「それでは優勝賞品贈呈です！」

ファンファーレと同時に優勝賞金とクロスメードの所有権が手渡される、手渡されたと同時に再び歓聲が沸き上がりイゼは嬉しそうに手を観客に向けて振っていた。その後、2位の純平にも商品が手渡されその際にも歓聲が沸き上がっていた。

控室にて。

「イゼちゃんお疲れ様！」

そう言って楓が近寄ってくる。

「えへへ、優勝したよ楓！」

「おめでとう」

そう言って抱き合う二人その背後から一人の人間がやってきた、純平である。

「改めてお疲れ様、本當にいい勝負だったよ」

「どういたしまして！」

「で？何しに來たの」

相変わらず純平には手厳しい楓である。

「いや、これ以上は何もないよ。二人ともお疲れ様、またどこかで會うことがあればよろしくね」

「ふぅん、ならいいけど」

「うん、またね！」

そう言って純平とは別れたのであった。

その夜。

「「乾杯～」」

二人はグロコムにあるレストランで食事をとっていた、今回のイゼの優勝祝いである。一旦マキナは修理のために格納庫にて待っていてもらっている、優勝賞品であるクロスメードについても屆いておりそれも格納庫にしまってある。

二人とも今回は祝杯ということで運ばれてくるコース料理に舌鼓を打ちつつ、今まで生きてきた中であった話や試合中の話であったりと仲睦まじく過ごしていた。

そうこうしているにとっぷりと日が暮れ二人帰路へとついていた、話す容は今後どうするかということ。とりあえず今回手にれた優勝賞金はひどく傷ついたマキナの補修、修理、メンテナンス費用に回すことにして生活費用はこれまで通り運送業で稼ごうという話となった。もちろんイゼは最初は全額使うなんてもったいないと言っていたが楓に言いくるめられ了承することとなった。

そのころ…

格納庫にて。

格納庫にはマキナとアマディロが鎮座しており非常燈のに照らされ暗い中でもその裝甲は輝いていた。そんな中格納庫にて異音が響き始める、ギギ、ギギと何かしらが軋む音が聞こえる。その音は徐々に徐々に大きくなりピタッとやんだ。

その後數分間靜寂が訪れた後ピキッと何かが割れる音が聞こえてきた、それは軋む音と同じように徐々に音が大きくなりしまいにはビキビキと連続して何かにひびのる音が聞こえてきた。

そしてパンッと軽い何かの破裂音が響いたのを最後に再び靜寂が訪れるのであった。

「ただいま～」

そう言って反重力車の中へと元気良くり込むイゼ、その後ろを靜かについていく楓。荷を下ろしそれぞれの部屋へと戻ろうとしたとき、二人ともほぼ同時にとある違和に気づいた。その違和とは妙に室溫が高いのである。現狀原因はわからないにしろこの原因の元を見つけなくては、お互いそう考えたのか目を見合わせてすぐさま社の探索にあたる。

今のところほかの何者かが侵したといった痕跡はない、もちろんセキュリティは高度なものを搭載しているのでそうそう侵されることなどないはずなのだが。縦席側は特に問題なし、休憩室やキッチン、倉庫も問題はなかった。

では殘すところは、格納庫のみである。二人そろって格納庫のある方向へと近づいていく、溫度は近づけば近づくほど徐々に高くなっていった。格納庫にるためのスライド式ドアを開け中へとる、格納庫はあまりの暑さに天井に設置されたスプリンクラーが作している。しかしスプリンクラーから出された水はあるものにあたるとすぐさま蒸発して水蒸気と化す。

「なっ！？」

「えっ！？」

二人の目の前で熱を発し続けるその正は全がひび割れあちこちから赤や橙のを発しているマキナだった。

「マキナ！」

「イゼちゃん！」

走りだそうとするイゼの首っこを摑みその場にとどまらさせる。楓はすぐさま近くまでドローンを飛ばし様子を探るのだが。

「あまりの熱量とで近づけないし何が起こっているのか全く分からない！」

楓も見たことのない現象に戸っており何をしていいか分からない狀態である。ここから把握できることとしては顔まで全にひびがっており恐らく楓では修復できない狀態にあること、熱量がとんでもなく恐らくれてしまえば全大やけどは免れないだろう。よくよく見れば肩などをロックする部分が上にひん曲がっている、まるで側から膨大な力をかけられたように。

次の瞬間、二人の耳にバキッと何かが割れたような音がする。音がする方向を見るとマキナの顔の裝甲が弾け飛んだ。

「マキナぁ！」

「イゼちゃん危ないから！」

マキナに近寄ろうとするイゼを必死に止める楓、その間にも徐々に徐々にマキナの裝甲がはじけ飛ぶ。とりあえずはじけ飛んできた破片にあたらないようにに退避させてドローンで狀況を確認する。

により正しい狀況を把握することはできないがさらに裝甲が崩れていっていることがわかる。熱量も裝甲がはがれていくたびに上がっていき、汗がしたたり落ちる。じゅわじゅわとスプリンクラーの水が水蒸気に変えられる、どれだけ時間がたったのだろう。

意外と短かったのかもしれない、だが覚としては長かった。裝甲が剝がれ落ちる音が聞こえなくなった。ドローンはあまりの暑さにダウンしてしまっておりもう目視で確認するしかない。からそっとマキナのある方向を覗く、そこには。

新たな蒼い裝甲を纏ったマキナが鎮座していた。