《異世界でもプログラム》第三十四話 目的?
あれから、何日が過ぎたのだろう。
お前らいい加減に起きろよ。俺、疲れたぞ。
魔法や・闇魔法や、氷魔法をかけ続けている。ステータスが、うなぎのぼりだ。
名前:アルノルト・フォン・ライムバッハ
[異世界日本語変換:1.69]
[鑑定:3.23]
[思考加速:1.00]
魔法制:4.71
霊の加護
地の加護:2.18
火の加護:2.79
炎の加護:0.79
[水の加護:2.35]
氷の加護:1.03
木の加護:2.09
風の加護:3.11
雷の加護:0.35
[闇の加護:0.78]
[の加護:1.51]
武の加護
剣の加護:0.97
刀の加護:1.75
[守の加護]
アイテム:4/471
配置(1):23/99
配置(2):20/99
配置(3):6/99
配置(4):3/99
新しい加護を得て、配置魔法を増やした。
クラーラとの戦闘や単獨で敵陣を突破する時に役立ちそうな魔法を設定してある。
なぁユリアンネ。どうしたらいい?
クラーラを探し出して殺せばいいか?それだけで、俺の心が晴れるとは思えない。関わった奴に地獄を見せればいいか?
そうだな。
お前たちも、俺と一緒で疲れたのだろう。寢ていたいのだろうな。
父や母や、ルグリタやロミルダも、起きてこない。
そうだな。ちあきも、たかこも、結局起きてこなかった。
別れが先だろう。その後、目的を、目標を、俺がなすべき事を考えよう。
「アル!」
だれだ、俺を呼ぶのは?
「俺だ。ギルだ。しいいか?」
ギル?
ギル!
「あぁ今行く」
ユリアンネ。ラウラ。カウラ。し行ってくるな。
そうだ、エヴァにお前たちの事を頼んでいいか?皆と一緒に眠れるように手配してもらおう。
部屋から出たら、そこには、憔悴しきった。ギルが立っていた。
「悪いな。ギル。それで?」
「あぁイーヴォさんが、お前に”確認して、ほしい事がある”と、言っていたからな。それに・・・・」
ギルが、階段の方に視線を向ける。
そこには、見知った顔がこちらの様子をうかがっていた。
そうだよな。
俺は、悲劇の主人公にでもなったつもりで居たのか?
違うだろう。笑え。苦しい時に、悲しい時に、笑え!
俺は、修羅場火消し現場では、"そうして"來たのだろう。
「ギル。ありがとう」
「アル・・・いや、なんでもない」
ギルが、何かいいかけた。聞かないでも分かる、”無理するな”と、いいたかったのだろう。
無理しているつもりはない。ただ、俺は、もう大丈夫だ。やるべきことがわかった。
「エヴァ」
「はい!」
笑え。笑え。笑え!
「あぁすまん」
「いえ、なにか私にできる事はありませんか?」
「そうだな。エヴァ悪いけど、ユリアンネとラウラとカウラが、安心して眠れる所を紹介してしい。できれば、寮の近くがいいのだけど、先生ダメですか?」
クヌート先生が居るのは解っている。
「大丈夫ですよ。でも、ユリアンネさんは、エルマールたちと一緒でなくて良いのですか?」
「そうですね・・・いや、やっぱり、ユリアンネの希は、俺の近く。これから、生活するはずだった場所だと思います」
「そうですか・・・・かまいませんよ。學園長や王家には、私から申請しておきます」
「ありがとうございます」
エヴァに向き直って
「エヴァ頼めるか?」
「もちろんです。今回の事・・・」
ボニートが関係しているのを聞いたのだろう
「エヴァ。勘違いするなよ。ボニートの件は、エヴァとは一切関係ない。あいつが間違った行を取っただけだ!」
「・・・はい」
「あぁ教會にもしっかり、それを伝えてくれ。俺は、ボニートという愚か者の責任を、教會に押し付けるような事はしない。帝國には所在確認や説明を求める事はするが、それは、エヴァとは一切関係ない。だから、エヴァ。これ以上自分を責めるな。すべて、間に合わなかった俺が悪いのだからな。そして、ボニートを誑かした奴が居る。そいつが全部の責任を負うべきだ」
エヴァは、じっと俺の目を見て
「はい。わかりました。アルノルト様。ユリアンネ様とラウラとカウラが安心して眠れるように、私が取り仕切っていいのですか?」
「やってくれるか?」
「はい!やらせてください。もちろん、皆さんにも手伝ってもらいます」
「あぁよかった」
父と母と、ルグリタとロミルダは、次期當主のカールと共に、ライムバッハ領に戻ってもらって、ゆっくり眠ってもらう。
「ギル!」
「あぁ」
「すまん・・・お前、いや、なんでもない、。イーヴォさんは、冒険者ギルドか?」
「そうだ」
「解った、今から行ってくる」
「あぁ」
イーヴォさんが、冒険者ギルドで待っている。何の話か・・・いや、俺が、ギルに依頼した件だろう。
寮を出て、冒険者ギルドに向かう。
冒険者ギルドには、ゆっくり歩いても15分位で到著できる。イーヴォさんが急いでいるのなら、自ら呼びに來るのだろうし、ギルに伝令した事から、そんなに急ぎの用事では無いのだろう。
學校を出て、王都の街並みを見ながら歩く。
王都に來てからの數年間、いろいろな所に行った、ラウラから、”お一人で出かけられては・・・”と、何度言われたかわからない。本當に、些細な日常だったと思う。今からそれを再構築する事はできないのだろう。俺の些細な日常に加わるはずだった、ユリアンネはもう目を覚まさない。
ラウラとカウラも、俺の所から旅立ってしまった。もう、あの楽しかった日常は戻ってこない、奪われたのだ。
変わらない、王都の町並み。俺は、このさき、ここで生きていけるのか?
