《歩くだけでレベルアップ!~駄神と一緒に異世界旅行~》第272歩目 いいから黙って頷いておけ!
前回までのあらすじ
あれー? 私はー(。´・ω・)?
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ニケさんをなんとか宥め、アルテミス様の6日間滯在も無事決まった。
「さぁ、これから楽しい楽しいデートの始まりだ!」といきたいところだが......。
チラリと後方を見遣る。
「アルテミスお姉ちゃん、よかったねー! 私に謝してよー(o゜ω゜o)」
「何言ってるんだい。アテナっちは何もしていないだろ?」
そこに居るのは、トラブルメーカーのアテナと悪戯大好きアルテミス様。
どう考えたところで、このまま二人を殘してデートになど行けるはずがない。
まず間違いなく何かしらの騒を引き起こすだろう。それも災害クラスの。
それは『人はいずれ死ぬ』という自然の理よりも明らかだ。
何か手を打たなければ......。
「歩様? デートに行かれるのではないですか?」
しかし、俺がそんな心配をしているとはとも知らないニケさんは大層不満顔。
アルテミス様に奪われまいとギュッと組まれた腕には力がっていた。ちょっと痛い。
「俺もそうしたいのですが、さすがに二人を殘して......というのは不安なんですよね」
「そうですか? 確かにヘカテー様とアルテミス様が心配なのは分かりますが、アテナ様も居らっしゃることですし、何も問題はないかと」
「いや、心配なのはアテナとアルテミス様なんですけどね?」
どんだけアテナを信頼しているんだよ!?
思わず突っ込みそうになったが、グッと我慢。
ニケさんが、アテナに心酔しているのは今に始まったことではない。
突っ込むだけ無駄だ。馬耳東風。馬に念仏である。
但し、俺とニケさんの間にある共通認識がアルテミス様なのは間違いない。
「ちょっと、ちょっと、二人とも! あたしを何だと思っているんだい!?」
「まっーたくー、アルテミスお姉ちゃんはさー ┐(´ー`)┌」
「いや、だから、アテナもだって」
「 Σ(・ω・*ノ)ノ」
とりあえず、この二人を何とかしないことには安心してデートになんて行けやしない。
■■■■■
「アルテミス様、これが俺の魔駆マイホームです」
考えた結果、俺が安心してデートに行く為には最低でも二人の監視役が必要だ。
一応ヘカテー様が居ることには居るが、正直當てにならないというか頼りない。
そこで、俺とニケさんの為の人柱になってもらおうと魔駆にやって來たわけだ。
勝算は十分にある。
アテナにはドールを、アルテミス様には中のをぶつける予定でいる。
「おかえりなのだ!」
「おかえり。遅いじゃないか」
「おぅ。ただいま」
出迎えてくれたモリオンとインカローズに帰宅の挨拶を済ます。
そして、モリオンにはアルテミス様を、インカローズにはニケさん達を簡単に紹介する。
ちなみに、インカローズにはニケさん達のことを『知り合いのお貴族様』という形で紹介するつもりだ。これはし考えがあってのことである。
「アルテミス様、こいつらはモリオンとインカローズです。俺の新しい仲間ですね」
「あぁ、知ってるよ。子竜に、山賊だろ? 神界で見たからね」
「神界で?......あぁ。そう言えば、水晶で見れるようにしたんでしたっけ」
「そういうこと」
ペロッと舌舐めずりして、二人を値踏みするアルテミス様。
それは、まるで新しいおもちゃでも見つけたかのように目をキラキラとさせている。
(......まぁ、そうなるよなぁ)
どうやら、モリオンとインカローズは悪戯の標的となってしまったようだ。
恐らく、アルテミス様は頭の中で「どのようにイジってやろうか」と目まぐるしく考えているに違いない。
こうなってしまった時のアルテミス様は無敵の神様だ。
神々の頂點に立つゼウス様の言うことすら聞かず、ポセイドン様の寵を失う程の。
故に対処の仕様はない。
モリオンとインカローズは安らかに仏してしい。なむー。
「アユム! アユム!」
俺が二人に靜かに合掌していると、最の姉ヘカテー様との再會の喜びを分かち合っていたモリオンが、珍しく神妙な面持ちで尋ねてきた。しかも、モリオンらしいおまけ付きで。
「......へぇ、いい度じゃないかい」
「お、おま!? なんてことを!」
今すぐ、アルテミス様を指差すのはやめろ!
