朝あさになり、私はドレスを著て、村長や領主様りょうしゅさまや家族に村人達に花束をもらっていた。因みに腹が痛いと言い、ポーリーナは出てこなかった。

「ジュリエット…天國に行けば、この花よりしいものが見れるだろう。よくこの村の生贄いけにえとなってくれた。ありがとう！！」

「ありがとうございます。領主様」

後あとで捨てときますわ。しかも、なんか安そうな花だな、おいいい！！ざけんな！花代すらケチったの？

するとバサバサと栗の竜が降りてきた。

まごうことなき竜だ。初めて見た。

「生贄いけにえの娘を迎えに來た」

と竜は言い、私を見た。

「ふむ、村1番？まぁ、可い方ほうだからいいだろう」

となんか、竜も失禮なこと言ってるんだけど！？

「別れは済ませたようだな…、では、背に乗れ」

と竜が屈むかがむ。凸凹している。角つのによじ登るのに必死だよ！余計な力！！

角つのにロープを結びつけ、しっかりからだを固定し、私は竜の立髪たてがみを摑んだ。落ちてたまるか！

まぁ喰われるから別に落ちてもいいんだけどね。(投げやり)

翼つばさをはためかせ、竜は飛び上がる。下で皆みんなが、ジュリエットさようならーー！とんでいた。そして、竜がくるりと方向を変えた瞬間、下で領主様りょうしゅさまのパンパンという、手を叩いて解散の合図が聞こえた。

えっ！！？

ちょ！こういうのって、消えて見えなくなるまで涙で見送るでしょ？雑ざつ！！

な、何なの？ざ、雑ざつ！！

イベント終了したみたいに、皆みんなもう興味なさそうに、振り返りもせず行っていってしまう。ちょっとは泣けよ！！この薄者はくじょうものがあああ！！

すっかり意気消沈いきしょうちんした私に竜が聲をかけた。

「あのぉ…なんか、お疲れ様ですぅ」

「あれ？なんか、さっきと態度、違わなくない？竜様」

と言うと

「はぁ、まぁ…、私は…下っ端ですからね。ただ迎えに來ただけの…。貴方あなたは竜の王子様と結婚されるんですよ。生贄いけにえなんて、人間たちへのただの誤魔化しでして、50年に一度、人間の花嫁を貰うのが、竜族の繁栄にも繋がりましてね」

と言われた！

「えっ！！？そ、そうなの？喰われるとばかり！！しかも王子様！？や、やった！！ねぇ、それイケメンなの？」

「はい、リオン様とおっしゃり、大変端正でしいお顔です！人間姿は」

「っしゃ！キタコレ！！イケメン王子様、大逆転だいぎゃくてん！！なっはっはっ！ポーリーナ！ざまぁ！お前より、斷然いい暮らししてやるわーー！！」

と、私が笑うと竜も

「なんか凄い人だなぁ…」

とクスリと笑っていた。

＊

しばらく雲の近くを飛ぶと、竜がギャアギャア言ってる所にきて、その先に城のようなものに、街が見えた！！

「街！城！？何でっ！？」

「何なんでって…普段は人間姿で暮らしてるからです。こんな大きい竜が棲む所なんて、限られてますからね」

「あ、そうなの…ところで貴方あなたの名前は？」

「ああ、私は、クレイグ・レナルド・ラスキンと申します。お妃様」

と言う。やだぁ！お妃様だって！！ただの村娘の私が！！イケメン王子様のお嫁様なんて！やったぜ！！可くて良かった！！そして味しい料理に、豪華な生活…へへへ、想像したら楽しみ過ぎ！

しかもーー！！結婚式！！イケメン王子様と初夜しょや！！うっふふふふふ、げへへへへ！！ぐはは！！ポーリーナ！勝ったわ！悪いけど勝ったわ！！あんたは男爵の嫁で、私は王子様の嫁！！

格かくが違うわ！！いっひひひ！！

もはや笑いが止まらん。

「お城に降りますおります。ほら、皆みんな待ってますよ」

と下で待ってる皆みんな…人間姿の竜たち…矢を構えて待ってる…。

はあ！？

クレイグが著地しても矢を構えたままだ。

「に、人間だ…。本の人間のにくだ…。

グルルルル」

ひっ、ひいあああ！！！

皆みんなの目がギラつき、ヨダレまで垂らしている！

「ちょっとおおお！完全に私、食料しょくりょうと思われてない！？大丈夫なのっ！？」

「た、たぶん…」

「たぶんて、なんなのよおおおお！！」

クレイグは、そこで1回転して、人間姿になった。クレイグの人間姿は、特にイケメンというわけではないけど、特に不細工過ぎるわけではなく、普通に優しそうで、頼りなさそうなじだった。

髪は栗で瞳だけ赤い。瞳も細い。

すると、ボテボテとこちらに走ってくる、中年男がいた。

太った男は

「そちらが？人間の嫁ですな、クレイグ」

「ああ、まぁ、そうです。村で、1番しい娘だそうですよ、宰相様」

と言うクレイグ。

宰相はジッと私を見て

「うーん…50年前の娘の方ほうが、人で巨きょにゅうだったんですがな…」

と言った。私は泣きたくなった。確かに私は、なんて普通サイズ！ポーリーナの方ほうが巨きょにゅうだった！でも負けてた！！くっ！！

宰相を睨み付けると

「ひっ！！」

と竦み上がるすくみあがる。クレイグはクスリと口を押さえて

「ええと、人間のに対してそれは失禮に當たるそうですから宰相様…」

とフォローしてくれた。

「済まない。大きい方ほうが安産型だと思ってな。まぁとにかく王子のところにお通し致しましょうぞ」

とボテボテと歩く宰相様と、クレイグに連れられ私は豪華な扉を潛るくぐると、背景にキラキラするを纏ったしいイケメンがいた。

黒髪で赤い目をしていた。

かかか！！カッコいい！！やったーーー！！

私の王子様カッコいいーーーん！！

もう目がハートになりつつあるわ！！鼻はなじ出そう！やっべ！！

「………この娘か？」

とイケボイスだしもう何もかもがカッコいいー！

「はい！リオン様。ジュリエットさんです。村むらで、1番、しい娘とか」

「ほーん…。全く、しいとは思わないな。この程度なら、そこらにいる。もないし。タイプでもない。つまらん。殘念だ。いらん」

と王子様は私を見て言って、さらに

「俺はやはり、フィリスと結婚する！そもそも、この50年毎の儀式は、別に王家でなくともいいんだし、一族の竜の誰かならいいんだし……、そうだ！クレイグ！お前人もいないし、お前の嫁にしろ！」

「えっ！？」

流石のクレイグも私も、驚いて固まりかけた。