《元豚王子VS悪役令嬢》第45話 アルデン國へ向けて

「いいじゃないですかっ!僕も連れてってください!兄上!!」

「いやダメだ!危険な病が蔓延している所にユリウスくん達子供は連れてけないの!」

「そうですわ!ユリウス王子…ドラグーに會いたいのは判りますが…王宮でお留守番していてくださいまし!」

とクラウディアも念を押した。

出発の朝、馬車の前でユリウスくんが連れて行けと言うので困ってしまう。

しかしそこで…

「ふーむふーむ!じゃ俺が代わりに付いてこうかな!暇だし!アルデン國にも行って見たかったしな!またあの現象を見るのも楽しみだわ」

と聲を掛けてきたのは…

久々に見た従兄弟のローマン・エーレンフェスト公爵子息だ。父上…國王の弟の息子だから王弟の息子ってことだなローマンは。

「ローマン!」

「やあ!ジーク!またまた久しぶりだな!」

と同じような金髪碧眼の従兄弟と木に激突して気絶したお見舞い以來久しぶりに會った。ローマンは従兄弟だけあり、俺似の形でもあるからこいつもクラウディア狙いじゃないかハラハラしている。

「ローマン兄様…ずるいです!僕もアルデン國へ行きたいのに…」

「そんなのいつでも行けるって!アルデンが浄化されるまではお子様は王宮で遊んでおきなっ!」

とローマンはユリウスくんの頭をでた。

ユリウスくんはブーブー言ってたが渋々納得した。

「ふむ…出かけるのか?ならば…我が留守を任されよう!」

といつの間にかコンちゃんが両手にすっごいグラマラスセクシーなお姉さんを連れて艶艶しながら現れた!

「おい!このケダモノを王宮にれたのは誰だ!!」

「酷い…小さなお子だけでは可哀想と思い守りに來てやったのに…」

「すみませんコンチャーン様…僕なら大丈夫ですよ?というか王宮に庶民の娘を勝手にれてはなりませんよー?」

「…そうなのか?」

「そうだよっ!!」

「仕方ありません…留守は僕が任されましょう!兄上!この王宮は僕がいかがわしいケダモノから守ります!!」

「頼もしいぞ!我が弟よっ!!」

ガシっと握手をわしユリウスくんにあのケダモノのことを任せて俺たちはアルデンに向けて旅立った。

馬車や馬を引き連れた兵士や護衛騎士達が遠ざかるのを見送っていたユリウスの袖をクイクイと引っ張るローゼ。

「ん?どうしたの?ローゼ…」

ローゼはユリウスを連れて行く。そして妹のエリーゼの部屋の前に止まった。

「!?」

ユリウスは扉を開けると…可い妹のエリーゼがいない!

「あいつまさかっ!!」

ユリウスは焦った…。追いかけるか?

いや…もう遅い…。

「ローマン兄様だ…。エリーゼに頼まれたら弱いもんなあの人…」

はあっ…とため息をつくユリウスは早々に諦めて

「ローゼ…しばらくゆっくりしていいよ…」

とユリウスが言うと彼はまたユリウスを引っ張って別の部屋へと行った。

「どうしたの?ローゼ…そこクラウディアお姉様の部屋だよ?」

ローゼはそこにり恐る恐るクローゼットに近づいてドレスを指差した。

「!?…ローゼ?えと…まさか?著たい…の?」

ローゼは震える指で必死にクラウディア姉様のドレスを指していた。

この後ユリウスはローゼ用に服を注文しそれを著たローゼを見てぶっ倒れるというローゼちゃん可すぎ事件を知るのはもうし先のことだった。

街道を通り抜けアルデン國へと続く荒野を馬車で走っている中…ローマンが大きな箱を持っていることにいつ切り出そうかと悩んでいた。

「ローマン様…何ですの?その箱は…?」

クラウディアが先に聞いた。

「んー…もうそろそろいいか…だいぶ國から離れたしな!」

とローマンは箱を開けると中から金髪で夜の瞳を持つ妹のエリーゼちゃんが出てきた!!

