《歩くだけでレベルアップ!~駄神と一緒に異世界旅行~》第269歩目 ピンクの小符、コーラッ符!
前回までのあらすじ
ニケは私がいないとー、ほんとーにダメだよねー┐(´ー`)┌
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朝、いつものように目覚めると、俺のに異変が起きていた。
「い、いたたたたた!?」
全がまるで筋痛にでもなったかのようにが軋んでいる。
中のあちらこちらが、まるでこむら返りにでもあったかのように痺れているのだ。
「ハァ......ハァ......ハァ......。な、なんだこれは?」
こんなこと、中學時代にモテたくて無理して筋トレに勵んで以來のことだ。
まぁ、その努力が実ることはなかったんだけどさ? 結構頑張ったのにな、俺。
ともあれ、今となっては良い思い出さ。HAHAHA。うぅ、目から汗が......。
ただ、この痛みは───々な意味で、あの時とは比較にならないほどの激痛だと言ってもいいだろう。
「んぅ......歩、うるさーい......(^-ω-^)」
當然、大聲でのたうち回っていれば同室者が起きないはずがない。
いや、俺に無理矢理起こされたと言っても過言ではないだろう。
なんたって、アテナは最高の抱き枕だからな。運命を共にしたという訳だ。
「......主? 朝っぱらからうるさいのじゃ」
「......すぅ......すぅ......すぅ」
「バカトカゲ! 起きんか!」
「ふぎゃ!?」
続いて、ドールと(ドールに叩き起こされた)モリオンが目を覚ましていく。
三人とも、まだどこか寢惚け眼なのかぼんやりとしている。
口を開けばぎゃーぎゃーとうるさい連中だが、寢ている時と寢起きだけは天使のよう。
い、いたたたたた......痛みのせいで、この狀況をおしめないのが非常に悔やまれる。
「それで一何事なのじゃ?」
「お、俺にもよく分からないんだ。起きたら全が異常に痛くてさ......」
「それは奇っ怪な。というか、主はどこを向いて話しておるのじゃ?」
「す、すまん。だが、勘弁してくれ。しくだけでも痛いんだ」
俺は申し訳なく思いながらも背中越しから返事を返した。
無理すれば振り向けなくもないが、痛くて痛くてこのままジッとしていたい。
それに、今日はニケさんとのデートを控えている。
ついでと言ってはなんだが、アルテミス様の出迎えもある。
だから、それまでに治るのかどうかは分からないが、なるだけ安靜を心掛けたい。
だが───。
「((Φ∀Φ))」
「ア......ア......お姉ちゃん、どうしたのだ?」
「姉さまときたら......ほどほどにせよ」
「お、お前まさか!?」
そんな狀況の俺を、やつが見逃すはずなどなかった。
「背中越しのチャーンスΨ(`▽´)Ψ」
「いってぇぇぇえええええええええええええええ!」
言わずと知れた駄神ことアテナだ。
「Fu! Fu! Fu! ヽ(o・`3・o)ノ」
「や、やめろ! このくそ駄神!」
まるで鬼の首でも取ったかのように、俺の背中をツンツンと攻め続けるアテナ。
気分は國民的アイドル、三人組ユニット結だと言わんばかりにノリノリである。
「お姉ちゃん、楽しそうなのだ。我も一緒にしたいのだ......」
「やっちゃえー、やっちゃえー! あーははははは( ´∀` )」
そればかりか、俺がけないことをいいことに純真無垢な妹モリオンすら扇する始末。
「Fu! Fu! Fu! ヽ(o・`3・o)ノ」
「Fu! Fu! Fu! なのだー!」
「い、いたたたたたたたたたた!」
ツンツン、ツンツンと縦橫無盡に襲いくる魔の手。
容赦は不要とばかりに無慈悲に繰り広げられる犯行の數々。
「Fu! Fu! Fu! Fu! Fu! Fu! ヽ(o・`3・o)ノ」
「Fu! Fu! Fu! Fu! Fu! Fu! なのだー!」
本人らは至って遊び覚なのだろう。
事実、俺が痛がれば痛がるほどその様が面白いのか、ツンツンは一層激しくなっていく。
そこには神とお姫様の面影など全くない。
あるのは、ただただ犯行を面白おかしく行う犯罪者こどもの姿だけだ。
「さ、さっきから痛いって言ってんだろ! やめろ!!」
こうなってしまうと、仏と心を通わせた仏の歩さんもさすがに我慢の限界だった。
仏の顔も三度までというが、三度も我慢できるほど悟りを開けてはいなかった。
だから───。
「ハァ......ハァ......ハァ......。お、お前らがそうくるなら朝飯抜きな!」
「えー!? Σ(・ω・*ノ)ノ」
「ア、アユム! それだけは嫌なのだ!」
「ダメだ! ご飯抜き!!」
「はぁ......。やれやれなのじゃ」
こうして、アテナとモリオンには仏罰が下ることとなった。
仏様は信心深い信徒には優しいが、愚かな犯徒には厳しいものだ。
