《歩くだけでレベルアップ!~駄神と一緒に異世界旅行~》第268歩目 十連ガチャその後!

前回までのあらすじ

あーあr(・ω・`;)

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side -アルテミス-

「フェンリル! フェンリルはどこだい!」

アユムっちが去って以降も、あたしはまだどこか気分が高揚していたよ。

惚れた男に久しぶりに會えた喜びと惚れた男の思いがけない気遣いが嬉しくて。

「ふぅ......まさか、このあたしがね」

正直、自分でもびっくりするような心境だね。

だのだのとは無縁だとばかり思っていただけに。

ただ、アユムっちのこととなると、ニケちゃんが神らしからぬ行を取るようになる気持ちがしは分かった気がするよ。まぁ、あたしはまだそこに至るほどじゃないんだけどね。

『お呼びでしょうか、アルテミス様』

しばらくすると、音を立てることもなく現れたフェンリルが靜かにかしずく。

「あぁ。明日、あたしは下界に行くことになったよ」

『それは重畳。ただ......よろしいのですか?』

「パパのことかい? 別に構いやしないよ」

あたしは現在謹慎を言い渡されているさ。恐らく、後數萬年はこの調子だろうね。

言うなれば、籠の中の鳥のようなもの。天使のを失った天使にも等しいかも。

(いや、ここは敢えて囚われの姫といこうかね? 一応、王子様も出來たことだし。あひゃひゃひゃひゃひゃw)

