「……みゃーこ。やっぱり今は何も言わないで？」

れるだけのキスだったのに、私は固まってしまってコクリとゆっくり頷いた。

「ごめんね。困らせたかったわけじゃないんだ。でも、もしみゃーこがしでも俺のことを男として見てくれるなら、考えてほしいなって思うだけ」

「……修斗さんのことは、ちゃんと男の人だって、わかってるよ」

「そっか。なら良かった」

微笑みながら私の頰にもう一度手を添える。

「じゃあみゃーこは、そんなただの男の俺をどこまでけれてくれる？」

「……え？」

「抱きしめるのは？」

反対の手でグッと引き寄せられるに、私は息を呑んだ。

「手を繋ぐのは？」

そしてその大きな手が頰から移して、私の小さな手と指を絡めるように繋ぐ。

「いいんだ？……じゃあ、このままキスするのは？」

今にも鼻がれ合いそうな距離まで近付いて、そう聞いてくる。

喋るたびに息が掛かり、私は固まる。

「……逃げないの？逃げないなら、キスしちゃうよ？」

「……さっき勝手にしたくせに」

「あれはノーカン。次は、もっとエロいやつ」

しでもいたらがれてしまいそうな距離で、なんて話をしているのか。

しかし。

その至近距離で、ペロリと自分の下を舐めた修斗さん。

その仕草が妖艶で、それこそエロい。

ドクンと跳ねた心臓が、痛いくらいだ。

「……してもいいなら、みゃーこの腰抜かすけど」

そう言って私のをソファに寢かせて、その上に馬乗りになる。

ぺたんこになった髪のを後ろに掻き上げた先。

わになった両目が、熱を帯びていた。

「……いいよ」

そう答えたのは、一種の気の迷いか。

ずっと信頼してきた人からの告白に、絆されたのか。

それとも。この人の視線とその真っ直ぐな想いに、心を撃ち抜かれたのか。

さっきのキスに、凝り固まった心をとかされてしまったのか。

……私は今、この人にをしているのだろうか。

「意味わかってる？俺もう止めらんないよ？我慢しないよ？……いいの？」

修斗さんの瞳に映る自分の表が、モノクロの世界でも赤く染まっていることがわかる。

決して、雰囲気に流されたわけではない。

だって、痛いくらいに高鳴るは、この人をしている。

───キスしたい。

抱きしめられて、手を絡めて。そして、キスしたい。そう思った。

これは、私の意思だ。

「……いいよ」

それは、始まりの合図。

すぐにれたは、今度はかさついておらずとてもらかで。

らかなが、私の鼓をどんどん早める。

私の両手に自分の両手をぎゅっと絡めた修斗さんは、そのまま私に噛み付くようなキスを繰り返した。

それに応えようと、をうっすらと開く。

その隙間を待ってましたと言わんばかりに、熱い舌がり込んできた。

「……ん、んあ……」

私の舌を絡めとり、ねっとりと口を犯す。

いつの間にか片手が離れ、私の頭の後ろを押さえてどんどん押し付けてくる。

修斗さんの首に手を回すと、私も同じようにグッと引き寄せた。

お互いの熱い吐息が絡み合い、部屋には嫌らしい水音が響く。

絡まる舌は甘く、熱い。

次第に薄くなる酸素。それが思考を停止させて私のを上気させる。

……あぁ、気持ち良い。

そっと離れた。キスの余韻か、頭はボーッとしていて。

「……やっばい……」

私の表を見て吐息をらすようにこぼれたその言葉が。私を見るその獲を狙う狼のような視線が。

私の心の奧底を刺激して、熱く濡らす。

「……みゃーこ。やばい」

「……」

「みゃーこを骨抜きにしようと思ったのに、俺が骨抜きにされた……」

私に負けないくらいの真っ赤な顔で、頭を抱えるように私の首筋に顔を埋める。

普段は私よりも何歳も年上で、余裕でいっぱいなのに。

その珍しく余裕の無い姿が可くて、無理矢理顔を引き寄せて、私からキスをする。

「私も、やばいかも。……もっとしてほしい」

恥ずかしくてすぐ視線を逸らすけれど、何も言わずにを起こされて。

「……そんな可いこと言われたら、もう止めらんねぇから」

橫抱きにされたかと思うと、ダブルベッドのある寢室に連れて行かれる。

そっとシーツの上に降ろされると、すぐに私の首筋をと舌が這う。

「……あっ……ま、って……」

「待たない。もう無理。みゃーこが可すぎるのが悪い」

「ひゃっ……ちょ、あぁっ……そこっ……」

「……そういえばみゃーこは耳弱かったね……。

ほら、もっと気持ち良くさせてあげるから。その可い聲、いっぱい聞かせて？」

甘い聲と共に激しいキスが落ちてきて。

二人重なったまま、シーツに沈む。

私は甘い刺激に何度もぎ、その度に目の前の彼は私にを囁き。

「也子。……大好き」

初めて呼ばれた"也子"。

それにギュッとを締めた私を修斗さんは何度も執拗に刺激して。

私はぶように鳴く。そしてそのまま意識を手放したのだった。