「おい!アル!」
あ!
考え事をしていたら、冒険者ギルドを通り過ぎていた。
「イーヴォさん」
「アル!こっちだ!」
何か、急いでいるのか?
冒険者ギルドの中に招きれてくれる。
「アル。なんだ、その・・・あぁぁ」
「大丈夫ですよ。ありがとうございます」
イーヴァさんに、笑顔を向ける。
バツの悪そうな表をさせてしまった。俺の事を、気にしてくれるのはありがたい。
「それで?」
「あっそうだ。ギルド長が、アルに用事が有ると言っている」
「ギルド長?」
簡単に説明してくれた。
俺が出した依頼は、ギルから、イーヴォさんに伝わった。それを、冒険者ギルド仕切りで、調査を行ったそうだ。それには、理由もあった。ライムバッハ家を襲った中に、”元”冒険者が居た。冒険者ギルドとして、その事を放置する事ができない。獨立した組織と言っても、王國からの補助がなければ、り立たないのも事実なのだ。伯爵家襲撃という問題を起こした者が、冒険者ギルドとは関係が無くなっている者だと、証明しなければならない裏事がある・・・らしい。
それから、イーヴォさんたちが捕えた者の尋問が行われて、そこから報がしづつだが解ってきた。
伯爵家襲撃という重大な事案から、ギルド長自ら報告を行うらしい。
イーヴォさんに、案されるまま、ギルドの中を歩いていく。
「アル。ここだ」
イーヴォさんが案してくれた部屋は、扉が開けられていた。部屋の中には、丸テーブルが一つと、囲むように椅子が並べられている。奧に、一人の男が立ってこちらを見ている。
「長。アルを連れてきました」
「イーヴォ。アルノルト様でしょ。お主はいつまで経っても・・・。すみません。アルノルト様。私が、このギルドを預かります。ヘルムートです」
勧められるがまま、奧の席に著席する。
イーヴォは、俺の後ろに立つことになっているようだ。正面にあたる場所に、ヘルムートが腰を下ろす。
「ヘルムート様。イーヴォさんには、以前からお世話になっていますし、気にしていません。それに、伯爵家は、弟、カールが継ぎます」
「アルノルト様が、そうおっしゃるのでしたら・・・・。分かりました」
「はい。ヘルムート様?それで、私に用事があるという事ですか?」
「アルノルト様。要件は、二つ」
「一つは、依頼料ですよね?」
「えぇそうです。調査費、及び、報酬が必要になります」
ヘルムートさんから一枚の紙が手渡された。そこには、"銅貨一枚"とだけ綴られていた。
「ヘルムート様?」
「高いですか?」
イーヴォさんが笑いを堪えている。
「いえ。大丈夫です」
「それでは、お支払いいただけますか?」
「分かりました。どうしたらいいですか?私の商人ギルドの口座から引き落としでも良いですか?」
「それでもいいのですが、手數料が高くなってしまいます」
ヘルムートさんから、話を聞いていると、どうやら、報酬に関しては、どっかの王子が國から支払うと申し出ていたようだ。あと、どっかの商會も名乗り出たらしい。二人には、後できっちり苦お禮を言わないとならない。冒険者ギルドには、”ライムバッハ”として登録されている、流れによっては除籍される事を考えると、変更するか、再登録するのがいいだろう。俺としても、”ライムバッハ”に関係ない者として活できるメリットがある。冒険者ギルドとしては、”マナベ”での再登録にしてほしいという事だ。”ライムバッハ”名義は、登録抹消してもらう事になった。
説明されていなかったが、商人ギルドとの口座連結ができるようで、”マナベ”名義の登録をつないでもらう事にした。
登録名は、”シンイチ・アル・マナベ”としてもらった。商人ギルドの名義も変えてもらう事になった。
そして、無理だと思っていた事が、ヘルムートから提示された。
”冒険者ギルド、預かりになっている襲撃犯たちへの尋問”が、”マナベ”として冒険者ギルドに加する事で、可能になる。
これが、要件の2件目になる。
はじめから、こちらが本題のようだ。”ライムバッハ”のままだと、関係者として尋問ができない。俺の事を、考えてくれているのだろう。
襲撃犯への尋問の報酬は、大金貨一枚が提示された。俺としては、こちらからお願いしたい事だったが、ギルドからの依頼にしてほしいと、イーヴォさんにも言われた。
今わかっている報も合わせて教えてくれた。
ヘーゲルヒ辺境伯が、実際に手を回した証拠は見つかっていない。襲撃犯は、全員ルットマンに雇われたと証言している。