だから、神界ですら自由に出歩くことを許されてはいないのさ。

ただただ、部屋にてつまらない仕事を真面目にしろと厳命されているよ。

「もううんざりさ。毎日がまるで地獄のよう。本當にここは神が住まう神界かね」

『......』

「幾らなんでもこれじゃ、あたしがかわいそうだとは思わないかい? 本當に息が詰まりそうだよ」

『ご心中お察しします』

「それに、今回あたしは言われた通りに仕事をするだけさ。誰にも文句は言わせないよ」

仕事を真面目にしろと言われたのだからそうするだけ。

仕事だから仕方がなく降臨するのであって、何も遊びに行く訳ではないのさ。

そう、仕・事・で・あ・れ・ば・パパでさえ文句を言えない訳だw

『畏まりました。供は必要でしょうか?』

「うーん。そこなんだよ」

『と、言いますと?』

「今回は恐らくニケちゃんもいるだろうからね。あたしがアユムっちを獨占する訳にもいかないのさ。そんなことをしたら殺されちまうからね」

『ニケ様、ですか』

「あぁ、心配には及ばないよ。あの事はすっかりと忘れているはずさ」

あの事とは、付き神ニケちゃんが最高神あたしに反逆するという前代未聞の大騒のことさ。

原因はニケちゃんの勘違いと嫉妬心だったけれど、それでも多くの神々を驚かせたね。

あの忠実無比で規定の鬼である神がまさか、と。

故に、ニケちゃんは神界を騒がせた罰として一部の記憶を失った。

當然、當事者であるあたしやフェンリルも迷や被害を被った一人となる。

あたしはパパから謹慎を言い渡され、フェンリルは他の神獣達から非難の的にと。

しかし、それはもはや過ぎ去った出來事に他ならないのさ。

だから、心配する必要はどこにもないし、心配そのものをする意味も全くない。

「とりあえず、フェンリルも準備だけはしておきな。アテナっちのお気にりなんだろ?」

『畏まりました』

「それと、下りる前にあ・れ・を用意するよう九十九尾に伝えておきな」

『あれ、ですか? もはや不要なのでは?』

「そっちじゃないよ」

『これは失禮しました。あれですね。委細承知しました』

全てを理解したフェンリルは來た時同様、音を立てることもなく姿を消した。

うんうん。余計なことを言わず、ただあたしの言うことに素直に従う。

それに、愚か過ぎず賢過ぎず、獣ペットってのは本來こうじゃなくちゃね。

アテナっちのお気にりとは言え、フェンリルはま・だ・使い道がありそうだ。

全ての準備を終えたあたしは手元の水晶を調整した後、覗き込むことに。

「おぉ! 知らない間に狐以外にもたくさん増えているじゃないか! これは楽しみだね!」

そこに映るは、下界に戻ったアテナっちにアユムっち。

そして、そんな二人を取り巻く愉快な仲間達の姿だった。

「子竜に、大勢の共にんげんか。いいね! いいねぇ!」

アユムっちと會った時とは違う意味で心がときめく。

今すぐにでも降臨したい、人間という未完の中にじって戯たのしみたいと心が弾む。

それはまるで渇いた大地に水が染み込み潤していく、まさにそんな爽快で気持ちの良い気分。

「さぁてと、どんなことをしてからかってやろうかね? あひゃひゃひゃひゃひゃw」

■■■■■

side -ニケ-

「はぁ..................」

大きな溜め息を一つ。

それと同時に自分のを抱き締めることに。

「......」

し震えているのが分かります。

先程までに殘る歩様の溫もりと匂いに包まれ、しばし幸せな余韻に浸っていました。

久しぶりに歩様に會えた喜びと歩様にされているという心の安らぎを噛み締めながら。

しかし───。

幸せであるほど、どうしても不安で仕方がない気持ちもまた膨れ上がってくるのです。

理想のと言われても拭いされない不安。大丈夫だと思っても晴れない憂鬱

神界でも「模範的な神」と言われている私をしても、往々にしてままならぬものです。

「はぁ..................」

再び大きな溜め息を一つ。

「ニケ様、いかがなされましたかな?」

そんな私の様子に気付いたバットが近付いてきました。

な"ーやテディなどは全くといっていいほど気付いていないのに、本當に目敏いです。

本當は一人になりたかったのですが、気付かれてしまったのならば仕方がありません。

「聞きたいのですが、本當に私は歩様に嫌われてはいないでしょうか?」

「先程まではとても仲睦まじかったようにも見けられましたが......なぜ、そう思われるのですかな?」

「......不安なのです。歩様はお許しくださいましたが、私は無禮を......いえ、わがままを言い過ぎたのではないかと。歩様に失されてはいないでしょうか?」

思い起こすは歩様の屈託のない笑顔のみ。

その笑みに噓偽りがないことは分かっています。

それでも、あまりにも醜い姿を見せてしまったように思われてなりません。

お許しはあっても、失されてしまったとあっては居ても立っても居られないのです。

しかし、バットからの返事はあっさりとしたものでした。

「杞憂ですな」

「そうですか? なぜ、そう言い切れるのですか?」

「言っていたではありませんか。わがままを言われるのは嬉しい、と。ご安心ください。彼は心の底からニケ様をされていますぞ」

「......」

それは分かっています。

されているという自信も確信もあるのです。

しかし、どうしてでしょう。幸せであればあるほど不安の種が盡きません。

ほんの些細なミスが原因で、歩様の寵を失ってしまうのでは? と怯えてしまうのです。

(はぁ......私は本當にめんどくさい神ですね。仮に、こんなことを私が思っていると歩様に知られでもしたら、それこそ......)

そう考えるだけで、不安で、恐怖で、絶が凍る思いです。

いくら負のに勝利しようとも、震えが止まる気配は一向にありません。

「......ふむ。まだご納得されていないご様子ですな」

「......」

「ニケ様はあれではないですかな? 彼との間に確かなしいのではありませんか?」

「確かな、ですか?」

確かに、それを得られれば安心できることでしょう。

何事にも決して揺らぐことのない、歩様との確かなを得られれば。

しかし、それが何なのかは皆目見當がつきません。

「既に彼からの言葉を告げられ、接吻も済まされた。となれば、あれ以外にはありますまい」

「あれ、とは?」

「ニケ様も知識としてはご存知のはず。男の睦み合いです。平たく言えば、を重ねることですな」

「!?」

思わず、息を呑んでしまいました。

一応バットの言う通り、雑誌を通じてその知識を得てはいます。

そして、私としてもそれを考えなくはありませんでした。

デート中の折、歩様が(心ので)まれていた時もありましたので。

「古來より、男の睦み合いによって『男はを満たし、にょしょうはじる』とも言われておりますからな。彼との間に確かなをお求めならば、これをおいて他にはございますまい」

「な、なるほど。雑誌の特集で大きく掲載される訳ですね」

ただ、それを行うのは別に良いのですが、一つの懸念事項が───。

「歩様の心のはどうあれ、言い出されないのならばんでいない、ということではないのですか? 私は歩様のお心に寄り添いたいのであって、まれていないことをするつもりはありません」

「それは違いますな」

「その拠を示しなさい」

「彼はいまだ貞の貞というものは自分からいざなうに勇気がいるものなのですぞ」

「そう、なのですか? んでいたとしてもですか?」

「その辺りの男の心は、にょしょうにはし理解しづらいものかもしれませぬな」

「そ、そうですか。不思議なものですね」

神獣ではあっても男オスであるバットがそういうのならばそうなのでしょう。

人間のがよく分からない私などよりも、元人間だったバットの言葉のほうがずっと信憑があります。

ここはそういうものだと素直にれましょう。

となれば、解決策は一つです。

「ならば、私からおいすれば萬事解決ですね」

「それはそれで考えものですな」

「どういうことですか?」

歩様がいづらいというのなら私から。

これのどこに問題があるというのでしょうか?

最も効率的かつ理に葉った方法のように思えてなりません。

正直、バットの助言はとても助かってはいるのですが......。

私は歩様との間に決して揺らぐことのない確かなしいのです。

それなのに......何だかまどろっこしくて、とても不快な気分になってきました。

それとも、これもバットの言う、には理解しづらい男の心とやらなのでしょうか?

