一行はゲルたちを倒した後、

ようやくラクール地域から、セソ地域にった。

『ようやくここまで來たな。』

ディラックが言うにはここからはもう、目と鼻の先に【サシス】の町があり、

他のギルドの冒険者や馬車便が溢れかえって、

混み始めるそうなので、歩いてサシスに向かおうかという話になった。

馬車便はこのままサシスとは違う方向の、

セス地域の町に向かって護衛を雇いに行くらしく、

ここで別れる事となった。

「貴重な話をしてもらった、とても有意義な時間だったぞ。」

ソフィがそういうと者は、それはよかったと笑顔で頷いてくれた。

『また縁があれば會うこともございましょう、その時は贔屓に。』

そういって気のいい者は、笑顔を向けて去っていった。

『どうやら者のおじさんは、ソフィのことをだいぶ気にったみたいね。』

突然そんなことをいうものだから、ソフィは首を捻ってどうしてか聞くと、

者のソフィを見る目が、私が年下の子を見る目にそっくりだったらしかった。

ソフィはどういう意味なのだろうかと、首を傾げる他無かった。

『さて、では我々もサシスに向かうぞ、

今日中にサシスのギルドマスターに、會っておきたいからな。』

ディラックがそういうと一行は、サシスへ歩いて向かうのであった。

（我一人ならば一度辿り著きさえすれば、

後は我の移呪文で一瞬でグランに戻れるのだが、

流石に他の者たちを置いて帰ったら怒るだろうな。）

ソフィは笑えない冗談を心の中で考えるのであった。

者と別れてから三十分程歩くと、

ちらほらと他の冒険者たちの姿が見えてきた。

皆同じ場所に向かっているらしく、

もしかしたら対抗戦の出場者かもしれない。

コチラが気づいたという事は、もちろんあちらも気づいているはずで、

互いに気にはしながらも話しかけるようなことはしない。

と、思っていたのだが。

『やぁ、君たちどこのギルド？』

ソフィに向かって男の子が、聲をかけて來るのだった。

人間の姿のソフィと同じ年齢くらいの子だが、

ソフィはなんとなく年から魔の匂いをじた。

「む、我たちはグランからきた冒険者だ。」

噓偽りなく答えると、男の子は笑顔で頷いていた。

『グランってまた遠い所から來たんだね、ここまで歩いてきたの？』

『いや、途中まで馬車便できたよ、君はどこのギルドの冒険者なのかな？』

前を歩いていたニーアが、いつの間にか隣に來て會話にってきた。

『馬車便か～そりゃそうだよね、

僕はセスの【ウィラルド】っていう町からきたんだ～。』

「セス地域ということは、そこまで離れてはおらぬのか？」

『そうだね～馬車便とかを使う程の距離ではないかな～。』

話し方がゆったりとしていて、

落ち著いているという印象をける年だった。

『君も対抗戦に出るの？』

ニーアが核心に迫るようなことを言うので、年はし考える素振りを見せた。

『うん、僕はウィラルドの代表選手なんだ。お兄さんたちも出るの？』

『うん、そうだよ。ここにいるソフィ君と僕、そして前に歩いている、

お兄さんが出る予定だよ。』

包み隠さずに、全部話していくニーアだった。

ソフィとリーネは別に全部言う必要は、

ないんじゃないかと思わないでもなかったが、

まぁ事前に參加することが分かった所でどうなるものでもないかと、

深くは考えないようにした。

『なるほどね～みんな強そうだね、特に君とか？』

そういって男の子は目を細めて、

真っすぐにソフィを貫く様な視線を向けてきた。

（ほう？　出サーチは我が隠蔽しておるから通じない筈だが、

我のこの見た目で何かをじ取れたのか？）

ソフィがニヤリと笑みを浮かべると、男の子もくすっと笑うのだった。

『それじゃ僕は行くね～、

もし対抗戦で當たることがあったらよろしく～。』

そういって男の子は去っていった。

「出サーチ」

【種族：人間　別：男　年齢：9　名前：レン

魔力値：330　戦力値：57409　職業：冒険者ランクB】

「クックック、なるほどな。」

ソフィが去っていく背中に向けて男の子に【出サーチ】をかけた結果、

どうやら男の子の名前はレンというらしく、

レンは九才にして既にこの場にいる、

ソフィを除いた全員より戦力値が上であり、冒険者ランク勲章もBだった。

『………どうやら只者ではないみたいだね。』

ニーアも単獨で開示『スペクト』を使っていたらしく、

魔力値を見たのだろう。その顔には焦りが見て取れた。

『あの子すごいよ、私から見ても全く隙がないもん。

下手に攻撃を仕掛けられないわ。』

道中で緩んでいた気が引き締まったようで、

ニーアたちは、武を握りなおしていた。

そして一際高い塔のような建が見えてきた。

どうやらあそこが【サシス】の町なのだろう。

サシスの町のり口には長蛇の列ができており、

町の中にるための検問のようだった。

『うわー凄いねこの人數、

下手をすればるだけで、日が暮れるんじゃないの。』

冗談でもなんでもなくそう思わせるほどの列の長さである。

『いや、そうでもないぞ。』

會話にってきたのはディラックだった。

『対抗戦に出るギルド関係者は、一度に參加人數分の許可証が出るから、

見た目以上には、時間はかからんだろう。』

確かによく見ると一度立ち止まった後、數人が一気にっているようだった。

並んでいるのがほとんどが各町のギルド関係者なのだろう。

あっという間に、ソフィたちの順番まで回ってきた。

『グランの町のギルドじゃ。ここにいる三人が対抗戦に參加する。』

ディラックがそういうと、門番たちは頷いて通行許可証を渡してきた。

『対抗戦が終わるまでは、

この通行許可証を無くさぬように、ご注意をお願いします。』

そういって許可証を渡した後、中にれて貰える事となった。