ただ、それ以上の事は、何も分かっていない。一番知りたい”あの方”の事が不明なのだ。
リーヌス・フォン・ルットマン。奴を許せる自信がない。
「ヘルムート様。イーヴォさん。俺は」
「アル。大丈夫だ。尋問で、襲撃犯が死んでしまっても、罪にはならない」
「イーヴォ。お前・・・。いや、マナベ様。どうされますか?ギルドとしてはどちらでも構いません。襲撃犯は、王國からも引き渡し命令が來ています」
當然そうだろう。
國に渡されたら、俺が尋問する事はできなくなってしまうのだろう。それどころか、尋問もされないで、王弟派閥の連中が裏に処分するだろう。俺としては、ルットマンがどうなろうが、興味がない。
無罪放免になってから、殺してもいい、それで俺が國を追われる事になっても後悔はない。
「その依頼、俺にけさせてください。ただ、俺一人では、”簡単に”殺してしまうかも知れない。治療が行える人を待機させていただけると嬉しいです」
「それは、こちらで用意しよう。どうですか?今から、尋問を行いますか?」
「えぇお願いします。それから、俺への報酬は、待機する人への報酬口止め料にしてください」
「報酬口止め料か、わかった。その様に手配しよう」
ヘルムート殿は、しだけ考えてから、俺の提案に乗ってくれるようだ。
イーヴォさんをえて、しだけ話をしてから、尋問を行う事になりそうだが、腕がよくて、口が堅い治療師がすぐには手配できそうになかった。
「すまんな」
「いえ、そうですね。”治療師”でなくても、”治療が行える人”で、構いませんよ。口が軽くてもいいですし、腕が悪くてもいいです。”待機”させる事に意味が有るのですし、萬が一、治療が間に合わなくても、しょうがないことですよね」
イーヴォさんとヘルムート殿は、顔を見合わせてから、軽く苦笑した
「そうだな。俺たちや、アルは、準備もしたし、最善を盡くしたけど、間に合わなかったのなら、そいつの天命だろうな」
狀況は理解してもらえたようだ。今回の事で、俺は、自分自を確認したい。
俺は、冷靜に人を殺せるのか?
”殺す”と口では宣言したが、本當に殺せるのか?いや、考え方が違うな。”殺そう”と思って殺意を込めて、殺す事ができるのか?多分、俺は人を殺している。2~3人なんて數ではない。ユリアンネを、カウラを、ラウラを、そして・・・俺は、自分の意思で殺すつもりで、魔法を使った。
後悔はしていない。これから、もっと多くの者を殺す事になるのだろう。それが”復讐する”と、いうことだ。でも、”日本人”の道徳観が、それが正しいのかと問いかけてくる。”人殺し”は、何が有ってもしてはならない事なのだろうか?
俺は、大事なを奪われた。奪われたままでいるのは、俺のに合わない。奪われた””は取り返す。取り返す事ができなければ、限界まで奪い返す。奪えなければ、壊して、殺す。ただそれだけだ。
前を歩いているイーヴォさんが振り返った。どうやら、”ここ”がその場所らしい。
「アル。本當にいいのか?」
「あぁ問題ない」
「そうか、すまん。お前に、いや、いい」
何かいいかけてやめた。何を言われるのかわからない。
扉を開けて中にる。そこに、一人の男が立っていた。知らない顔だ。
「私は、シンイチ・アル・マナベ。貴殿は?」
「これは失禮致しました。私の事は、ラウレンツとお呼びください」
「ラウレンツさんが、治療師なのですか?」
「いえ、私は、書記です。尋問の容を記憶するのが役目です」
「そうですか」
「ライムバッハ伯。私は、記憶するのが役目です。彼らが話した事を記憶するのが役目でございます。どうやって話したか?話した後に、彼らがどうなったか?は、私の範疇ではございません」
「わかりました。ありがとうございます。しかし、私は、ライムバッハとは関係ない。一介の冒険者の、シンイチ・アル・マナベです。ライムバッハ家の者ではありません」
ラウレンツ殿が會釈で、了解した旨を示してくれた。
扉を開けて中にる。それほど、広くない部屋に、6人の男が縛られて、床に寢かされている。
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8 64悪魔の証明 R2
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