ちなみに朝食抜きとなったモリオンだが、きゅーきゅーと腹を空かせた妹を見かねたドールからこっそりとおかずを貰っていたことはアテナには緒だ。
「コンちゃん!?Σ(・ω・*ノ)ノ」
「緒だって言ってんだろ!」
■■■■■
朝食後、リビングにて───。
「長痛?」
「だねー(・ω・´*)」
やはり思った通り。昨日の今日で、この原因不明の激痛だ。
絶対神界に行ったことが原因だろうと思って、アテナに尋ねてみたら案の定だった。
それにしても、長痛などというものは聞き慣れない言葉だ。
「ふむ。主の急激な強化がそれじゃな」
「急激な強化? 付き人とウォーキングのランクアップが原因だとでもいうのか?」
「え......(´・ω・`)」
「主よ、それは本気で言うておるのか?」
「......」
アテナとドールから向けられる白い目が非常に痛い。
まるで出來の悪い子を見ているような......。
いや、どこか憐れみのも含まれているような気さえじる。
「のだ?」
対して、話を全く理解していないモリオンは小首を傾げるばかり。
そのつぶらな瞳のなんと天使なことか。ぜひ、このまま純真無垢に育ってしい。
それはともかく───。
いくらなんでも原因となっているものの見當は既についている。
ついてはいるのだが、認められなかった。いや、認めたくはなかった。
(それじゃ、ポセイドン夫妻の好意が臺無しになってしまうのでは?)
ポセイドン夫妻も決して悪気があってされた訳ではない。
むしろ、俺とアテナの婚約祝いだと、心から祝福してくださった結果なのだ。
まぁ、その結果が長痛という激痛込みなのはあまりにも予想外だったが......HAHAHA。
「何事もだいしょーはつきものだからねー(o゜ω゜o)」
「アテナ?」
「歩は特別といっても所詮は人間だからねー。不自然な長はがいじょーをきたすに決まってんじゃーん! とーぜんでしょーΣヾ(´∀`*」
「うぐッ!?」
二の句が継げない。アテナの言うこと、どれもが至極もっともだからだ。
喜びのあまり、そういうことにまで考えが至らなかった俺の愚かさが全て悪い。
ただ、仮にそこまで考えが及んでいたとしても、「じゃあ、お斷りします」とは到底言えなかっただろう。そこは辛いところだ。
「何はともあれ、強化されたのは事実。嬉しい悲鳴には違いあるまい」
「そんなあっさりと流すな。本當に辛いんだぞ?」
「ふんッ! 的苦痛がなんだと言うのじゃ? ものの數ではないわ! それよりも、辛い痛いばかり言うておらんで、回復魔法をさっさと掛けたらどうじゃ?」
「お、おぅ......」
うーん、厳しいッ!
ドールさんはどこまでいってもリアリスト。
厳しい上に優しさを一切じさせないところがとても素敵こわいです。
まだまだ現役の金玉がヒュッとみ上がる思いだ。
「ヒール!」
俺は言われるがまま、早速ヒールを掛けてみるも痛みが収まる気配は全くなし。
それどころか、ヒールを掛ける為にいた影響で、がギシギシと悲鳴を上げた。
「いたたたたた!?」
「ふむ。予想通りじゃな。主、ご苦労」
「お、おま!?」
ドールさんの無慈悲な宣告に恐怖。
あの、俺のを使っての実験とか止めてもらえませんかね!?
しは思い遣って! 主人に忠実だというなら、もうし思い遣って!!
「長痛は狀態異常じゃないしねー(・ω・´*)」
「そういうことは早く言って!?」
「すこーし考えればわかるでしょー! 歩はバカだねー! あーははははは( ´∀` )」
とはいえ、俺も「こうなるだろうな」とは薄々じてはいた。
回復魔法はあくまで毒や麻痺、ケガなどの狀態異常を治す魔法だ。
主に風邪などの病気を併せて治せるほどの萬能な魔法では決してない。
そういう観點からすれば、長痛はどちらかというと病気寄りだとは思っていた。
事実、その通りの結果となったので痛いことは痛いがショックはない。辛いけどさ?
ちなみに、狀態異常と病気の線引きは非常に曖昧な點が多い。
ただ『回復魔法で治れば狀態異常、治らなければ病気』というのが一つの基準となる。
こういういい加減なところは、「いかにもアテナが管理する世界だな」と思わされる。
(しかし、これは困ったな......)
ニケさん達を迎えに行く時間までにはまだしの猶予がある。
だからと言って、それまでに長痛が治まる保証はどこにもない。
いや、むしろ、治まらない可能のほうが高いかもしれない。
(最悪、迎えはアテナ達だけで行かせるか?......いや、それはダメだ)
心配でしかない。騒を起こしかねない。
そうなると、せっかくのデートが臺無しだ。
下手したら、アルテミス様のご機嫌も損ねてしまう恐れが......。
「ここは......急事態宣言でも発令するか?」
「やーだよー! 私は遊びにいくからねー( ´∀` )」
「控えろって言われているだろ!」
「主と姉さまは何の話をしておるのじゃ?」
ドールさん、わざわざ突っ込みありがとう!