俺とクラウディアは一瞬白目になった。

「なっ!!エリーゼちゃん!?何でここにっ!」

「ローマン様っ!どう言うつもりですの?エリーゼ様はまだ子供だと言うのに!!ユリウス王子だって我慢させたのに!示しがつきませんわ!」

「あはは…だってさぁ…可い従妹のエリーゼちゃんに(お兄様とクラウディアお姉様に言ったら絶対にダメって言われるもの!ローマンお兄様しか頼れる人いないの!)って言われちゃったら協力するしかないだろ?」

ビッと親指を立てられこいつ毆ってやろうか!

と思ったがエリーゼちゃんが俺のお膝に乗って

「ごめんなさいお兄様…私どうしてもリヒャルト王子のことが心配なのです!著いて行きたかったのです!罰なら後でけますからどうか連れてってください!お願いします!」

と可くねだられて俺は陥落した。

「くっ!うちの妹可い!!」

「だろう!?こんなん可すぎて無理!」

ローマンと俺は妹バカが発した!

「ちょっと!貴方方!危険な場所に行くのですよ!?いくら可くてもダメです!」

するとエリーゼちゃんは

「クラウディアお姉様…ごめんなさい…エリーゼ…お姉様の事も心配なのですわ!お姉様がもしいなくなったら…お兄様も悲しみます!」

「きゅうううんっ!!」

クラウディアもエリーゼちゃんにノックアウトされた!!

「何なのです!この可い生きは!ずるいですわ!」

結局馬車の中で2人のだらしない兄や婚約者はエリーゼちゃんにデレデレでアルデン國へと向かった。

夕方は森のり口へテントをり野営をする。魔が現れるとクラウディアや兵士達を筆頭に闘う。國の外は當然魔は出る。

ローマンにエリーゼちゃんを預けて俺も剣を取ったが

「おい!ジーク!剣もまともに使えないのに足手纏いだ!辭めろ!」

と止められたが、

「大丈夫!それにもし怪我してる奴がいたら俺なら治せるし!」

と飛び出した!

「…あいつ…本當変わったな」

「はい!お兄様は立派なのですわ!」

エリーゼはにこにこと言った。

外に出て1人の兵士がしゃがみ込んでいた。肩からが出ていた。

「おい!大丈夫か!?」

と俺はその兵士の傷を治した。

軽傷だったようだからすぐに塞がった。

「殿下!!私なんかの為に!お力を!!」

「なんかとか言うなよ!お前だって1人の人間だ!命大事にしな!」

「ううっ!殿下!!私がでしたら惚れてしまいますっ!」

「いや…辭めてくれ」

その時兵士の背後から塊がよたよたと近付いてきたのが見えた!!

俺は兵士を突き飛ばして塊目掛けて剣を振り下ろした!

嫌なと共に一気に両斷した塊はかなくなった。斬るとやはり凄い異臭がした。

「………」

俺は初めて魔を斬った!

「殿下!!」

兵士が駆け寄り怪我がないか確認した!

「闘いは私にお任せを!!」

「…こっそり歩いてくる魔もいるぞ!」

「…油斷しておりました!次は気をつけます!」

しかしそれを最後にクラウディア達も戻り何とか夜は明けた。

クラウディアが俺が魔を一匹斬ったと聞き、駆けつけた。

「ジークヴァルト様!大丈夫ですか?お怪我は?」

「してない平気…」

俺は魔を斬った…。あんな嫌なとは。

「クラウディア…ごめんよ…あんなのといつも闘わせて…」

「もう慣れてますわ…」

「慣れちゃダメだ…そりゃクラウディアは剣を習ってきたんだろうけど…魔って何なんだろう…何故世界には魔が生まれてくるんだろうか…」

と言うとクラウディアは驚いて目を開いた!

「ジークヴァルト様…そんな事私考えても見ませんでした!魔はいて當たり前だとい頃より思ってました。皆そうだと思いますわ…」

俺はそれに違和を覚えた。

「んん…俺が転生者だからそう思うのかもしれない…おかしいよ…原因が何なのか誰も追求しないとは…」

「確かに…言われてみればそうなのです…。今ようやくおかしいと思いましたわ…ジークヴァルト様に言われて…」

俺の違和は當たったようだ。この世界には魔王と言った者はいないはずだ。聞いた事もない。なのに魔は生まれる。自然に。倒しても倒しても…。ライトノベルの設定と言ってしまえば早いだろうがこれの調査もしていかねばと俺は思った。

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