ソフィやレンたちがストレートで決勝進出を決めたといっても、

一つのブロックに二ギルドが決勝へ行けるので、

続けて予選は行われた。

そして、先程全ギルドの結果が出た所である。

Aブロック決勝進出を決めたギルドは、リースとサシスのギルドで、

両方がケビン王國領土にある冒険者ギルドである。

Bブロックは、アーリスとローランドの冒険者ギルド、

こちらはアーリスが、ルードリヒ王國領土のギルドで、

ローランドが、ケビン王國である。

Cブロックは、ステンシアとニビシアの冒険者ギルド、

こちらも両方の冒険者ギルドが、ケビン王國領土である。

そして午前中最後のDブロックは、

クッケと、レルドールの冒険者ギルドに決まった。

クッケとレルドールは、共にルードリヒ王國の領土ギルドであった。

そして波が起きたのが、午後からのギルドであった。

まずEブロックは、ソフィたちグランのギルドが決勝を決めて、

もう一つのギルドがなんと、トンプーカが、リルバーグを破って、

決勝進出を決めたのである。

――これで前回準優勝を果たした、

リルバーグは予選敗退が決定した。

これはやはりソフィ戦での負傷が、存外に響いたようであった。

ソフィ戦後、彼はすぐに病院送りとなり、

一日ではとてもではないが、全回復など出來るはずもなく、

スイレンを欠いたリルバーグに、

トンプーカのトンシーの相手は、出來なかったのである。

Fブロックは、ウィラルドとアリオルの冒険者ギルドが、

決勝行きを決めてみせた。

各冒険者ギルドが、今年は波と呼べる結果を殘していく。

ウィラルドの冒険者ギルドは、

ケビン王國領土のセス地域のギルドであり、レンが居るところである。

アリオルは、ルードリヒ王國の領土のギルドである。

Gブロックは、シーマとケラードのギルドが、決勝進出を決めた。

こちらは両方ともルードリヒ王國の領土である。

そして最後にHブロックは、

ザイとメラルドのギルドが、勝ち上がった。

どちらもケビン王國の領土である。

★

ケビン王國側の領土にある冒険者ギルド。

【リース】【サシス】【ローランド】【ステンシア】

【グラン】【ニビシア】【ウィラルド】【ザイ】【メラルド】【トンプーカ】

☆

ルードリヒ王國側の領土にある冒険者ギルド。

【アーリス】【クッケ】【レルドール】【アリオル】

【シーマ】【ケラード】

………

……

…

ケビン王國領土のギルドが十、レルドール王國領土のギルドが六、

十六のギルドが決勝進出を決めた。

そしてこの対抗戦の裏で、ソフィにとっての難が始まろうとしていた。

とある宿の一室、二人の男が談話をしている。

話を持ち掛けたのはなりがよく、ハットが似合う初老くらいの男だった。

『それでは、白金貨十枚で、この年を始末してくれますかな。』

殺しを請け負った男は上下青い服にを包んだ背の高い男で、

屈託なく笑う顔が印象の二十代の男だった。

『………おや、子供一人に白金貨十枚ですか。』

青服の男はソフィの似顔絵が書かれた紙を、

覗き込みながら笑みを浮かべる。

『その年は報酬に見合った強さを持っています。何せ――』

初老の男が続きを喋ろうとするのを、青服の男は右手で制止して頷く。

『ええ、存じてますよ。彼は今話題のルーキーですからね。』

青服の男はポケットから煙草を取り出して火をつける。

『………確かに強いが、それはしかし、

所詮は、”冒険者”の枠組みの中での強さですからね。』

青服の男の二つ名は、”微笑”。

事に及ぶ前と後に変わらぬ微笑を浮かべたまま、

遂行することからつけられた二つ名である。

『期限などはありますか？』

青服が質問すると、初老の男は首を橫に振った。

『可能な限り早く遂行してもらいたいが、

”微笑”のペースで構わない。』

そういうと青服の男は、ニコリと笑った。

『分かりました、それでは失禮します。』

そういって初老の男に會釈をして踵を返して歩いていった。

その後ろ姿を見て初老の男は、

この任務を確実に遂行されるだろうと確信するのだった。

青服は目を細めてソフィの似顔絵を見ていると、

前から酒瓶を持って歩いてきた、ガタイの良い男に肩をぶつけられた。

その拍子に持っていた、ソフィの似顔絵の紙が床に落ちてしまう。

『………これは失禮。』

屈強そうな男に謝罪をして紙を拾おうとを屈めた瞬間、

ソフィの似顔絵は、男の靴で踏みにじられた。

『おいおい、今ので俺の肩は折れちまったよ、

謝罪の仕方ってものがあるだろ？　兄さんよ。』

『手持ちの金全部渡して、床に頭をり付けて謝罪すれば許してやるよ。』

青服は周りに誰もいないのを確認して、

微笑を浮かべたまま、屈強そうな男の眉間に指をトンと軽く小突いた。

『は？　何の真似……ぐべ。』

屈強そうな男は白目を向いてそのまま倒れた。

『大事な似顔絵が貴方の所為で、

くしゃくしゃになってしまったではありませんか。』

微笑を浮かべたまま青服は、紙を拾ってそのまま去っていった。

その場には、左手に酒瓶を持って痙攣しながら涎を垂らした男だけが殘った。

二・度・と・正・気・に・戻・る・こ・と・は・な・い・だ・ろ・う・。