《ワールド・ワード・デスティネーション》1.2 季節の変わり目・小さな発見
朝起きると目の前には夏がいた。夏は大きな雲の子供をまるで帽子をし持ち上げるようなじでしだけ傾け、挨拶をした。そして春はすでに出発していってしまった後のようだった。
私は春が好きだった。誰だったか忘れてしまったけれど、昔私を大切にしてくれた人が春が好きで、よく二人で散歩に出かけたのだ。私はそこでたくさんの花の名前を知った。ホトケノザ、カキドオシ、トリカブト・・・。
夏が來たということは、冬をしまわなくてはならない。朝の支度を終えると早速部屋の使わないものの片づけにとりかかる。
部屋の中にあった防寒用のこまごまとしたものを段ボールにまとめてしまうと、部屋はすっかり夏をけれる準備ができたように見えた。私はその段ボールをもって外に出て、ドアにきちんと鍵をかけた。わざわざかけなくてもこんな場所にやってくる人なんていないのだけれど、(それに盜まれるも何もない。強いて言うならば海で拾った水晶くらいかもしれない。)それは決まりのようなものだった。南京錠はここへやってくるときに高橋さんがくれたもので、普通のより大きくがっしりとしていた。
私は使わない季節の日用品をし離れた場所にある倉庫に保管しておくことにしている。このあたりできちんと屋のついた建というのはレンガの家くらいしかないし、レンガの家は私が一人生活するだけでいっぱいいっぱいなのだ。
倉庫はドッグとは反対側の海岸線沿いに並ぶ使われていない石油タンクのうちの一つで、高さ10メートル、直徑30メートルほどの巨大な施設群だ。全部で5基ほど並んでいるが、多くは森の木々に埋もれてしまっているので外からだと確認できない。唯一北側の一つが自然の浸食を免れており、それを倉庫として使っているのだ。使われなくなってとても長い年月が経っているので、部はまるで學校の育館のようなじで、特に石油のにおいはしないと思う。
扉を開けると埃っぽいにおいは前より強くなっていた。いくつか並べてある箱の一番上に段ボールを載せて、私はまた倉庫を出た。
そこからは島の反対側を見渡すことが出來た。いつもドックから見えるのは沖の島々だったので、陸側を見るのは新鮮だった。そこには數件の家が並んでいるのが見えた。しかし向こうからこちら側の建造を見ることはできないだろう。そもそもほとんどが森の中にあるものだし、倉庫だって周りにツタが絡みついて自然のカモフラージュになっているからだ。
森を抜けていつもの海岸線沿いに戻ると、ドッグの上に段ボールが並んでいるのが見えた。高橋さんがやってきたのだ。
段ボールには高橋さんの作った野菜とビニール袋にったお米、それと夕張が詰めたと思われる小さな包みがっていた。
それぞれの贈りを什にしまった後、彼からの包みを開くとコーヒーパックと筆記用、ノートがっていた。私が絵を描くのが好きなことをきちんと知っているのだ。
コーヒーパックのパッケージにはカレーコーヒーと描かれていた。生産地が呉だったので、おおかた彼はまた地元で変なを売る店を見つけたのだろう。
ふぅむと思ってライターで苦労して火をつけてやかんで湯を沸かし、パックをそのなかに放り込んだ。
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