そして、良い子のみんなは行政の指示にはしっかりと従おうな!
歩きのお兄さんとの約束だぞ?
と、注意換気を促したところで本題に戻ろう。
「本當に仕方がない主だのぅ」
「ドール?」
俺が途方に暮れていると、ドールが自分の懐を何やらまさぐり始めた。
そして、そこから取り出されたのは一枚の紙。
それを───。
「これでもっておれ」
「いってぇぇええええええええ!」
「これしきのこと。主はいちいち大袈裟なのじゃ」
背中をバシンと叩かれた痛みがを襲う。
涙ものだ。ドールさんの非さに泣けてくる。
「お、お前な! 本當に痛いんだから止めてくれ......って、おぉ!?」
なんというか、とても心地好い。
全の痛みをじんわりと和らげるような溫かさがを包み込んでくる。
凝り固まったを、まるでマッサージチェアでほぐされているようなそんなじ。
「うあー。気持ちえー。ドール、これは?」
「『サロンパ符』。凝りや痛みを和らげる鎮痛符じゃ」
「サロンパ符!? なに、そのサロンパス擬きは!?」
「よくぞ聞いてくれた。護符の研究過程で偶然出來た代なのじゃ」
「誰も『サロンパ符』の説明を尋ねてはいないんだけど!?」
しかし、これはとても助かる。効能は抜群だと言ってもいいだろう。
プチプチを一つ一つ潰していくように、じんわりと痛みが和らいでいく。
(それにしても、いつの間にこんなものを?)
元々、ドールは好奇心が旺盛というか、研究なところがあったのだろう。
食事と寢る時以外は基本的に自室に引き籠っていることがとても多い。
まぁ、そもそもの原因はカルディア王國中に充満している酒気によるものなのだが。
それでも、時折研究に夢中になり過ぎて寢食を忘れる傾向がある。
あまりにもを詰めすぎて、せっかくのもっふもふがバッサバサになるほどだ。
(とりあえず、好きなこと、やりたいことを自由にやれるようになったのは大いに結構なんだけど)
ただ、アテナはドールが構ってくれない不満で大きなを、モリオンはドールと一緒に遊べない不満でぺったんこなを痛めていることを、ドールはよくよくしっかりと反省してほしい。
「妾も大変重用しておる」
「重用してないで、しは反省しろよ!?」
「斷る!」
「斷んな!」
こいつ、ダメな子だ。好きな事や目標に向かって、貓まっしぐらなのだろう。
いや、ドールは狐だし、狐まっしぐらか? 仮に、ドールがそうなったらと思うと......。
(あのリアリストなドールが......ちょっとかわいいかも。うぷぷぷぷぷ)
その姿を想像するだけでも笑いが込み上げてくる。
あまりのらしさに、多數の企業からCM依頼が殺到してきそうだ。
と、冗談はさておき、どうやら事態は笑ってもいられないようだった。
「他にもの、騎士団の子おなご共に非常に人気のある『コーラッ符』に、解熱剤の『バ符リン』、トカゲの為には『ア符ロン』なんかも作済みなのじゃ」
「お前は一何を目指しているんだよ!? というか、反省しろって!」
々と酷いドールさんでした。
ただ、サロンパ符のおかげで長痛は無事治まることとなった。
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後書き
今日のひとこま
~偶然の産なのじゃ!(意味深)~
「なに、ドールは醫者でも目指すのか?」
「言うたであろう? 『サロンパ符』などは偶然の産であると」
「それは聞いたが、ドールは頭も良いしな」
「む? それほどでもあるのじゃ」
「認めた、だと!?」
「くふふ。もっと譽めてくれても良いのじゃぞ?」
「はいはい。賢い賢い。それで他にも何かあるのか?」
「そうだのぅ。主の為には胃腸薬である『キャ符ジン』なんかも用意済みじゃ。今夜あたりから必要であろう?」
「相変わらずネーミングは酷いが、ありがとう!」
「後は『眠眠打符』なんかもあるの。これは子作り用じゃな」
「それは違うよね!?」
「ふむ? 間違えた。『符ンケル』がそうじゃな。『眠眠打符』は寢ずの研究に役立てておる」
「寢ろよ!? というか、々と酷いな!?」
「どれも偶然できた産なのじゃ。大袈裟に騒ぐでない」
「本當に偶然できた産なのか? 怪しすぎるぞ?」
「本當は(主が襲ってくれるよう)薬を作るつもりだったのだがのぅ。どれもこれも失敗作なのじゃ。故に失敗した過程で出來たのだから偶然であろう?」
確かに、それならば偶然の産だ。
というか、薬を作るつもりだったって、なに!?
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