酷い目に合うのはモリオンだが、俺にも累が及ぶんだぞ!?
「......モリオン、人を指差したらダメなんだぞ? 今すぐやめるように」
言いたいことは山程あるが、俺は努めて冷靜に諭すことにした。
別にモリオンが悪いんじゃない。
無知が、俺の教育不足が悪いのだ。
「そうなのだ?」
「そうだぞ。また一つ賢くなったな? えらいぞ!」
「なのだ!」
かわいく萬歳して「のだー!」と嬉しそうに微笑むモリオン。かわいい。
「よしよし。それで、どうした?」
「そうなのだ。こいつからは、ア......ア......お姉ちゃんと同じ匂いがするのだ」
「......こいつ、だって?」
「こいつもやめて!?」
さすがに、恐れ知らずというか無禮が過ぎる。
仮にこの場にドールがいたら、きっとモリオンを叱りつけていたことだろう。
まぁ、ドールもアルテミス様に無禮を働いたことは棚上げにして。
とりあえずツーアウトではあるけれど、モリオンには全く悪気がないことを(言わば、アテナみたいなもんだと)説明して、アルテミス様には俺から謝罪する。
「あたしは今気分が良いからね。特別に許してやるよ」
「ありがとうございます」
気分が良いのは、恐らく6日間滯在の件だろう。本當に助かった。
「子竜もそうだけど、竜族は相変わらず傲慢だねぇ。たかが酒の肴の分際でさ」
「竜族が酒の肴って......。そんなこと言えるのはアルテミス様ぐらいですからね?」
「肴は肴さ。それ以上でもそれ以下でもないね」
「アユム、『さかな』ってなんなのだ?」
「ん? モリオン風に言うと、ご飯だな」
「我、食べられちゃうのだ!?」
基本的に竜族ともなれば、その強さ故に捕食者側となる。
だから、自分が捕食されるなんて夢にも思っていなかったんだろう。
それが食べられてしまうと聞いたことで、ぶるぶると震え出すモリオン。
(恐怖するところがそこかよ!?)
でも、そういうところがかわいい。
確かに竜は絶品だ。噛めばが溢れ、味は癖もなくジューシー。
ただ旨いだけではなく、心を整える効果もあり、『薬用』とも言われている。
さすがに不老不死とまではいかないが、長壽間違いなしの『キングオブ』なのである。
故に酒の肴に限らず、ご馳走の類いとなる。
以前、アルテミス様より戴いた竜は王侯貴族に大人気だったらしい(コシーネさん談)
だからと言って、酒の肴目的で竜族を狩ろうとは決して思わない。
まず滅多に見掛けないし、そんなことをしていたら命が幾つあっても足りないからだ。
閑話休題それはそうと。
「モリオン、同じ匂いってなんだ? さすがに、アルテミス様ほどアテナは臭くないぞ?」
「......アユムっち、あっちでし話そうか」
「ひッ!?」
つい本音が!
「い、いえ、俺はアルテミス様の臭いが大好きなんですけどね? 本當ですよ?」
ただ、アテナがそこまで臭いかと言うと、それはそれで異議を唱えたい。
なんたって、アテナのは俺が毎日洗ってあげているからな。それはもう隅々まで。
だから、臭いどころか良い匂いがして當然で、アルテミス臭と同一視されるのは甚だ心外だ。
「アルテミス様の臭いが大好き......。私のは、私の匂いはどうなのですか!? 歩様!」
「ニケさんの匂いも大好きですよ! えぇ、大好きですとも!!」
だから、変な橫槍はしないでもらえませんかね!?
話がややこしくなりますから!
「おやおや、妬けるねぇ。あたしの臭いが一番だったんじゃないのかい?」
「......ノ、ノーコメントで」
ここで、その答えを出せる訳がない。
まぁ、アルテミス様もそれを分かった上での発言なんだろうが......。
(この神様ヒト、本當にタチが悪いなッ!)
