじさん』といったところか。
実際、相當フランクな神様だと思う。とても親しみやすい。
ただ、優しそうな神様ではあるが、陸・海・空の他に『怒り』を司ってもいるとのこと。
つまり、憤怒の神様でもあるらしい。
人は───いや、神様は見掛けに寄らないものだ。
と言うか、憤怒の神様だぁ? 全くそうは見えないんだけどな。
どっからどう見ても、優しそうなお爺ちゃんにしか見えないんだけど?
「それで小僧は何者だ?」
そうだった。自己紹介がまだだった。
と言っても、とてもできるような狀況じゃなかったんだけどね......HAHAHA。
「ご挨拶が遅れました。私は『舞日 歩』、お妹君であるアテナ様の付き人をしている者です」
「アテナ様だってー! 歩もー、やーっと私のえらさがわかったんだねーo(≧∇≦)o」
「......」
そのこ憎たらしい顔をつねってやりたいところだが、ここはグッと我慢。
ポセイドン様がアテナをかわいがっているのは明確だ。迂闊なことはできない。
ましてや、怒りを司っていると聞かされては尚更だ。
「ほらほらー、アテナ様に対するしんこーがたりないよー? あーははははは( ´∀` )」
「..................」
ぐぬぬぬぬぬ!
調子に乗りやがって、このクソ駄神がッ!!
怒気を放つも、それに気付かないのはやはりアテナクオリティ。
地上に戻ったら、おしおきが決定した瞬間だった。
一方、ポセイドン様はポセイドン様で妙なことを言い出した。
「おぉ! 小僧が噂になっている小妹リトール・シスターの婿だったか!」
「む、婿!?」
「ぬ? 違うのか?」
結婚はともかく、神界に婿りする気は全くない。
今まで様々な神々を見てきたが、神界ほど碌でもない所はないと思う。
デメテル様のことを伝え聞くに、ブラック企業もなんのそのと言わんばかりのブラックな場所なのではないだろうか。
「では、小妹リトール・シスターが嫁に行くのか? ワシは寂しいぞ」
「んー。どっちでもいー(´・ω・`)」
「お前は真剣に考えろよ!?」
待て待て待て。
思わず突っ込んでしまったが、結婚すること前提で話が進んでいないか?
いやいや。いやいやいや。
正直、アテナと結婚する気はあまりないけれど、今は検討段階だったはず。
盛り上がるのは自由だが、勝手に話を進められては困る。
「......え? しないのー?(´;ω;`)」
「ほぅ......せんのか? つまり、小僧は小妹リトール・シスターの心を弄んだ、ということだな?」
「い、いえ、誤解です。弄んだなんて決して───」
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
「..................ぷ、ぷはぁ!?」
マ、マジか......。冗談だろ!?
剎那、俺は『何かを司る』ということの意味を改めて理解した。
いや、正確には理・解・さ・せ・ら・れ・た・といったほうがいいだろう。
(お、俺はバカか!? アルテミス様にあれほど気を付けろと注意されただろ!?)
その事実に直面したことで、俺のは制不能に震え出した。
「それでどうなのだ? 弄んでおったのか?」
「い、いいいいいえ。め、めめめめ滅相もない、です。お、おおおお恐れ多くはありますが、けけけけ結婚させて頂きたく......」
「ふぁー! 歩ぅぅぅ(*´∀`*)」
「うむ。ならば結構。今日から小僧はワシの筋弟ブラーザだ」
「ハァ......ハァ......ハァ......。ブ、ブラーザ? い、いえ、お、恐れります......」
アルテミス様は以前こう仰っていた。
アテナっちやニケちゃんは例外として、あたしほど優しい神は居ない、と。
更に、こうも仰っていた。
他の神には気を付けるんだよ。無禮と見なされれば、いつ殺されてもおかしくない、と。
まさにその通りだった。
一見優しそうに見えるポセイドン様だが、そこはやはり『神様』だった。
まさか......まさか躊躇いもなく実行されようとは。
「良い筋弟ブラーザができて、ワシは嬉しいぞ! ガーッハッハッハ!」
「よ、よろしくお願いします、義兄上あにうえ」
その日、俺は何度目とも分からない死を迎えていた。
ここ神界では決して死ぬことはない。
故に、の死を迎えたのでは當然ない。
そう、・神・的・な・何・か・の死を、『怒り』のエネルギーで押し潰されて───。
■■■■■
俺の考えが足りなかった。
どんな理不盡に思えることでもグッと我慢する。
それが(橫暴な)神様との賢くも正しい付き合い方だと思っていた。
事実、それは間違っていなかった。
たが、それにもう一つ加えなければならないものができた。
それは───。
「ほれほれ、キビキビかんか。そんなことではしい筋からだはできんぞ」
「ひ、ひぃぃいいい(゜Д゜)」
「......」
それは、みながするアテナを(神界では)絶対に傷付けないこと。悲しませないことだ。
考えてみれば、アテナと一緒に神々の間を巡る機會はそうそうなかった気がする。
いつも俺は放っておか───ごほん。自発きょうせい的に、一人で訪れていた記憶しかない。
だからこそ、その事実に気付けなかった。
シスコン気味なポセイドン様の前では、特に気を付けねばならないだろう。
「もー、やだー(´;ω;`)」
「だらしがないのぅ、小妹リトール・シスターは」
アテナがヘバったところで、ポセイドン様が今更なことを尋ねてきた。
「ところで、小妹リトール・シスターと筋弟ブラーザは何用で來たのだ? 結婚報告か?」
「あ、すっかり忘れていました。私達は十連ガチャで───十連信仰でしたっけ? それで訪れました」
「十連信仰......?」
「え?」
おいおいおいおいおい。冗談だろ?
