《ひざまずけ、禮》第1章60話 喪失、義務、そして─

の粒が空へと上る。蛍のように幻想的に、そして切なく散る。

先程までの赤黒い景も、霧が晴れるように元の夕焼け空へ。もとから赤みがかっているため、大きく変化したようにはじないが、僕らを照らすが、紅き街の終わりを語っていた。

・・・だが、事件を解決した僕たちに殘ったのは、いつもの晴れやかな気持ちではなく。

比影「・・・っ、結局、救えなかった・・・」

佐和「レア様からせっかく、魂を乗っ取られた場合の分離方法を教わったのに・・・っく・・・」

あの子を救うことが出來なかった僕らに殘ったものは、喪失のみだった。

でも、1番苦しいのは僕でも佐和さんでもない。ここに居ない、會ってもいない人だろう。

比影「あの子のお母さんに、どう伝えればいいんだろうか・・・」

佐和「こんなこと、絶対信じられないだろうし・・・信じたくないだろうし。」

あの子がずっと會いたがってた、お母さん。この事実を知ったらきっと、誰よりも苦しいのはこの人だろう。

我が子を失う悲しみなど、僕達では想像できるものではないが、一生離れることのない悲しみと重みがのしかかるであろうことは、誰でもわかる。

きちんと説明しないといけない、僕たちにはその義務がある。・・・それは、わかっているのだけど。

比影「僕、あの子のお母さんが誰なのかも知らないし、そもそもこの辺りの団地に知り合いも居ないんだよね・・・」

佐和「私もだよ。依頼してくれた人も、あくまでコンビニ行った帰りに近くを通っただけみたいだし・・・」

とりあえず僕たちは、依頼してくれた人に連絡を取り、事件は解決したことを報告した。彼は喜んでいたが、僕たちの聲を察してか、細々とした聲になった。

念のため聞いてみたが、やはり彼はその男の子のことを知らなかった。どうやらこの付近を通ったのはその日きりのようで、工事で近くの道が使えなかったから、たまたまこの道を使っただけ、とのことだった。

僕と佐和さんはしばらく悩んでいたが、その日はもう夕日も落ちかけていたこともあり、ひとまず帰路についた。話し合いは、次の日の放課後、基地となる。

比影「やっぱり、このことを素直に警察に言った方がいいと思うんだ。こっちからじゃ相手が分からない以上、警察に事を説明して、あの子のお母さんを突き止めてもらうのがいいと思う。」

佐和「やっぱしそうよねぇ。流石に黙ってる訳にはいかないもの。警察が全部信じてくれるとは思えないけど、こっちとしてはそこはどうでもいいし、あの子のお母さんが分かれば、あとはお好きに、ってじだもんね。」

比影「あぁ。そうと決まれば、まずあの付近の番にでも・・・」

と、番の場所を調べようとした瞬間、電話がかかってきた。畫面には、レア様の文字があった。

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