《魔王様は學校にいきたい!》魔王と従者
一方こちらは、ウルリカ様とオリヴィアの二人。
テクテクと森の中を歩いている。
「うむむ……魔など一匹もおらんのじゃ……」
「おかしいですね……わりと多く生息しているはずなのですが」
「せっかくの試験だというのに、つまらぬのじゃ……」
試験開始から一匹も魔を倒せていないウルリカ様。
実は、魔王であるウルリカ様の気配を察知して、魔達は必死に逃げ回っているのだ。
その結果ウルリカ様の元には、一匹も魔が現れないのである。
しかしウルリカ様はそんなこと知るよしもない。
キョロキョロと周囲を見回しながら歩き続ける二人。
果のないまま森の奧へと進んでいく。
「かなり奧まで來ましたけど、魔は見つかりませんね」
「キリがないのじゃ、仕方ない……」
しびれを切らせたウルリカ様。
スッと人差し指を空へと向ける。
「ウルリカ様、どうするのですか?」
「いくら探しても見つからぬからの、無理やり見つけるのじゃ」
「無理やり見つける、ですか?」
「いくぞ……探知魔法!」
ウルリカ様の魔法が発する。
人差し指の先端から、魔力の波が広がっていく。
「生きの気配を探ることが出來る魔法じゃ、これで森に住む魔の居場所を把握して……む?」
「なにか見つかりましたか?」
「魔が一斉に気絶してしまったのじゃ……」
「気絶? どういうことでしょうか?」
「むぅ、よく分からんのじゃ」
コクリと首をかしげるウルリカ様とオリヴィア。
実は、魔達が気絶した原因はウルリカ様の探知魔法なのである。
魔王であるウルリカ様の魔法にれて、恐怖のあまり気絶してしまったのだ。
しかしウルリカ様はそんなこと知るよしもない。
人差し指を立てて、探知魔法を発し続ける。
「ダメじゃ、遠くまで探ってみたが全滅じゃ……おや?」
「今度はどうしました?」
「一匹だけ活きのいい魔がおるのじゃ、他の魔よりだいぶ強い魔じゃな」
「強い魔? パラテノ森林には弱い魔しか生息していないはずですよ?」
「確かにおるぞ、これは……レッサードラゴンじゃな」
「レッサードラゴン!? 討伐難易度Cの危険な魔ですよ、どうしてこんなところに……」
レッサードラゴンの名前を聞いて、オリヴィアは慌てた様子だ。
ウルリカ様は探知魔法で狀況を探り続ける。
「む? どうやらシャルロットも近くにおるようじゃな」
「王が? 一どうして……?」
「レッサードラゴンと戦っておる様じゃ、しかしシャルロットは苦戦しておるのう」
「そんなっ、レッサードラゴンと戦うなんてムチャです! チームの皆は?」
「近くにはおらんようじゃ、みんな逃げてしまったのじゃな」
「ということは、お一人で戦っておられるのですか!?」
「そのようじゃな」
ウルリカ様は淡々とした無表だが、オリヴィアの顔は真っ青だ。
「ウルリカ様、助けに行きましょう!」
「妾はかまわぬが、リヴィはよいのか?」
「王が危険な目にあっているのですよ? 助けないと!」
「しかしリヴィはシャルロットから笑われておったではないか。それでも助けるのか?」
「えっ?」と聲をらすオリヴィア。
「ウルリカ様、いつもクッキーに夢中だと思っていましたが……ちゃんと気にしておられたのですね……」
「妾はまったく気にしておらんぞ、誰に笑われようと無視できる力があるからのう。しかしリヴィは違うじゃろ? 人から笑われれば傷つくはずじゃ」
「それは……」
「妾にとってはシャルロットよりもリヴィの方が大事なのじゃ。だからリヴィが嫌な思いをするならば、妾は助けにいきたくないのじゃ」
「私のことが大事……」
じっとうつむいて考え込むオリヴィア。
「確かに……確かにシャルロット様の言葉で私は傷つきました、今も辛いと思っています……」
「そうじゃろうな」
「でもそれとこれとは話が別です、ここでシャルロット様を助けない理由にはなりません! ここで助けにいかなければ、きっと私は後悔します。それこそ嫌な思いをするはずです!!」
顔を上げ、ハッキリと自分の考えを述べるオリヴィア。
それを聞いたウルリカ様は、ニッコリと笑顔で返す。
「うむ! リヴィはいい子じゃな!! お主の考えはなにも間違っておらんぞ」
「それでは……!」
「そうじゃな、シャルロットを助けに行くとしようかの!」
「はい!」
こうして、シャルロット王を助けることに決めた二人。
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