まさか、なんのことだか分からない、とかいうオチじゃないよな?
これは......一から説明したほうが良いのだろうか。
「祈りを捧げた結果、ここに導かれたのですが......」
「信仰、信仰のぅ......おぉ! 信仰か!」
「お、思い出して頂けましたか?」
「安心せい、今思い出したぞ」
い、今思い出したって......。
「信仰など何十萬年ぶりで、すっかりと忘れておったわ。ガーッハッハッハ!」
「何十萬年ぶり!?」
いや、ダンジョンを攻略して、その証を捧げないといけないこと。
それに、ポセイドン様の當然確率の低さを考えると、何十萬年ぶりというのも頷ける。
だが、仕事の一つを忘れるというのはいかがなものか。
「では、ゆっくりとしていくが良い。妹弟の久しぶりの訪問だ、歓迎しよう」
「いやいやいや! ちゃんと理解されていますか!? 申し訳ないのですが、あまり時間がないのです」
「時間がない? どういうことだ?」
「ですから、今回は十連信仰で訪れたのです」
「十連信仰......?」
「えー」
あれ? 実はボケているとか?
しかし、ポセイドン様の様子を窺うと、どうにも忘れているようには見えない。
これはむしろ、知らない、といったほうが良い反応に近い気がする。
いや、しかし、知らないということが有り得るのだろうか......?
「すまんな、筋弟ブラーザ。十連信仰とは何だ? 教えてくれんか?」
「え? 本當に知らないんですか!?」
「ワシは聞いたことがないな。妻ならば知っておるかもしれんが......」
「あ、ご結婚されていたんですね」
それはともかく、神界の連絡系統はどうなっているのだろう?
従事者が仕事容を知らないとか、システム面がガバガバ過ぎないだろうか。
あるいは、どうせ當たるはずがないので連絡不要とでも高たかを括っていたとかか?
「えっとですね、十連信仰というのは───」
仕方がないので、ポセイドン様に十連信仰のシステムを教えることにした。
と言うか、報酬をける側が報酬を授ける側に、そのシステムを教えるって変じゃないか?
「ほぅ。いつの間にか、そのようなシステムができておったのか。全く知らなんだわ」
「そういう訳でして、ここに居られるのも30分間だけなんですよ」
「では、その間はゆっくりしていくが良い」
「いやいやいや! もう30分もありませんから! (訪れてから)それなりに経ってますから!」
「ぬ? それもそうだな。ガーッハッハッハ!」
大丈夫かな、この神様。
筋、筋うるさいし、頭の中も筋でできているのでは......。
「さすがは筋弟ブラーザ! 脳も筋からだのように鍛えられるぞ! ガーッハッハッハ!」
「はぁ..................アテナ、お前の兄貴だろ? これを何とかしろよ」
「むーりー。ポセイドンお兄ちゃんだけはむりーε-(;-ω-`A) 」
マジか。あのわがままの化アテナをしても無理なのか......。
どうにもこうにも、俺の前途は多難なようだ。
「ふむ。そういう話ならば、筋弟ブラーザに報酬を與えねばならんな」
「お願いします」
「だが!」
「ん?」
「普通に與えるだけではつまらんな」
おいおいおいおいおい。
なんか、とんでもないとこを言い出したぞ、この神様は!
「筋弟ブラーザよ、何でも良い。ワシを、筋を喜ばせてみよ。それが報酬を與える條件だ!」
「はぁ!?」
突如言い渡された無理難題。
本當に俺の前途は多難だらけだった。
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後書き
所用の為、明日の更新はお休みさせて頂きます。
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今日のひとこま
~シスター・シスター・シスター~
「あの、ポセイドン様。気になっていることがあるのですが」
「なんだ、筋弟ブラーザよ」
「その筋弟ブラーザもそうなんですが、小妹リトール・シスターとか薄小妹スモール・シスターとか何なんですか?」
「稱だ。ピッタリであろう?」
「ピッタリ......? えっと、それでは小妹リトール・シスターとはどういう意味で?」
「『小さくてかわいいワシの妹』という意味だな」
「では、薄小妹スモール・シスターとは?」
「『影の薄いとても小さいワシの妹』だな」
「影の薄い!? あんた、意外と酷いな!?......ごほん。失禮しました」
「構わぬ、構わぬ。デメテルのやつは本當に影が薄いから仕方がないのだ。しかも、一番上の姉でありながら、一番小さいときておる。あれはの頃、筋からだ作りを怠ったからだな」
「は、はぁ......えっと、ポセイドン様には他のお妹君もいらっしゃいますよね? その方達はなんと?」
「ディーテのやつは知らぬ。あれはもう見切りをつけた。アルテミスのやつは悪妹トリーク・シスターだ。悪戯ばかりしおるからな。昔はかわいかったのだが、今は......」
「なるほど。......あれ? ヘスティア様は? ヘスティア様もお妹君ですよね?」
「ヘスティア......ヘスティア......おぉ! そういえば、そんな妹もおったのぅ! あやつは寢てばかりで滅多に會わぬから忘れておったわ! ガーッハッハッハ!」
「ず、隨分とお妹君でも差があるんですね?」
「當然だ。小妹リトール・シスターはまだ神だからな。かわいくてかわいくて仕方がないのだ」
気持ちは分かる。
子供は(生意気でなければ)かわいいからな。
だが、見切りをつけた妹は覚えていて、滅多に會わない妹だからと忘れてしまうのはどうなんだろう?
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