《とろけるような、キスをして。》修斗の記憶(3)

「あ、深山先生」

「四ノ宮先生」

「先生もコーヒー飲みにきたの?」

ある時、ロトンヌでコーヒーを飲んでいると四ノ宮先生が隣に座った。

そして、生徒たちの話をしている時に、電話がかかってきた。

「もしもし、也子?」

その聲に、俺はカウンターに突っ伏していた顔をパッとあげた。

也子、元気にしてる?ちゃんとご飯食べてる?」

その會話に耳を澄ませるものの、當然ながらみゃーこの聲は聞こえない。

大和と雛乃も"みゃーこちゃん?"と口パクで俺に聞いてきて、"たぶん"と返すと數回頷いた。

一分ほどで終わった電話。

四ノ宮先生がスマートフォンの終話ボタンをタップした瞬間に我慢できずに詰め寄った。

「先生、今のってみゃーこ?」

「え?うん。そうだけど」

「みゃーこと連絡取ってんの?」

「そりゃ、従姉妹だし。心配だからね。週に二、三回は電話で喋るよ」

「……マジか」

俺も卒業式の時に連絡先聞けばよかった。

「何、どうしたの深山先生」

「こいつね、みゃーこちゃんのこと本気で好きになっちゃったらしくて。それで毎日のように落ち込んではここでコーヒー飲んで俺に愚癡るんだよ」

「え、そうだったの!?」

「うん……」

四ノ宮先生は俺とみゃーこが仲が良いとは思っていたものの、まさかそんなことになってるとは思いもせずに驚いていた。

そして、それ以來みゃーこと電話したり連絡を取ったりすると、必ず俺に教えてくれるようになった。

そして數年が経ち。

「深山先生、私今度結婚することになった」

「おめでとう。ようやくだね」

四ノ宮先生が結婚することになった。その時は純粋におめでたい。その気持ちだけだったものの。

「だからね、結婚式に深山先生來てね」

「そりゃ、もちろん招待してもらえれば喜んで行くけど……」

そこまで言って、もしかして。と気が付く。

「うん。也子もどうにか呼ぶから。だから深山先生、絶対來てね」

「……ありがとう、四ノ宮先生」

最近のみゃーこが元気が無いって。聲が落ち込んでるって。四ノ宮先生が言っていた。

やっと、みゃーこに會える。そうしたら、この気持ちを伝える。そして、今度こそ。自分の手でみゃーこを救いたい。守りたい。もう、失いたくない。

その一心で、仕事にもが出た。

そして、あの結婚式で再會したのだ。

みゃーこの振り袖姿があまりにも綺麗で、四ノ宮先生に頼み込んで寫真を撮ってもらったり。

でもそんなに必死になるくらい、俺にはみゃーこしか見えていなかった。

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