しかし、タチが悪いのは何もアルテミス様に限ったことではなかった。
「歩、歩。それってさー(o゜ω゜o)」
「なんだよ?」
「心のをしゃべっちゃうとー、ニケを傷つけることになるからー(。´・ω・)?」
「お、おま!? それだと誤解されるだろ!? というか、時事ネタやめいッ!!」
「そうなのかい? なんだか照れるねぇ。あひゃひゃひゃひゃひゃw」
「そ、そんな......。私が一番ではないのですか!? 歩様!」
「ほら、誤解された! アテナが変なことを言うから!!」
「ちゃーんと答えればいいだけじゃーん! あーははははは( ´∀` )」
せっかく、ノーコメントでお茶を濁そうと思ったのに......。
普段はポンコツなのに、こういう時だけは機を見るに敏なアテナが憎たらしい。
しかし、悪いことはまだまだ続くようで、アルテミス様の口角が悪魔の口のようにきれいな弧を描いた瞬間、俺の背筋はゾッとした。
「あたしはね、アユムっちに臭いを嗅がれるのは別に構いやしないよ。さすがに『もう慣れた』からね。いつでも好きに嗅いだらいいさ。そういう『約束』だからね。そうだろ?w」
「ちょっ!? アルテミス様!? 何、ぶっこんでるんですか!?」
「......もう慣れた?......そういう約束?..................歩様、それはどういうことでしょうか?」
「ひぃぃ!?」
この後、滅茶苦茶デートの時間が減った。
■■■■■
アルテミス様の見境のない悪戯にも困ったものだ。
再びニケさんを宥め終えると、何やらインカローズが質問したそうにしていた。
実にらしくない態度だが、お貴族様相手にさすがに遠慮しているのだろう。
いや、恐らくは『あれ』が原因なのかもしれない。ハァ......。
「どうした?」
「いや、こんなこと聞いてもいいのかねぇ」
「遠慮しなくてもいいぞ」
「じゃあ......。そこのちっこいのはともかく、そっちの二人とはどういう関係なんだい?」
インカローズの言葉に、ニケさんとアルテミス様それぞれが別の反応を示した。
ニケさんは端正な眉をピクリとかした以降はキリッとした済まし顔に。
それは、己が絶対の彼であるという自信とそうであるはずとの不安を懸命に押し隠す姿、そう宣言されることを今か今かと待ちけている姿にも見て取れる。
対して、アルテミス様は呆れるばかりの清々しい笑顔に。
それは、好奇心旺盛で心をときめかす年のような姿、俺が何と答えるのか楽しみで楽しみで仕方がないといった姿にも見て取れる。
(ハァ......。また何か企んでいるんじゃないだろうな? もう勘弁してくれ)
一向に反省する様子が見られないアルテミス様にちょっとうんざり。
どう答えたところでイジられる運命なら、もはや諦める他はないだろう。
「ニケさんは俺の彼で、アルテミス様はただの知り合いだ」
「今は『まだ』ね。あひゃひゃひゃひゃひゃw」
「ま、まだ!? 歩様!?」
「......ニケさん、いい加減にしてください。アルテミス様の場合、あれもそれもこれも全て冗談ですから」
「も、申し訳ありません。......あ、あの、もしかして怒っていらっしゃいますか?」
「いえ、別に」
「そこは「キレてないですよ」でしょーがーヽ(`Д´#)ノ」
「やかましいわッ!」
怒ってなどいない。嫉妬されることも鬱陶しいとは思わない。
ただ、もうし信じてしいというか、ニケさんがあまりにも緒不安定過ぎる。
いや、仮に怒りの対象があるとすれば、それは───。
俺は泣きそうになっているニケさんから、諸悪の源たるアルテミス様へと視線を移した。
「うん? なんだい?」
「......」
「ヒュー♪ ヒュー♪ ヒュー♪」
剣呑な視線に気付いたアルテミス様は、白々しく口笛を吹いてやり過ごそうとしている。
さすがにやり過ぎたという認識はあるようだ。一応、これも惚られている効果だろうか?
とりあえず、この場が波となるのだけは防げたが、重い雰囲気が漂うことに。
だが、そんな暗い雰囲気を吹き飛ばすような出來事が突如起こる。
「ほら! 何をボサッと突っ立ってるんだい! あんたらもだよ! 早くしなッ!」
「「「はーい! マイ・首領マム!!」」」
インカローズの一喝を合図に、敬する首領と同じように一斉に跪く騎士団員達。
その一糸れぬ統率されたきは一見の価値あり。
まるで時代劇のお殿様場シーンを見ているかのような錯覚に陥る。
「うぉ!? な、なんだ!?」
「な、何事です!?」
「な、なんだい!?」
その景に、俺だけではなくニケさんとアルテミス様も口をあんぐり。
なぜ、インカローズ達がいきなりそんな行を取ったのかは不明。
また、約40名が一斉に跪いている景は得も言われぬ圧迫があった。
そして、それに続く3つの小さな影。
「へへー」
「へへー、なのだ!」
「アーちゃんとモーちゃん、違うよー。そこは「ははー」だよー?」
「ははー」
「ははー、なのだ!」
「ははー☆」
「......」
うん。この3人はこのままでもいいかな。仲良く遊んでいるし、何やら楽しそうだ。
これにドールも加わってくれたら、凄く場が和みそう。まぁ、絶対に無理だろうけど。
俺は3人の楽しそうな姿を橫目で楽しみつつ、インカローズに改めて尋ねた。
「えっと、何してんの? お前達」
「何って、敬禮に決まってるだろ?」
「何をしているのかを聞いているんじゃなくて、なんでいきなり敬禮しているのかを聞いているんだが?」
「いや、當然のことじゃないか」
インカローズが「何言ってんの?」と首を傾げる。
それに対して、俺も「何言ってんの?」と首を傾げ返した。
何が當然なのかがさっぱり分からない。
こういう時、異世界人との間で認識の違いを改めてじる。
(あれか? お貴族様に対しての禮儀というやつか?)
しかし、インカローズ達は元山賊。
権力へのびみたいなものには嫌悪があると思ったんだが......。
そもそも、そういう分別が出來るのならば、山賊などには墮ちなかったはずだ。
(じゃあ、なぜ?)
いつまで経っても要領を得ない様子の俺に、インカローズが口を開く。
「そ、そっちのお貴族様は竜殺しの彼なんだろ?」
「......」
インカローズが恐・る・恐・る・指差す先に居るのはしのニケさん。
それに対して、ニケさんの瞳が昏くる。
(というか、お前も人を指差すな! 紹介済みなんだから名前で呼べよ!)
いや、確かに呼びにくい気持ちは十分に理解出來る。怖いもんな?
呼べたとしたら、それこそ真の勇者だとも思う。怖いもんな?
仮に、俺がインカローズの立場だったら絶対に無理だ。だって、怖いんだもん。
それでも、モリオンの教育に悪いからやめてしい。
「そうだぞ。それが?」
「だったら、竜殺しの未來の正妻様な訳だ」
「......」
未來の正妻様という言葉に、ニケさんの端正な眉がピクリと反応した。
「あたいらは元山賊だからね。お貴族様への禮儀なんか知らないんだよ。だけど、そんなあたいらでも首領は絶対というルールぐらいはある。だから、今のあたいらの主人である竜殺しの正妻様なら、敬禮ぐらいするのは當然のことだろ?」
「なるほど」
上下間系に厳しい育會系のノリだろうか。
実に山賊らしい単純明快なルールだ。
まぁ、反抗的な態度を取られるよりかはよっぽどマシかな。
と、その時、ニケさんが嬉しそうに口を開いた。
「ふふ。立場をわきまえた素晴らしい判斷です」
その言葉と同時に、インカローズに掛けられていた圧が急速に弱まった。
何を隠そう、ニケさんは紹介時よりずっと圧を掛けていたのだから驚きだ。
原因はまず間違いなく『俺の初めてのダンジョンデートを奪った憎い敵』だからだろう。
ただ、そんな靜かに怒れるニケさんが圧を掛ける以上の派手な制裁が出來ずにいたのは、ひとえに俺が側に控えていたからこそだと思う。ドールの時と同じようなものだな。
そういう意味では、早々にインカローズを紹介出來て正解だった。
そして、インカローズもまた、今のニケさんに対してナイスな行に出たと思う。
「ふふふふふ! そう、私こそが歩様の『正妻』なのです!」
「「「ははー!」」」
「ははー」
「ははー、なのだ!」
「ははー☆」
緒不安定だったからこそ、『正妻』という言葉がクリーンヒットしたのだろう。
ニケさんのご機嫌はすこぶる良い。
そんなニケさんを見ると、俺も何だか嬉しくなってきた。
ただ、俺がどんなに「大丈夫ですよ」と言葉を盡くすよりも、インカローズの「正妻様」のたった一言で問題を解決出來てしまったことにはしショック。
つくづく思う、言葉選びって大切だよなぁ。
「やれやれ。相変わらずチョロい神だねぇ、ニケちゃんは」
「余計なこと言わないでくれますか!?」
言葉選びが大切だって言ってんだろ!
