《歩くだけでレベルアップ!~駄神と一緒に異世界旅行~》第265歩目 神界のおしぼり夫婦!

前回までのあらすじ

歩、やっるきーo(≧∇≦)o

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「一つ、勝負をしてみませんか?」

ポセイドン様からは既に『勝敗は報酬に影響しない』とのお墨付きを得ている。

故に、勝負などせずとも報酬はほぼほぼ確実にもらえるだろう。

それだけ、提案した腕相撲には自信と策がある。

それでも、俺は敢えて勝負にこだわることにした。

「ワシは別に構わんぞ」

「歩、悪い顔してるー(´・ω・`)」

それもこれも全てはアルテミス様とエリス様に原因がある。

人のとは実にキリが無いものだ。

それが始めアルテミス様に最高の報酬を提示され、次エリス様に無理だと思われた報酬を戴くことができた。

こんな二度と有り得ない経験をさせられては、報酬一つで我慢などできるはずがない。

ましてや、今回は『特典』という特別な狀況でもある。

ならば、それに相応しいだけの報酬を期待───もとい、請い願うのは人として當然だと思う。

という訳で、俺が請い願うものとは───。

「それでですね。私がポセイドン様に勝つことができたら、報酬を2つにして頂きたいのです」

「ぬ? それは───」

「できなくはないですよね?」

言い淀むポセイドン様を一気に畳み掛ける。

『報酬は神様の気分でどうとでもなる』

アルテミス様は確かにそう仰っていた。

ならば、アルテミス様よりも上位の神であるポセイドン様にできないはずがない。

まぁ、そのしわ寄せは全てデメテル様にいくようだが......HAHAHA。

(すいません、デメテル様! 俺も必死なんです! お約束はできませんが、この埋・め・合・わ・せ・は・必・ず・!)

「うぅむ......」

「......」

ポセイドン様は難しい顔をされているようだが、俺には自信がある。

くどいようだが、それだけ提案した腕相撲には自信があった。

必ずやポセイドン様に楽しんで頂けることだろう。その為の策も用意してある。

それに、こちらには最終兵であるアテナもいる。

ポセイドン様が渋々であろうと了承されるのは時間の問題だ。

とはいえ、(結果が分かっているだけに)いつまでも悩まれていてはこちらも困る。

俺は「さっさと口説き落とせ」との意味を込めて、アテナを軽く小突いた。

「ポセイドンお兄ちゃーん、べーつにいいんじゃなーいのー(・ω・´*)」

「しかしな、小妹リトール・シスターよ。それでは薄小妹スモール・シスターに負擔がな」

「いつものことじゃーん! なーんにも変わんないよー( ´∀` )」

「ぬ? それもそうか?」

「そーそー。かりにーポセイドンお兄ちゃんがなーんにもしなくてもー、デメテルお姉ちゃんは働くんだよー? そこはなーんにも変わんないのー。ここ重要(`・ω・´)b」

それもそうだな、と笑うポセイドン様だが、俺はしばし呆然としていた。

けしかけたのは俺だが、アテナの言っていることがしも理解できない。したくもない。

(な、なんという超理論......)

要はあれだ。アテナはこう言っているのだろう。

働きたいやつだけが働けば良い、と。

「それ、とーぜんでしょー(。´・ω・)?」

「と、當然って......誰も働かなくなったらどうするんだ?」

「ないなーい! っからの働き蜂人間や働き蜂神は存在するんだよー?(o゜ω゜o)」

「働き蜂人間や働き蜂神!?」

「そーんなことも分からないなんてー、歩はバカだねー! あーははははは( ´∀` )」

「筋弟ブラーザは頭が弱いのか? ならば、ここで鍛えていくが良い。ワシのようにな。ガーッハッハッハ!」

「......」

アテナ曰く。俺もその働き蜂人間の一人らしい。

あー、そうですか。じゃあ、今日も王蜂アテナの為に働きますかね。

......もうやだ、この神様達ヒトタチ。

■■■■■

どうも。働き蜂人間です。

何はともあれ、ポセイドン様からは了承を得ることができた。

後はポセイドン様を楽しませつつ勝利をもぎ取るだけなのだが......。

「あの、ポセイドン様。私はいつ始めても良いのですが」

「そうか。ならば始めるとしよう。楽しみだわい」

うんうん。とても良い傾向だ。

ただ、張り切っているところ申し訳ないが、一つ尋ねたい。

「えっと......私に不利にならないよう取り計らって頂けるのですよね?」

そう、これはとても重要なことだ。

この腕相撲で、ポセイドン様に楽しんで頂ける自信と策は十分にある。

しかし、それはあくまでも『対等であること』『実力が伯仲していること』が前提となる。

當然のことだが、人間vs神様今のままでは元も子もないのだ。

そこらへん、ポセイドン様は考えていると仰っていたがどうするのだろうか?

「では、ワシも準備するとしよう」

ポセイドン様はそう言うと、パンパンと手を鳴らした。

を鍛えているだけあって小気味良い音というよりかは豪快な音が鳴り響く。

そしてしばらくすると、そこには一柱の神様が───いや、一匹の魔(......だろうか?)が姿を現した。

「紹介しよう。ワシの付き神で妻のメドゥーサだ」

「......」

「......? お、お初にお目にかかります」

「準備はこのメドゥーサにしてもらうことになる。筋弟ブラーザよ、しばし待ってくれ」

支度を待つ間に、メドゥーサ様の紹介が簡単になされた。

付き神メドゥーサ様。

ポセイドン様の付き神にして奧さんらしい。

髪は蛇となっていて、青銅の腕、黃金の翼を攜えている。

容姿は......その、コメントを控えたい。

ただ、夜道で出會ったら間違いなくビビるとだけ言っておこう。

と、よく知られている通りのお方なのだが、一つだけ異なる點がある。

「あの、間違っていたらすいません。メドゥーサ様はもしかして......」

「......」

一瞥されるも、メドゥーサ様からの返事はない。

シ、シカトですか!?

いや、先程もそうだったが、しゃべるのが苦手なのか?

あるいは人見知りという可能も?

「すまんな、筋弟ブラーザ。妻は認めた者以外とは決して口を利こうとはしないのだ」

「認めた者、ですか? それは一なんでしょう?」

「それは筋からだに決まっておる。まぁ、妻がワシ以外の者と話しておる姿など見たことがないがな。ガーッハッハッハ!」

「そ、そうですか。お熱いことで」

どうやら、メドゥーサ様も筋好きらしい。

確かに、ながらにたくましい付きをしている。

所謂、筋夫妻というやつなのだろう。

「話が逸れちゃいましたが、メドゥーサ様はもしかして神獣ですか?」

「その通りだ。ただ、今は神位が上がっとるから神獣ではないがな」

「失禮しました。付き神ですしね」

やはり思った通りか。

というか、どう見てもそうだとしか言えないんだけどね?

メドゥーサ様の下半が蛇である以上は。

昔は所謂『ラミア』と呼ばれる種族だったとか。

となると、必殺技はドロップキックに違いない。うん、絶対そうだ。

「元々は悪妹トリーク・シスターの部屋におったのだがな。ワシが気にって連れ出したのだ」

「なるほど。ポセイドン様が一目惚れされたと」

悪妹トリーク・シスターとはアルテミス様のことを指す。

昔の、神だった頃のアルテミス様は、それはもうかわいかったらしい。

シスコン気味なポセイドン様は、例にれずアルテミス様を溺していたんだとか。

しかし、今は過度な悪戯ばかりするので呆れ返っているとのこと。

恐らく、それが原因で妹がアテナに移ったのだろう。

まぁ、アテナは怠けるぐらいで実害は全くと言っていいほどない駄神だからな。

「苦労したものだ。當時神獣に過ぎなかった妻と結婚する為に親父殿を説得するのも、その條件として課された妻を付き神へと昇神させるのもな」

「でしょうね。なんとなくですが分かります。ところで、試合をそろそろ始めたいのですが───」

「だがな!」

「はい!?」

何やら雲行きが怪しくなってきた。

ポセイドン様がし熱くなり過ぎているようにも見える。

「筋あいの前では不可能などなかった! ワシの筋あいと妻の筋あいの前には、さすがの親父殿も認めざるを得なかったという訳だ! ガーッハッハッハ!」

「そ、そうですか。では、そろそろ試合を───」

「見よ。妻のこの筋からだを。ながらにして、この腹筋の割れよう。まるで不滅の盾とも言われる神亀の甲羅を彷彿とさせるではないか。まぁ、妻の腹筋は神亀の甲羅なぞともせぬほど頑丈だがな。ガーッハッハッハ! それに、細くしなやかで強靭な背筋は妻の筋からだの要だ。これがあるからこそ、妻の筋からだは保たれておると言っても過言ではない。それはまるで地上に差すの結晶『世界樹』のようなものだ。まぁ、妻の背筋は世界樹なぞよりも神しくはあるがな。ガーッハッハッハ! まだまだあるぞ? それはな───」

