《天使と悪魔と死神と。》2ー4 東門へ
 東門が見え始めた頃、杏樹が目を覚ました。
「あれ……ここは……えっ!?アペルさん?!重くないですか?!」
「え〜……そんなに暴れられたら重いかも〜」
「あっ、すいません………」
 アペルへふざけて言ったつもりが杏樹は真にけてしまったようだ。
「プッ……噓だよぉ。それよりもうける?東門に著きそうだよ。」
 杏樹もアペルと一緒に門を見上げる。思っていた以上に大きい。
「大きい…あ、もうけます!」
 東門から目が離せなくなっていた杏樹は慌てて答える。  アペルはゆっくり杏樹を降ろした。
 あとし歩けば東門は目の前だ。アペルの願いを葉えてくれる人に會うためには扉を開けないといけない。その扉を開けるには、守人を倒さなければならない。命に関わるのは明白だ。そんな杏樹の不安をじ取ったのか、アペルは自分より長の低い杏樹の肩に手を置き、あの時と同じ言葉をかける。
 それから2人は無言で歩いた。もう東門は目の前だ。
「もうそろそろ守人が來ると思うから ゛準備  ゛して。」
 アペルはそう杏樹に言う。杏樹はもう何をすればいいのかわかっていた。――眼帯を外すのだ。
 杏樹は特殊能力を持っていた。
 両目が開眼している時人格が変わり、ゆっくりと瞬きをした後に言ったことは本當に起こるというものだった。さっきアペルが杏樹の額に手を重ねたのは、そのことを杏樹に教えるためでもあり、人格が変わった杏樹に今までの記憶を引き渡すためでもあった。なぜアペルがそんなことができるのかと言うとアペルの特殊能力が「記憶をること」だからだ。
 杏樹が眼帯を外していると、誰かが來る気配がした。2人は気配のした方向を見る。そこには著を著た杏樹より年下であろう子供がいた。
「わぁー!アペルくんだぁ!久しぶりだねぇー?」
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