「なに……これ？」

私の腕にあらわれた変な生き……生き？　がこっちを見てる。なんだろう……なんかぺしぺししてくる。まるで何かを訴えてるかのよう……

「止めてって言ってる？」

なんかそんな気がしてくる。でもこいつ、案外大きいよね。ペンギンみたいな型を人サイズにまでしたくらいは多分ある。そして変な仮面被ってるから、キモい。

「えい！」

私は腕を振るって変な生きを振り払う。ちょっとでも可いじならためらいがあったかもしれない。でも本音を言うと、自分が可いに反応するのか……よくわからない。寧ろ自分が一番可いんじゃね？　とかおもってるし。

なにせ自分の顔を見たとき、超絶っておもったからね。

「げっ！？」

振り払ったと思ったら、何故か二匹に増えてた。おいおい、なんでなの？　なんか微妙にデザイン違う仮面被ってる。

『反応が多數あります』

「うそ……」

いつの間にか周囲にこの変な生きがいた。しかもそこら中に無數に……だ。私をG-01を囲む様にいっぱいいる。そして全員の視線が私に向かってきてる。ちょっと悍ましい、というか怖い。

「強そうじゃない……よね？　それともこの中にサンクチュアリ保持してる存在がいる？」

『どうでしょうね。そもそもがこれは……』

「これは？」

AIの聲はそこから先を紡いでくれなかった。またもったいぶって……まあきっと理解なんて出來ないと思うけどね。でも、モヤモヤするじゃん。途中で途切れさせられるとモヤモヤするじゃん！

「とりあえずどうコミュニケーションを取るのが正解な訳？」

『わかりませんね』

「でも、この実が必要なんだけど……あっ、もがなければ良いのかな？」

そう思って私は再び実を摑んだ。そのときに変な生の反応はなかった。

（よしよし、やっぱりもがなければ良いんだね）

私は確信して実を両手でつつみこむ。目玉は橫において集中する。容量は目玉の時と同じである。併せていけばいいんだ。

「むむむ……」

けど殻のせいなのか、なかなか力をじれない。この実の中には太の様な力があるはずだ。けど……力がとても遠い。

（これ……出來る？）

不安になった。だってぜんぜん力をじる事が出來ない。そうなると併せるなんて事も不可能だ。

（そうだ、そもそもの力の質の問題なのかも）

AIがこの世界の力は前の世界の力の質とは違うといってた。アビスの時は、むき出しみたいなだったから、それに自分が併せていけた。けどこれは違う。でもその力までの距離はもしかしたら力の質の問題なのかも。堅いとじるこの殻も、もしかしたら力の質が関係してるとしたら……

「よし……行くよ」

私は力の質をアビスに併せた時のにして実に送り込む。するとさっきの抵抗が噓みたいに思えた。どうやら正解だったみたいだ。やっぱ私は天才だね！