店の店主から教えてもらった場所はそう遠くない場所にあった。

遠くからでも分かる程に大きな建だったので、

途中から初めて來るソフィにも、ここだろうなと確信する程であった。

「む、どうやら著いたか。我はあの果実を必ず手にれる。

今日中には勲章ランク……とやらを、Eランクまであげてみせるぞ」

ソフィは鼻息荒くブツブツと獨り言ちながらギルドの門を開けるのだった。

冒険者ギルドの中は先程練り歩いた店通りとは、

比較にならない程の數の人間がひしめきあっていた。

どうやらここに居る者達全員が冒険者と呼ばれる者達なのだろう。

鎧や剣を裝備した屈強そうな男たちが目立つが、

中には木を削って作られたであろう杖に、

三角になっている印象的な帽子を被ったたちも居た。

どうやらこの世界にも『魔』の概念はあるようで、

彼たちはソフィと同じ魔法使いなのだろう。

ソフィは現在姿形が変わっており、１０歳くらいの年になっている。

そんな者たちを下から見上げながら、ゆっくりとカウンターに近づいていく。

「ちょっといいかな？　お主、ここが冒険者ギルドであっているだろうか。

合っているのであれば、我は冒険者の登録とやらを行いたいのだが」

ソフィが付のに訊ねるが、どうやら背丈の低いソフィの姿が見えず、

きょろきょろと見渡した後に、ようやくソフィの姿を見つけてにこりと笑う。

しかしその付が何かを言う前に、隣にいた男たちがソフィを見て大笑いする。

『ぎゃははは、なんだこのガキ！　てめぇみたいなガキが、

冒険者になれるわけねぇだろ、あんまり笑わせるなよ』

ソフィは隣に居た男に指を差されながら笑われた為、

しムッとして睨んだが男たちが余計に笑い始めたので、

溜息を吐いて仕方なく無視をすることにした。

「……それで、登録はできるのだろうか？」

ソフィが再度付のに訊ねると、

付のは笑顔で頷き、藁半紙の書類を渡してきた。

『ここに君のプロフィールを書いて。

記項目をきちんと書いて提出したら、

貴方でも試験をける事が可能だから安心してね』

付のをよく見ると顔立ちが整っており、

誰から見ても人気があるだろうと思える程に、人で可らしいだった。

「おお！　お主素晴らしく人ではないか！　我の妃にしてやろうか？」

ついソフィは魔王であった頃の口調のまま、そう言ってしまった。

『ぎゃっはっはっはっはっは！

オイ見ろよ、今度は口説き始めたぞこのマセガキ』

『ああ。こいつ俺たちを笑わせる為に、わざと演技してるんじゃねえのか？』

『妃だとよ妃！　ガキがどこの王族様だよ、ぎゃっはっはっは』

周りにいる者たちが驚いてこちらを注目する程の大聲で男たちが喋る為に、

ソフィの存在はそのギルドに居る多くの者達に注目されてしまう。

「はぁ……。おいゴミ共、さっきから煩いぞ。

殺されたくなければ、我の前からさっさと去れ」

『あ……？』

男達はそのソフィの言葉に、馬鹿笑いをしていた顔を歪め始める。

更には分かりやすい程にこめかみに青筋が立ち始めた。

『……だぁれがゴミ共だと？　おいクソガキ外に出ろ。

俺達Eランクの冒険者に舐めた口を利いた事を後悔させてやる』

男たちはギルドの椅子を蹴り飛ばした後、ソフィに外へ出るように促す。

「……ほう！　貴様らEランク冒険者なのか、よかろう！

Eランクの実力とやらを是非、見せてもらおうではないか」

Eランクになれば、狙っていた果実をざるごと買えると、

そう聞いていたソフィは目の前の男達がEランクと聞いて、

その勲章ランクEがどれほどの力量なのかを確かめるべく、

男達についていくのであった。

『え……！？　ちょ、ちょっと！』

一部始終を見ていたギルドの付であるお姉さんは、

ぽかんと眺めていたがようやく我に返ると、

慌てて他のギルド職員を呼びに行くのであった。

……

……

……