《ひざまずけ、禮》第1章50話 その音の正とは

比影「・・・このじ、やっぱり何度経験しようと慣れる気がしないや。まぁ、慣れたら慣れたでそれはどうなの?って話だけど・・・」

紅き街へとり、そう愚癡を零す。もうちょっと工夫があってもいいよね、とは思う。

例えば、某RPGのように明らかな口があるとか、った時に音が鳴るとか、敵を倒した時にファンファーレが鳴るとか。・・・それはそれで不気味か。

まぁ、今回はちょっとばかし気が楽だったりする。いつもより裝備が充実してるし・・・気休め程度かもだけど。

比影「さってと・・・まずは偵察かな。」

僕は「ご安全に2號」を設置し、ゆっくりと走らせる。違和があったら、すぐにでも分かるように。

ラジコンを作しながら、しばらく進んでみると・・・とある音が聞こえてきた。

ポーン、ポーン、ポーンという、乾いた音。これが依頼者の言っていた、ボールが跳ねるような音の正か。確かにそう聞こえる。

だが、これは・・・このじは・・・。

比影「とりあえず、音の正を確かめないとな。もしかしたら、全く関係ない音かもしれないし。」

音が聞こえる方へ、ラジコンを走らせる。カメラで周りを見ながら、しずつ慎重に。そして、ついにその正を、カメラに捉えることに功した。

それと同時に・・・抱いていた疑問が、正しい違和であったことを思い知った。カメラが捉えたそれは、サッカー選手やバスケ選手の亡霊なんかじゃなくて・・・

比影「こ・・・子供っ!?」

稚園生くらいの、小さな子供だった。

ポーン、ポーンと手に持つボールを壁に打ち付ける子供。それは、その姿は、僕の疑問を全て解決してくれた。

まず、サッカーやバスケにしては、ボールの音が乾きすぎていること。子供が持っていたボールは、所謂ビニールボールだったのだ。

そして、その音が一定すぎるという疑問點は、その子が壁打ちを永遠に繰り返していたためだった。

それは解決したからよかったのだが、それより何より、新たに大きな疑問點が浮かび上がる。

『なぜ、こんな所に子供がいるのか?』

そりゃあ、この子が今回の化けの正と位置づければ、何も疑問はないのかもしれないが・・・

と、突然ボールの音が止んだ。映像を見てみると、どうやらボールの當たりどころが悪かったようで、その子の手を逸れて転がっていってしまったようだ。

・・・運がいいのか悪いのか、ボールはラジコンの方に向かって転がった。その子はボールを追いかけて・・・ラジコンの目の前で止まった。

??「わぁ、車さんだ!こんにちは!」

その子は律儀にも、ラジコンの車に挨拶をした。はたから見たらすっごいシュールな絵なのだろう。だが、微笑ましい1シーンだった。

??「あれ?これって・・・」

その子は、ラジコンに付けたカメラをゆびさす。どう見ても引っ張ろうとしていたため、すぐに走らせて回収することに。

??「あ、待って~!」タッタッタ

追いかけてきているが、ラジコンの方が早い。すぐに回収し、電池を切って映像データを保存。1度退散しようと立ち上がり─

??「・・・おにいちゃんだぁれ?」

比影「あっ」

バレた。めっちゃ簡単にバレた。そりゃ一本道のにいたのに、急に立ち上がったらバレるわな。

比影「えーっと・・・その・・・」

??「あ!その車さん、おにいちゃんの?いいなぁ、かっこいい!」

比影「あ、はは・・・で、でしょ?かっこいいでしょ、このラジコン。」

・・・なんとか誤魔化すことに功した?のか?稚園児に助け舟出されるって・・・。

      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください