《格闘チャンプの異世界無雙 〜地球最強の男、異世界で更なる高みを目指して無雙する〜》
「…………む? ここは……?」
ふと目を覚ますと、知らない場所にいた。
確か、居眠り運転のトラックと力比べをしたのだったか。
次に目覚めるとすれば、病院のベッドの上か、死後の世界だと思っていたが。
俺はあたりを見回す。
どうやら、何の変哲もない森のようだ。
なぜこんなところに俺はいるんだ?
俺が狀況を把握しようと、辺りを見回しているとき。
「きゃあああっ!」
「むっ! の悲鳴か……。今向かうぞ!」
俺は森の中を駆け出す。
とりあえず狀況整理は後だ。
の悲鳴と言えば、相場は決まっている。
チンピラに襲われているのだろう。
もしくは、野生のに襲われているかだ。
ここは森の中だからな。
別に、を助けてモテモテになりたいわけではない。
襲っているのが人であれであれ、俺はそいつと戦いたいのだ。
わざわざ人を襲うような人やは、やや強い傾向がある。
俺をさらなる高みに導いてくれるかもしれない。
それにしても、我ながらずいぶんと走るスピードが速い。
まるで全盛期に戻ったみたいだ。
いや、ひょっとするとそれ以上かもしれない。
の調子がすこぶるいい。
そんなこと考えながら俺は走る。
の姿が見えてきた。
「くっ。ううっ」
がそううめき聲をあげる。
數人の男に押さえつけられている。
服をがされ、半の狀態だ。
必死に抵抗して、もがいている。
「暴れんじゃねえよ! また毆られてえのか!」
「ひゃはは! ボスに渡す前に、まずは俺たちで味見するぜ!」
「ガバガバにならねえように気をつけないとな!」
男たちがそう言う。
まさに今、を暴しようとしているところのようだ。
「そこまでだ! 賊どもめ!」
俺は大聲でそう言う。
男たちがこちらを見る。
「何だあ? てめえは!」
「けっ。通りすがりの冒険者かと思ったが……。見たところ丸腰じゃねえか」
「消えろ。ぶっ飛ばされんうちにな」
賊たちが口々にそう言う。
確かに、俺は丸腰だ。
別に、武の不使用に拘っているわけではない。
かつて、剣道やフェンシングに手を出したこともある。
しかし……。
俺が武を使うと、すぐに壊れてしまうのである。
壊れないように戦うためには、力を抑える必要がある。
そうすると、結局は武を使う意味がなくなってくる。
俺は、全力で戦える素手のほうが強い。
「ハッハッハ! 託はいい。かかってきな!」
クイックイッ。
俺は賊どもを手招きする。
「ちっ。なめやがって!」
「を犯すのは中止だ! まずはこいつをぶっ殺すぞ!」
「ぁ! お前はあとでたっぷりと可がってやる。逃げようとするんじゃねえぞ?」
賊どもが俺ににじり寄ってくる。
彼らはをとりあえずその場に放置することにしたようだ。
「あ……。ひぃ……」
は、半のまま座り込んでいる。
逃げる気力や勇気が湧かないといったところか。
賊どもは手に剣を持っている。
ただし、スキだらけだ。
俺が丸腰だから油斷しているのか。
この狀態の相手なら、先制攻撃で一撃で終わらせられるだろう。
だが、あえてここはけてみるか。
防はスキだらけでも、攻撃には秀でている可能もなくはないしな。
「見ろよ。こいつ、ビビって棒立ちだぜ!」
「今さら後悔しても遅いんだよお!」
「あの世で後悔しな!」
賊どもがそう言って、剣を振りかぶる。
なかなか手慣れたじだ。
それなりの経験はあるのだろう。
しかし殘念。
技が伴っていない。
男たちが無造作に剣を振り下ろしてくる。
「おらあっ! ……なにっ!?」
賊の攻撃を、俺はヒラリと躱す。
「たまたま避けたようだな。次はないぜ!」
「おらおらあ!」
ヒラリ。
ヒラリヒラリ。
俺は賊どもの攻撃を、軽く躱し続ける。
しして、賊どもがバテてきたようだ。
この程度でバテるとはな。
鍛え方が足りん。
「ぜえ、ぜえ……」
「ち、ちくしょう」
「あ、當たりさえすれば。當たりさえすらばお前なんか……」
賊どもが息を切らせながらそう言う。
確かに、避けているだけでは彼らの真の実力がわからないかもしれない。
攻撃の度は悪くとも、當たれば高威力の可能もある。
一度けてみるか。
「當ててみろよ」
俺は仁王立ちし、そう言う。
「なっ!?」
「なめやがって!」
「後悔しやがれーー!」
賊どもが大きく剣を振りかぶる。
俺にめがけて振り下ろす。
俺のを剣が襲う。
バキッ。
剣が折れた。
「ふむ……。やはり、當たってもこの程度か」
まあ実際にけてみなくても、おおよその威力の目処はもちろんついていた。
彼らののこなしや剣速では、俺のに傷をつけることはできない。
「バ、バカな……」
「ひいいっ!」
「に、人間じゃねえ! 逃げるぞ!」
賊どもがそう言って、俺から逃げ始める。
3人とも同じ方向だ。
やれやれ。
殘念だ。
やはり、俺を満足させる強者はなかなかいないか。
俺は賊どもに対する興味をなくしかける。
しかし、人としては見逃すわけにもいかないか。
俺は、最強を目指す傍らで、慈善活にもし手を出していたんだ。
「どこへ行く……」
俺は超速で移し、逃げる賊どもの前に回り込む。
俺はもちろん腳力も鍛えている。
この程度のやつらが俺から逃げることはできない。
知らなかったか?
この俺からは逃げられない。
「「「う、うわああああっ!」」」
賊どもが半狂になり、散り散りに逃げようとする。
この期に及んで諦めの悪い。
「ハッハッハ! マシンガンパンチぃ!」
「「「ぎゃああああっ!」」」
俺の怒濤の連撃をけて、賊どもがふっ飛ばされる。
そして、彼らは意識を失った。
……さて。
人としての責務は果たした。
この賊どもは、近くの街か村の警察にでも引き渡せばいいだろう。
あとは、この半で座り込んでいるをどうするかだな。
彼は、こちらを真っ赤な顔で見ている。
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