《2番目の村娘は竜の生贄(嫁)にされる》
「おはようございます、ジュリエットさん」
私が目を覚ますと、ドレスは綺麗にされており、持ち運べるようにしてあった。下著姿の私は布団から顔だけ覗かせたままだったが、仮初かりそめの夫であるクレイグが
「服は侍服を先程持ってきましたよ。サイズが合うと良いのですが…
ここに置いておきますね…
では、著替えが済んだら洗面所におりますので、ノックしてください。侍長の元に案します。彼に部屋と仕事を教えてもらい、午後からは主人となるフィリス様と、ご対面してくださいね」
とクレイグは言う。
「判った……」
と私は元気なく言った。
クレイグは、それを気にしていたが、著替えに邪魔だからと。さっさと洗面所に駆け込んだ。
仕方ないから侍服を著た。裾がし長いがどうでもいいや。私は著替え終わりノックした。
するとクレイグさんは申し訳なさそうに言う。
「サイズ合いませんでした?すみません…」
「いいよ。こんなのどうでもいい…」
「すみません……」
と言い、侍長の元に案される。
*
「初めまして、侍長の、ドローレス・リンダ・クーパーですわよ!ジュリエットさんでしたかしら?この度は、ご結婚おめでとう!!」
と結婚式すら挙げてなく、指も無しの私に、嫌味かこのババア!と思ったが仕方ない。怒るだけ無駄だ。
「じゃあジュリエットさん、頑張ってくださいね!侍長…彼をよろしくです」
と頭を下げてクレイグが手を振り、笑顔で去った。一応知り合いというか夫?がいなくなったことで不安になった。なんだかんだで、クレイグも會ったばかりだけど、いい奴であることは判る。は皆無かいむだが。
侍長はため息をつき、
「部屋に案するから、付いてきなさい!それから作法も、おいおい仕込んでいかないとね!あんた、ただの村娘でしょ?ビシビシいくからね!!泣いてる暇はないよ!何か落ち度があると罰だからね!!
いや…指を一本くらい齧ってやろうかね?ひひひ」
とギロリと睨まれびびる。
何なんで私がこんな目にーーー!!
*
部屋に案されると、こじんまりとした1人部屋だ。私の部屋より狹いんじゃないの??本當に城なのか!?
「ここ置だったけどね。あんたにくれてやるよ」
と言われて、荷を置いて私は更に落ち込む。優雅な貴族暮らしが…。
「さあ、職場を案して仕事を教えるが、お前は基本的にフィリス様付きの侍となる。王子のご命令だしね!仕方がない。フィリス様に失禮を働いたらお前…、命いのちはないと思いな!」
と笑う口からギランと牙が見えて、目が爬蟲類みたいになったので、私は恐ろしくて震えた。
この人等このひとらは腐っても竜が人に変化へんげしただけであり、本來なら竜そのものだ。私は竜の巣に放り込まれた、餌にすぎない。
怖い…。
しかし、震えたのを悟られまいと耐えて、案をされる。キッチンに水場みずばに洗濯場…、部屋の把握と、覚えることがたくさんあり、敬語を使うように言われ、お茶を運ぶ作も指導された。
それにしても、ここの侍達…普通に綺麗な人多くね?あれ、私…何なんか村で2番目に可いとは言え、ここにったら普通じゃね!?竜の化けしんのくせに綺麗なばっかり!!
何なにかがヤバくね?と告げている。
これ、予想だと私の主あるじになるフィリス様って、まさか、とんでもない人とかじゃね!?
やだ…考えたくない。
私が説明をけていると途中、男の従者達がジロジロチラチラと壁に隠れて覗いているのが判った。
「人間だ!!人間の匂いだ!!」
「ていうか、1番可いとか聞いたけど、結構普通なのな」
「あれが、クレイグのお嫁さん?何なんか俺の人より、ランク低くない?てか普通…」
「人間て、どんな味すんのかなぁ?」
とか聞こえてきて青くなった。
ていうかやっぱり!!ここでは私の可さなんか普通!!村で2番目で調子こいてて、すいませんでしたああ!!うわあああ!!
するとクレイグが
「お前達!!何をしているんだ!!仕事をしなさい!!」
「びえっ!鬼のクレイグ侍従長じじゅうちょうだ!!逃げろ!」
と男達は逃げていった。あんな溫和そうなクレイグが鬼??
ていうか侍従長じじゅうちょうなのか。一応。うちの夫は。何なんも知らんし、昨日嫁になった他人でしかないのでね。
クレイグは私を見て
「あ…あのっ、すみません、お仕事中に。同僚達がご迷を…皆みんな、私が結婚したからと驚いて…」
野次馬で見られたのか私は。
「ジュリエットさーん!!そんな所ところで油売っていないの!!早くこちらへ!!まだまだやることがあるでしょう!?」
「わ、判りましたー…。そ、それじゃ、クレイグさんまたね…」
と一禮し、私は仕事に戻った。
結婚生活とは??なんだろう?
あれ?私…イケメンとまでは行かなくとも、ポーリーナよりも金持ち捕まえて自慢するのが夢だったのになぁ??どこで狂った??
午後になり、私は毒味役どくみやくと稱してつまみ食いみたいな晝食を取らされた。味い!もっと食いたいけど無理かー!毒味役どくみやくだもんなー!
運が悪かったら死んどるーー!!
ともあれ、リオン王子の婚約者であらせられる、私の主人となる、フィリスお嬢様に、お目通りしないとな。食事を侍長と運びノックすると
「どうぞ」
と綺麗な聲が聞こえて、中を覗くと絶句した。
とてつもない超がそこにいた!!
銀のサラサラな髪のに、黃金の瞳を持つ、陶人形のような白いの!!ポーリーナもしかったけど抜いとる!!
私なんてフィリス様に比べたらカスじゃん!!こりゃ皆みんな言うわ!!
そりゃ王子様も、フィリス様の方ほうがいいに決まってんよ!!お姫様じゃん!!私が男だったら惚れてる!!間違いなく、こんな人にされたら一瞬で落ちる!!
「新しい侍の方かた?よろしくお願いしますわ?貴方あなた…人間なんですってね?そして…、クレイグのお嫁さんになったとか…。私てっきり貴方あなたが、リオン王子のお嫁さんになるのかと思って…とても辛くて…」
と泣きそうになったフィリス様。
な、何なにこれええ!!
「フィリス様!!泣かないでくださいまし!!私など、ただの薄汚い村娘でしかないのです!!リオン王子には、フィリス様の様な、お方おかたが、本當にお似合いでございますから!私などお気になさらず!!ですから泣かないで!!お二人を心より祝福致します!!」
と私は、この、お人形のような、可憐で綺麗なフィリス様の虜になり、めちゃくちゃおだてた!!
「ま、まぁ…ありがとう…そう言えば、お名前は?」
「はっ!ジュリエットと申します!!」
「そ、そう、ジュリエットさん、よろしくね」
と笑われた。フィリス様は、恐ろしいくらい可い。何なんで神様は、こんなしいものをお作りおつくりになったの?そして何なんで、私みたいなゴミが存在しているのか??
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