《とろけるような、キスをして。》返事をさせてください。(1)
*****
「……ふぅ。著いた」
ついに、帰ってきた。
飛行機の窓から見ていて知っていたものの、こっちでは雪が積もっていた。
到著ゲートに出た時にはすでに窓の向こうは真っ暗。急いで電車に飛び乗って、地元の最寄駅へ。
そこから歩いて実家にたどり著いたのは、夜の二十二時を回っていた。
キャリーケースを引きながら鍵を開けて家の中にる。
また一ヶ月放置していたからし埃っぽい気がした。
昨日伯母さんに立ち合いをお願いしていて、家の電気やガス、水道は開通していた。
伯母さんも年末で忙しいのに、謝しかない。
荷は一旦玄関に置いておいて、自室に向かいその寒さに震えた。暖房をつけると、そのまま私はベッドに倒れるように寢転ぶ。
「……帰ってきた」
口にすると、一気に実が湧いてきた。
この三ヶ月の間に何度かここに來ているけれど、帰省と実際に帰ってきたのでは心持ちが全く違う。
むく、と起き上がって、両親が映った寫真立てを手に取った。
「お父さん。お母さん。親不孝でごめん。ただいま」
やっぱり、この街が好きだ。この家が好きだ。
誰からも干渉されない都會の空気が心地良いとじる人もいるだろうが、私はこの街の人の溫かさが好きだ。
「……そうだ。連絡するんだった」
鞄からスマートフォンを出して、"深山修斗"の文字を探す。
著信履歴の一番上にその名前があるのが、見る度になんだかむずい気持ち。
『みゃーこ?著いた?』
「うん。ただいま」
『おかえり』
その聲が聞こえた時。家のインターホンが鳴る。
「……誰だろ。こんな夜遅くに。ちょっと待ってて」
パタパタと階段を降りて、玄関のドアを開ける。
「……え!?なんで!?」
「なんでって。會いたくて、我慢できなかったから」
ドアの向こうには、そう言って照れたように笑う修斗さんの姿があった。
「もしかして、ずっと待ってたの!?」
慌てて電話を切ると、ほんのり髪のに積もっている雪を払ってあげる。
「いや?大和んとこの手伝いに駆り出されて。それでそろそろみゃーこ帰ってくるだろうと思って抜け出してきた」
確かに事前に飛行機の時間は伝えてあったけれど。
カフェから歩いてきたから雪が付いているのか。
「寒いでしょ、りなよ」
中にるように促す。
「いいよ。顔見に來ただけだし、すぐ大和んとこ戻らなきゃだから。むしろ非常識な時間にごめんな。びっくりしただろ」
「それは全然良いけど……」
Vネックの薄手のニットにジーンズ、それにコートだけでとても寒そうだ。
「耳まで真っ赤じゃん。大丈夫?」
「うん。これくらい平気」
そう言って笑った端から、くしゅんっ、と小さなくしゃみ。
「全然平気じゃないじゃん。風邪引くよ?ちょっと待ってて」
修斗さんを無理矢理玄関の中にれて、急いで階段を登って部屋に戻る。
鞄の中から紙袋を取り出して、部屋の電気を消して玄関に戻った。
「本當に大丈夫だって」
「これじゃ私のせいで風邪引いたみたいになって夢見悪い」
「ふはっ、んなことないって」
修斗さんにそのまま紙袋を手渡すと、ん?と首を傾げる。
それがもどかしくて、袋を開けて中を出した。
それを広げて、修斗さんの首にふわりと巻き付ける。
「……ちょっと遅いけど……、メリークリスマス。……ほら、お世話になってるから。お禮も兼ねて!」
何も言ってくれないから、こっちが恥ずかしくて饒舌になってしまう。
今日は十二月二十七日。
クリスマスは過ぎてしまったけれど、プレゼントだけならまだ間に合うだろうか。
「……マフラー?」
「うん。こっちは雪積もってて寒いだろうなって思ってて。修斗さん、高校の時のこと思い出してもマフラー巻いてるのあんまり見たことないなって思ってたから。ちょうど良かった」
グレーのマフラーは、修斗さんの著ている黒いコートと味も合っていてとても上品でかっこいい。
似合うと思って買ったけど、ちゃんと似合っていて安心した。
「風邪引かないでね」
修斗さんはマフラーを數回り、そこに顔を埋める。
「……マジで嬉しい。ずっと使う。ずっと大切にする。ありがとう」
くぐもった聲が、本當に嬉しいのだとじて私も嬉しい。
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