「まだご経験がないから実できないのでしょうが、男の睦み合いはにょしょうにとっても重大時。軽々しく口にすることは相りませんぞ。下手したら、はしたないと思われるかもしれませんな」

「そ、それだけは絶対にいけません! 歩様に嫌われてしまいます!」

「ですから、彼もんではいても言い出しにくいのです」

そして、バットはこう続けました。

彼もまたニケ様と同じ気持ちなのですぞ、と。

そこまで教えられて、初めて歩様の苦しいお心を知ることができました。

何事も効率を図るだけでは上手くいく訳ではないのですね。勉強になりました。

しかし、では、どうしたら良いのでしょう?

恐れるばかりでは、いつまでたっても歩様との間に確かなを育むことができません。

(こんな時、アテナ様さえいらっしゃれば、スパッと解決策をご提示頂けるのですが......)

あぁ、もう!

もどかしいやら、焦れったいやらで、私はどうしたらいいのでしょうか!?

「そんなに難しいことではありません。彼がいつも言っているではありませんか。シチュエーションが大事だと」

「シチュエーション......」

「そういう雰囲気に持っていけば良いだけのことですぞ。さすれば、ニケ様からおいされても決してはしたないなどとは思われません」

「な、なるほど。そこまで斷言する以上、バットには良い雰囲気にする手立てがあるのですね?」

「手立てというほどのものではありませんが、し行えば効果はあるでしょうな」

「では、その方法を教えなさい」

その後、バットとの打ち合わせは降臨する直前まで続きました。

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後書き

今日のひとこま

~もう一つのその後~

「いやに遅いねぇ、竜殺しとおちびちゃんは」

「何を言うておる。いつもこれぐらいかかるものなのじゃ」

「そうなのかい?」

「そうだと言うておろう。靜かに待っておれ」

「(すんすん)......ん?」

「どうしたんだい?」

「今微かに主と姉さまの匂いがしたのじゃが......」

「何か気になることでもあるのかい?」

「いや、姉さまの匂いは間違いないのだがの? 主の匂いがどうにも......」

「竜殺しじゃないってことかい?」

「うぅむ。主の匂いであってそうではないものとしか言えぬの」

「なんだい、そりゃ?」

そう言われても困る。妾でもよく分からぬのだがの。

ただ、主の匂いと一緒に異・質・な・匂・い・も含まれておるとしか......。

「ただいま。ドール、インカローズ」

「なんだ、やっぱり竜殺しだったじゃないか」

「ん? どういう意味だ?」

「いやさ、狐のおちびちゃんがね、ちょっと」

「ドール?」

「......本當に主で間違いあるまいな?」

「俺でなくて何だって言うんだ?」

「い、いや、それにしては雰囲気というか強さそのものが全く違っておっての」

「お! さすがはドールだな。その通り、俺は強くなったぞ」

「じゃが、強くなったとかいう次元の話ではないようにも思うがの?」

「まぁ、々とあってな。詳しくは飯の時にでも話すよ」

「うむ。ならば楽しみにしていよう。それはそうと......主、し良いかの?」

「なんだ?」

「姉さまとは別の子おなごの匂いもするのぅ。どういうことじゃ?」

「は? なんのことだ?」

「妾の目は誤魔化せても、鼻まで誤魔化せるとは思わぬことじゃな」

「うーん? アルテミス様やニケさんの匂いじゃないのか?」

「違うのじゃ。お二人の匂いはしっかりと覚えておるからの」

「じゃあ、エリス様だ。もしくはメドゥーサ様だな」

「エリス様はともかく、メドゥーサ様は違うと斷言できるのぅ」

「どうしてだよ?」

「初めて聞いた名からすると、主にとっても初のお方であろう?」

「まぁ、そうだな。それが?」

「それが主の頭からぷんぷんと匂いが漂うほど懇意の仲になったとは到底思えぬ」

「!!!......そ、そうとも言えないぞ? さ、最後の見送りの時なんて激勵をくれたほどだしな」

「はぁ..................。主、往生際が悪いのじゃ」

「い、言い掛かりだ!」

「ほぅ? 素直に吐いたほうが良いと思うがの?」

「は、吐くもなにも何のことやらさっぱり」

「ふむ。ならば後悔するが良い」

「!?」

「この匂いはの、エリス様のものなのじゃ。しかも、相當濃い匂いじゃのぅ。メスの匂いそのものなのじゃ。ふむ......仮に接したならば著狀態といったところか」

「お、おま!? ニケさんが見ているかもしれないだろ!?」

「だからじゃ。だから、素直に吐けというたのじゃ。やましいことがないならば隠す必要はあるまい?」

「よ、余計な心配をさせたくないということもあるだろ!?」

「つまりは、何かがあったという訳じゃな? 主、何があったか話してくれるのであろうな?」

これ以上、主に余計な蟲がつくことだけは許せぬ!

ここはニケ様と共に図ってでも蟲の排除に努めねばッ!!

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