《元豚王子VS悪役令嬢》カミルの溫かな幸せ

僕、カミル・リーンハルトはエルネスタ公國の第二公子だ。

アスカ様と婚約できて幸せいっぱいなのにやはり自信がない。

「顔が…普通すぎて………」

「何言ってるのカミル様」

といきなりアスカ様が僕の部屋に転移魔法を使ってくる。

「うわあああ!びっくりしましたーー!!」

手にはおのお皿を持っている。

「カミル様も食べる?」

「あ、はい!」

と隣のソファーに座らせていただく。

モグモグモグモグモグモグ…。

咀嚼音が部屋に響きの匂いがする。

「アスカ様…僕と婚約して…良かったんですよね?僕顔も普通で申し訳ないですけど…」

「カミル様そればかり言うね。いい?この世界イケメンが多い…。それに比べてカミル様は普通!普通いいわ!イケメンは3日見れば飽きる!!普通は気楽です。ずっと気楽!」

モグモグ…

どうしよう…意味が解らなくなってきた。

モグモグ…

「アスカ様…あのぉ…僕たち會ってもいつも食べてばかりですね」

「………!!!」

アスカ様は気付いてついに手を止めた!!口はだらけだ。

そっと布を渡すとゴシゴシ拭いた。そしてなんと皿を機に置いた!!アスカ様がおを置くなんて!!

「くっ!!私!!そう言えばカミル様の婚約者だわ!!」

「ええっ!?さっきも言ってたのに!!」

しかしアスカ様は

「カミル様!!何故デートにってくれないのですか!!デートとは二人でお出かけすることです!!」

「ええっ!?だっていつ見てもお食事されてるので邪魔してはと…」

「くっ!!ダモン達が暴れたせいで、エルネスタは復興中!!こうなったら他の國にデートに行きましょう!私の転移魔法ならすぐです!」

「そう言えば、他の國ではありませんが、ほら、アスカ様とお會いしたメルト村。あそこは被害もなくて、今日お祭りをするみたいですよ。行ってみますか?たくさん味しいものもあります!」

味しいものと聞いてアスカ様は目を輝かせた!!

「行くっ!!」

そしてアスカ様と僕は転移魔法でメルト村に著いた。お祭りの準備をしていたメルト村の人達は

「カミル公子様!!それにアスカ様だ!!」

「おおっ!よくぞお越しに!!」

と歓迎される。村は花や果にご馳走のテーブルなどが並べられて立食形式だ。

それから可らしいランプが飾られ夜になると點燈されて、村の中央では男がダンスを踴れるようになっている。ダンスと言っても貴族みたいないものじゃなくて楽しい音楽に合わせて手を取り合い踴る庶民のダンスだ。

「夜まで暇ですね…ごめんなさい、夕方に來れば良かったですね」

「カミル様折角だし村を周りましょう。あ、天商だわ」

と地べたでを売っている村人を発見する。こういう人は結構ボッタくるんだよな…と思ったが僕たちを見ると天商のおじさんは気を良くして

「カミル様!!アスカ様!!ようこそ!!エルネスタ公國を救ってくれた方達!どれでも好きなものどうぞ!食べがなくてすみませんが…」

と言う。本當はジークヴァルト王子達のおかげなのでカミルはほとんど何もしてないのに。アスカ様と僕が婚約したことは小さな國ではあっという間に広まっていた。

アスカ様は珍しげに面白い人形やらおもちゃで遊んでいた。気にったのかな?と思っていると別のお客さんの人達が覗き込んで、

「おじさん!これくれないか?」

と若い男が可らしい髪留めのアクセサリーを人のの人にプレゼントして二人は笑い合い去っていく。それを見ていたアスカ様はおもちゃを置いてアクセサリーを眺め始めた。

「カミル様!何をボーッとしてるのですかっ!早くカミル様も選んでください!私への婚約指!!」

ブッ!と僕は噴き出しそうになった!!

「えっ!?アスカ様!こんなとこで婚約指なんて!!」

おじさんも驚いて

「アスカ様!そんな!もっと公都が復興して寶石商から買ってくだせえ!ここにあるのなんて大したことない石でできたわし手作りの庶民用の安い…」

と言ったが、

「値段なんていいわ!おじさんが頑張って作ったんでしょ!?中々いい腕してるわ!!」

と親指を立てておじさんはウルウルし出した。

「わしの作ったもんを…ありがとうございます!アスカ様!!」

「これだわ!カミル様!」

と花の形の指を見つけたアスカ様。

「ならどうぞ持っててください!もちろんお代はいりません!!」

とおじさんは涙ぐんだ。

お花が咲いている所に來てアスカ様の白い指にさっきの指を嵌めるとアスカ様は微笑んだ。とても綺麗だ。アスカ様は誰が見てもだが、滅多に笑わない。僕も數回しか見たことがなくて本當に嬉しそうだ。

そしていきなりキリっとした顔で

「カミル様!!こういう時は抱きしめていただいて構いません!」

とキッパリ言って

「えええーっ!」

と驚く!そんなことを言い出すとは思わなかった!!

