晴れ渡る空、満開の花。

ついにやってきた學式の日。

ロームルス學園は、多くの人で賑わっていた。

この日學する新生、およびその家族達である。

「見てくれよ、この白い制服を！　上級クラスの証なんだぜ!!」

「私も上級クラスなのよ！　似合うかしら？」

「いいなあ……ボクは一般クラスだから、黒の制服だよ……」

「黒の制服でよかったじゃない。下級クラスだったら、紺の制服になっていたのよ？　紺なんてみっともないわ」

新生の著ている制服には、に違いがある。

上級クラスに合格した者は白のブレザー。

一般クラスに合格した者は黒のブレザーだ。

そして、ウルリカ様の合格した下級クラスは、紺のブレザーである。

學式を前に、新生もその家族も大盛りあがりだ。

そんな中、特に盛りあがっている新生がいる。

「學式じゃ～！　楽しみなのじゃ～!!」

大興のウルリカ様である。

紺の制服を著て、パタパタ走って大騒ぎだ。

「ウルリカ様～、待ってくださ～い」

「待ちきれないのじゃ～！」

はしゃぐウルリカ様と、慌てて追いかけるオリヴィア。

シャルロットとナターシャは、にこにこ笑顔で眺めている。

二人はウルリカ様とお揃いの、紺の制服だ。

楽しそうにする四人。しかし、周囲からの視線は冷たい。

「見て、下級クラスだわ……」

「シャルロット王様……下級クラスにったというのは本當だったのか……」

「なんでも神を病んでしまったらしい……狂心王、なんて呼ばれているらしいぜ」

「國王陛下からも見捨てられたって噂だ……お可哀そうに……」

次々と聞こえてくる、心無い言葉。

不穏な空気が流れる中、もの凄い勢いで走ってくる者がいる。

「ウルリカ様！　お待ちしておりましたぁ!!」

ノイマン學長である。

飛び上がり、空中で土下座の勢をとると、そのままウルリカ様の前へとり込む。

一流の騎士や戦士でも難しいであろう、絶妙なのこなしだ。

それへ護衛を引き連れて、ゼノン王とヴィクトリア王も合流する。

「ウルリカ！　シャルロット！」

「みんな～、待たせたわね～」

突然集まった豪華すぎる顔ぶれに、新生達は開いた口が塞がらない。

「ほぉ？　なかなか似合っているではないか」

「みんな可いわ！　ステキね!!」

ヴィクトリア王は、學する三人と、ついでにオリヴィアをギュッと抱きしめていく。

「わざわざ來てくださるなんて、嬉しいですわ！」

「當然だ、娘の學式だからな」

「ふふっ……ゼノンったら、昨夜から必死で執務を終わらせてたのよ。絶対に學式へ行くって言ってね」

「おいっ、余計なことを言うな！」

仲睦まじい親子の景。

周りの新生から、羨と嫉妬の混じった視線が注がれる。

「國王と王に、學長まで一緒にいる……どういうことだ？」

「王家と學園は、仲が悪いのでは……？」

「シャルロット王は國王から見捨てられたんじゃないのか？　真逆じゃないか……」

「下級クラスのくせに……どうなってるんだよ……」

注目を集めながら、一同は學式の行われる講堂へとっていく。

その途中、ウルリカ様はふと足を止める。

「……うむ？」

「ウルリカ？　どうかしたのかしら？」

「ふむ……先に行っておれ、し用事が出來たのじゃ」

そう言って、校庭の真ん中へと歩いていくウルリカ様。

「お～い！」

空を見上げながら、大きく手を振る。

「妾は學校にいってくるのじゃ～!!」

晴れ渡る空に向かって、大きな聲でぶ。

そして、パチリとウィンクをして、講堂へとっていくのだった。