《ひざまずけ、禮》第1章38話 佐和流世渡り

比影「・・・ひ、基地?」

佐和「そ、基地!」

僕は佐和さんの回答に、ただポカーンとしていた。基地ってなに?そんな話聞いてないよ?だって、そもそもここは・・・

比影「ここって、新設された備品用倉庫でしょ?ダメだよ勝手に基地にしちゃ。」

佐和「あぁ大丈夫、それ噓だから。」

比影「へーそれなら・・・って噓!?最初から備品用倉庫として作ってないってこと!?」

佐和「そゆこと。なーんかねえ、校長の私有的な場所にしようとしてたらしいよ?自分だけの部屋っていうか。だから、トイレもIHキッチンも、テレビまであるんだよここ。」

比影「うせやろ・・・ここの校長、どこまで舐め腐ってるんだ・・・」

佐和「ま、校長もたまには息抜きしたいんでしょ。社會人ってストレス溜まるって言うし。」

比影「そんなもんかなぁ・・・というか、佐和さんは許すの?いつもなら、學級委員長として見過ごせません!って言いそうなのに。」

佐和「そりゃ最初は思ったけど、校長がそんな計畫立ててくれたおかげで、私たちがここを使えるんだから、まぁ一旦置いといてやろうってやつよ。」

佐和さんの言葉に違和を覚えた。というか、意味がわからないレベルだった。悩んでも仕方ないので、率直に聞く。

比影「・・・校長のプライベートルームなんでしょ、ここ?なら、なんで僕たちが使えるのさ?」

佐和「約束を取り付けたのよ、校長から。直談判して、1年間だけ使わせてもらえることになったってわけ。」

比影「・・・直談判?」

佐和「証拠突きつけて、校にばら撒くって脅した。」

比影「ちょっと待って!?」

聞きなれない、聞いてはいけないような言葉が佐和さんから聞こえた。それについて詳しく聞きたかったが、雰囲気からおそらく聞いてはいけないのだろうと悟った。

比影「・・・ま、まぁいいや。とにかく、ここが1年間、僕と佐和さんの基地になるってことね?紅き街から守るための。」

佐和「そうそう、そういうことですよ。前線基地って言い換えてもいいかもね。」

比影「なるほど、じゃあまずは・・・」

佐和「ええ、まずは・・・」

2人で顔を見合わせて、言った。

比影「資材を揃えなきゃね!」

佐和「お茶とお茶菓子を揃えなきゃね!」

2人「・・・うん?」

見事にバラけた、というより対角線の意見を同時に言った。

比影「・・・お茶とお茶菓子?」

佐和「だって前線基地だもの、休憩に使えるようなものがなきゃダメでしょ?それと・・・資材?」

比影「敵を倒せるだけの裝置を作るとなると、それなりの資材がいるでしょ?」

2人「・・・」

全くもって、真反対の意見。2人は見合い、言い爭いが始ま─

2人「確かにそれも大事だね!」

─らなかった。互いが互いを尊重した結果、何故か正反対の意見がぶつからずに反対に避けるという狀態になりましたとさ。

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