アルテミス様も言葉を選んで!!
俺はくわっと目を見開いて、そう訴えた。
一方、インカローズにも一つのお裁きが下される。
「あなたの罪は赦しがたい大罪です」
「大罪? 何のことだい?」
「......(くわっ!)」
さすがに、それではインカローズには何のことだが分からないはず。
それでも、俺は「いいから黙ってろ!」と目を見開いて、そう訴えた。
「ですが、その殊勝な心掛けにより、この度は恩赦と致しましょう。謝しなさい」
「あ、あぁ」
「これからもそうあるように。いいですね?」
「だから、何の───」
「......(くわっ!)」
困するインカローズに、俺は再び「いいから黙って頷いておけ!」と目を見開いて、そう訴える。
神様達(アテナは除く)のご機嫌を損ねる行為はバカのすることだ。
何のことだか分からないことでも、賛同しておくことこそが賢い選択に他ならない。
もうこれ以上、俺の楽しみを邪魔しないでくれよぉ!
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今日のひとこま
~お前も我のお姉ちゃんなのだ!~
「結局、同じ匂いってなんだったんだ?」
「同じ匂いは同じ匂いなのだ!」
「それが分からんと言ってるんだよなぁ」
「そう言われても、我も困るのだ」
モリオンも困るんかい!
「(すんすん)......やっぱり全然違うよな?」
「こらー! 勝手に嗅ぐなー! しつれーでしょーヽ(`Д´#)ノ」
「失禮? どの口が言うんだ? お前の存在自が失禮だろ!」
「ふぇぇ(´;ω;`)」
「アルテミス様はどういうことか分かりますか?」
「そんなの分かる訳ないだろ? 子竜に聞きな」
「いや、聞いても分からないから尋ねたのですが......。何、言っているんですか?」
「あぁ? 何か言ったかい?」
「ひッ! 何でもありません! ニ、ニケさんはどう思いますか?」
「そうですね。匂い、というのは何かの喩えという可能はありませんか?」
「何かの喩え、ですか。良い線いっているかもしれないですね」
「あくまで予想ですが、大きく外れているとも思えないんですよね」
鋭い考察、素敵です。
「となると、考えられることは......」
「アテナ様とアルテミス様はの繋がった姉妹です。だから匂いが似ていると、こう考えられませんか?」
「おぉ! さすがはニケさん!」
「ふふ。お譽めに與り栄です」
「そうなのだ?」
「お前が聞くんかい!」
「我は分からないのだ。でも、ア......ア......お姉ちゃんと同じ匂いがするのだ!」
「ふーん。まぁ、ニケさんの言う通りなんじゃないか? 知らんけど」
「じゃあ、こいつは、ア......ア......お姉ちゃんのお姉ちゃんなのだ?」
「こいつはやめて!? というか、いい加減に名前を覚えろよ」
「ちゃんと覚えているのだ! ヘカテーお姉ちゃんなのだ!」
「ヘカテー様だけな?」
「どうでもいいのだ!」
「どうでも良くはないだろ!? さすがにアテナがかわいそうだぞ?」
「アユム、うるさいのだ! お前はお姉ちゃんのお姉ちゃんなのだ?」
「あん? 確かにあたしはアテナっちの姉だけど、それがどうしたんだい?」
「じゃあ、お前も我のお姉ちゃんなのだ! よろしくお願いします、なのだ!」
「はぁ? あたしが子竜のお姉ちゃんだって? どういうことだい?」
「すいません、アルテミス様。モリオンはアテナの妹ということになってるんです。それに姉妹が増えるのがよっぽど嬉しいのか、片っ端から姉を作りまくってるんです」
「ふーん。そういうことかい」
「申し訳ないですが、ごっこでも良いので付き合ってあげてください」
「いやいや。面白そうじゃないかい。あたしは新しい妹を歓迎するよ」
「ありがとうございます。きっとモリオンも喜ぶに───」
「子竜! お姉ちゃん命令だよ! 酒を今すぐ持ってきな!」
「我はモリオンなのだ!」
「あぁ、そうかい。じゃあ、子竜。酒をさっさと持ってきな」
「アルテミス様も名前で呼んであげて!?」
「どうでも良いだろ? それよりも酒さ! 早くしな! お姉ちゃん命令だよ!」
それ、妹じゃなくて下僕扱いですよね?