いつも食べることしか頭にないアスカ様がっ!!

アスカ様はもはや両手を広げて待っていた!!えええー…。!?

仕方なく照れながらソッと抱きしめると背中にガシっと痛いくらい締め上げてくる!!

「痛いです!」

「はっ!ごめんなさい!抱きしめられたことなんかないから力加減が!!」

「いや抱きしめるのは僕の方です!」

「…そうね…うーん…ドラマでは…」

とブツブツ言っている。

「ふふふ、アスカ様は溫かいですね!僕の太です!」

と言うとアスカ様は

「あれ?私ってヒーターかカイロ的なものなのかしら?」

とよく解らないことを言うけど僕は嬉しくて幸せだ。さっきまで自信はなかったけどアスカ様が側にいればとても心が溫かくなって満たされていく。

「アスカ様…好きです…」

僕はうっとりと彼を見つめるとアスカ様の頰は淡く染る。その頰にチュッとキスをして笑うと

「カミル様…こういう時は口なのではないかしら?ジークヴァルトとクラウディアを見習うといいの」

「いや、見習えと言われましてもー…」

と頭をかく。見たことないよ!!

「そのうちでいいでしょう、ゆっくり歩みましょう…だめでしょうか?」

「カミル様らしいからそれでいいです…でも…」

「でも?」

「クラウディアに子供が出來たって知らせが來たらすぐに私達も子作りしたいです!!」

「え??何でですかっ!?」

「ジークヴァルト達の産まれてきた子供とカミル様と私の子供を同年代のお友達にして差し上げたいのです!!友達大事ですわ!!………私は子供の頃…ちょっと寂しい思いしてヘルマにいた頃同年代の友達なんていなかった…自分の子供にはそんな寂しい思いしてほしくないわ」

と言った。僕は兄や弟がいたけど…アスカ様は……。

まだアスカ様のこと知らないことが多い。

「アスカ様…判りました。そうしましょう!いっ…いつか僕にアスカ様のこと…たくさん話してくれたら嬉しいです!」

「………ちょっと驚くかもしれないよ?あんまり他の人に知られるのもダメだけど…緒だよ?」

とアスカ様は約束してくれた。

夜になり、村で一緒にダンスを踴った。ランプが輝き、楽しい音楽で村の人達は笑顔で騒いだ。

それからしばらくして僕はアスカ様のことなんかを知った。その力もそういうことなのかと知った。誰にも言わなかった。ジークヴァルト様たち等ごく僅かしか知り得ないことだろうしね。

クラウディア様が懐妊なさったと聞いた頃に僕はアスカ様と子作りを始めてアスカ様も同じ歳に懐妊なさりようやく友達を作ってやれるとアスカ様は喜んだ。

「名前はミリヤムにしましょう!ほら、あのメルト村に咲いていた花の名前がミリヤムと言うのです!」

「なるほどー…モグモグ…」

とアスカ様は赤ちゃんの分も今までの倍食べるようになった。

産まれた子もかなり食べる子だったし、伝なのだろうか?

何故かアスカ様のお力を引き継いでもいるし。

殘念ながら顔は普通で僕に似てしまったがアスカ様は喜んでいた。

その一年後またすぐに解任してしまったアスカ様は可いミリヤムの妹を産んだ。ミリヤムの妹はナタリーと名付けた。

顔はアスカ様を引き継ぎだが、格は穏やかで僕に似て普通だった。

力は無くて普通にだった。

アスカ様は不死のではなくなり普通に僕と年取って死ねることに喜んでいた。奇跡のおかげとも言っていたからジークヴァルト様とはミリヤムとナタリーとアスカ様を連れてよく訪れたからジークヴァルト様の息子のヴィルフリート王子とミリヤムとローマン様のお子様シーラ様、ヴィル王子のお付きのザシャくんとはいつも5人でたまにクラウディア様の弟のテオドール侯爵の息子のフェイトくんが混ざって遊んでいた。仲良く遊んだりしているのを親達はお茶しながらにこやかに話した。

5人が遊び疲れて草の上ですやすや寢ている顔を見てなんだか僕は込み上げて泣いた。

「カミル様!?どうしたの!?」

アスカ様が背中をでる。するとローマン様とジークヴァルト様も

「「うんうん、なんか判るよ…こういうのが幸せだよなぁ」」

と言い男達で泣いた。後ろで笑いを我慢してる執事長のフェリクスさんは除いて、たちは呆れていた。

「男は判らんな…」

とハクチャーン様が言い、

「私はしだけ判りますわ…」

とクラウディア様が言い、

「きっとお腹が空いてるのです」

とアスカ様がいい、

(それは違う)

と全員心の中で突っ込んだのだった。

それでも僕はこの溫かい幸せの時間を大切にしたいと思った。

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