その後もポセイドン様の妻自慢は延々と続いた。

それに、メドゥーサ様は頬を赤らめる───ことはなく、何故かマッスルポーズで応えている。

(この與太話、いつまで続くねん!?)

というか、あれ? この妻っぷりに、夫っぷり。

これに似たような夫婦をどこかで見たことがあるような......。

「......おい、アテナ。いつもこんなじなのか?」

「だねー。神界でも『おしぼり夫婦』って言われてるよー(・ω・´*)」

「それを言うなら『おしどり夫婦』な?」

「ううんー。『おしぼり夫婦』だよー(´・ω・`)」

「おしぼり夫婦って......まさか『をしぼっている夫婦』ってか?」

「せいかーい! さすが歩だねー(*´∀`*)」

「くっだらねえな!?」

ともかく、こんなことに時間を割いている余裕はどこにもない。

そのお話はまたの機會にということで、さっさと試合を開始しなければ......。

俺はそういう意味を込めて、アテナを再び軽く小突いた。

「えー。またーr(・ω・`;)」

「悪いが、頼む。ポセイドン様を止められるのはお前だけだ」

「じゃー、私の好きなところを言ってー(*´∀`*)」

「は?」

こいつは何を言っているのだろうか。イミガワカラナイ。

「だーかーらー! ポセイドンお兄ちゃんのようにー、歩も私の好きなところを言うのー! 私達のおしどり合を見せつけなきゃねー(`・ω・´)」

「はぁ..................。おっぱい、以上。これで満足か? じゃあ、頼むな」

「ひ、ひどーい Σ(・ω・*ノ)ノ」

いいから早くしろよッ!

お前なんておっぱいだけで十分だろ!!

それは壯絶な戦いの前とは到底思えない、なんだか白ける一幕だった───。

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後書き

今日のひとこま

~ネタバレ上等? アテナの野

「なーんかー、ずいぶんと話をひっぱるねー(o゜ω゜o)」

「當然だろ? ポセイドン様は今章のメインテーマである『躍進』の中心人だからな。話を引っ張るのは當たり前だ」

「テンポが悪くなってもー(。´・ω・)?」

「関係ない。むしろ、テンポのために、とかどうでもいい」

「ふーん。でもでもー、私の出番が増えてうれしーo(≧∇≦)o」

「お前、一応メインヒロインなのにな」

「そーだよー! メインヒロインが出番すくないとかありえないでしょーヽ(`Д´#)ノ」

「いやいや。その分、サブヒロイン他のの子が頑張っているから。これはそういうお話だから」

「コンちゃんとかー(。´・ω・)?」

「そうだな。後はニケさんとかアルテミス様とかな。メインヒロインアテナはサブヒロイン他のの子を輝かせる為のスパイスにしか過ぎないんだぞ?」

「それってー、異世界の名マヨネーズ的なー?(o゜ω゜o)」

「うーん。そこまで革新的かどうかは迷うところだな」

「私はマヨネーズですらないのーΣ(・ω・*ノ)ノ」

「むしろ、マヨネーズで良いのか?」

「とーぜーん! 大概の話には出てくるじゃなーい! マヨネーズこそメインヒロインにふさわしいよー(`・ω・´) 」

「そうか。じゃあ、今日からお前は『マヨネーズ』で良いぞ」

「やったー! よーやく、このお話にもマヨネーズがでてきたねー( ´∀` )」

「お、おぅ」

「ふっふーん。マヨネーズ私でいーっぱいにしてー、料理そのものニケ達みーんなを喰っちゃうんだーヽ(o・`3・o)ノ」

「それはやめろ!!」

なんというポジティブ思考。

アテナの野はどーんと大きいらしい。

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