あんたら姉妹はもうしだけ妹思いになれよ!
《書籍化&コミカライズ》神を【神様ガチャ】で生み出し放題 ~実家を追放されたので、領主として気ままに辺境スローライフします~
KADOKAWAの『電撃の新文蕓』より書籍化されました。2巻が2022年5月17日に刊行予定です!コミカライズも決定しました。 この世界では、18歳になると誰もが創造神から【スキル】を與えられる。 僕は王宮テイマー、オースティン伯爵家の次期當主として期待されていた。だが、與えられたのは【神様ガチャ】という100萬ゴールドを課金しないとモンスターを召喚できない外れスキルだった。 「アルト、お前のような外れスキル持ちのクズは、我が家には必要ない。追放だ!」 「ヒャッハー! オレっちのスキル【ドラゴン・テイマー】の方が、よっぽど跡取りにふさわしいぜ」 僕は父さんと弟に口汚く罵られて、辺境の土地に追放された。 僕は全財産をかけてガチャを回したが、召喚されたのは、女神だと名乗る殘念な美少女ルディアだった。 最初はがっかりした僕だったが、ルディアは農作物を豊かに実らせる豊穣の力を持っていた。 さらに、ルディアから毎日與えられるログインボーナスで、僕は神々や神獣を召喚することができた。彼らの力を継承して、僕は次々に神がかったスキルを獲得する。 そして、辺境を王都よりも豊かな世界一の領地へと発展させていく。 ◇ 一方でアルトを追放したオースティン伯爵家には破滅が待ち受けていた。 アルトを追放したことで、王宮のモンスターたちが管理できなくなって、王家からの信頼はガタ落ち。 アルトの弟はドラゴンのテイムに失敗。冒険者ギルドとも揉め事を起こして社會的信用を失っていく…… やがては王宮のモンスターが暴れ出して、大慘事を起こすのだった。 舊タイトル「神を【神様ガチャ】で生み出し放題~「魔物の召喚もできない無能は辺境でも開拓してろ!」と実家を追放されたので、領主として気ままに辺境スローライフします。え、僕にひれ伏しているキミらは神様だったのか?」 第3章完結! 最高順位:日間ハイファンタジー2位 週間ハイファンタジー3位 月間ハイファンタジー5位
8 105【電子書籍化決定】わたしの婚約者の瞳に映るのはわたしではないということ
わたしの婚約者を、わたしのものだと思ってはいけない。 だって彼が本當に愛しているのは、彼の血の繋がらない姉だから。 彼は生涯、心の中で彼女を愛し続けると誓ったらしい。 それを知った時、わたしは彼についての全てを諦めた。 どうせ格下の我が家からの婚約解消は出來ないのだ。 だからわたしは、わたし以外の人を見つめ続ける彼から目を逸らす為に、お仕事と推し事に勵むことにした。 だいたい10話前後(曖昧☆)の、ど短編です。 いつも通りのご都合主義、ノーリアリティのお話です。 モヤモヤは免れないお話です。 苦手な方はご注意を。 作者は基本、モトサヤ(?)ハピエン至上主義者でございます。 そこのところもご理解頂けた上で、お楽しみ頂けたら幸いです。 アルファポリスさんでも同時投稿致します。
8 76山育ちの冒険者 この都會(まち)が快適なので旅には出ません
エルキャスト王國北部、その山中で狩人を生業としている少年、ステル。 十五歳のある日、彼は母から旅立ちを命じられる。 「この家を出て、冒険者となるのです」 息子の人生のため、まだ見ぬ世界で人生経験を積んでほしいとのことだった。 母の態度に真剣なものを感じたステルは、生まれ育った山からの旅立ちを決意する。 その胸に、未知なる體験への不安と希望を抱いて。 行く先はアコーラ市。人口五十萬人を超える、この國一番の大都會。 そこでステルを待っていたのは進歩した文明による快適な生活だった。 基本まったり、たまにシリアス。 山から出て來た少年(見た目は少女)が冒険者となって無雙する。 これは、そんな冒険譚。 ※おかげさまで書籍化が決まりました。MBブックス様から2019年2月25日です。2巻は4月25日の予定です。 ※當作品はメートル法を採用しています。 ※當作品は地球由來の言葉が出てきます。
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