《天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭なと便利スキル『創魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~》第23話 潤いの木の扱い
さて、このまま置いておくと、また村を水沒させかねないこの潤いの木は今後どうするべきか。
水吸収の結界を置いておけば、余分になった水を吸収してくれるから良いとも思ったが、もし萬が一私が死んだ時にアレがどうなるかわからない。
そのまま殘って活してくれれば良いが、もしかしたら消滅してしまって、また集落が水沒するということにもなりかねない。
それに……あの結界は作者の私以外には設置場所からかすことができない。木の生育狀況次第では邪魔になることだってあり得る。
では、どうすれば良いか。
川を整備する以外無いと思う。
ここから海に當たるもの、もしくは、異世界だからもしかしたら底無しのとかがあるかもしれない。
とにかく水が処理出來るところまで川を作るとしたらどれくらいの距離が必要となるのだろうか?
ここの他に川があるなら、そこへ合流させれば良いのだが……
調査が必要だ。
しかし、その間この木をどういう扱いにするか。
時間魔法が使える私なら苗に戻すことはできる。一度苗に戻そうか? でもそうすると村人の生活水が無くなってしまう。一度水のある生活を経験して、すぐに水無しの生活になると神的なダメージは計り知れない。
村に川が引かれるまで一どれほどの時間がかかるかもわからないのに、その間また水汲みの生活に戻すというのも酷な話だ。一度期待させておいて、ぬか喜びも甚だしい。
とりあえず木の周りを水吸収の結界で囲んでおこうと思ったが、実はこの結界、生がれると結構危ない。
通過するために一瞬れるだけならさほど問題は無いのだが、防魔法とは言え、水を吸収するように作ってあるためか長時間れると水分を急激に奪われる。
生は水以外の質でも構されているから、一瞬で全てを奪われるということはないが、れ続ければ1分もあれば水癥狀だ。ちゃんと実験したことが無いからもっと早いかもしれない。
結界に囲まれた水を汲もうとすると、れるのはどうしても一瞬で済むとは思えない。の水分が奪われ過ぎれば、最悪死に直結する可能がある。
余談だけど、人指定して防魔法をかけた場合は、その人ごと防結界もき回るので、防手段として使う場合は問題無いように出來ている。
「とは言え生活水は必要だし……」
リーヴァントが橫から口を挾む。
「一部分だけ開けるというのはどうでしょうか? この部分の下側だけ結界を置くのを止めるとか」
要するにアルファベットの『C』の字のように一か所だけ水の通り道を開けておくということらしい。
確かにそれなら溢あふれずに済むかもしれない。
「じゃあ、とりあえずそういう形に結界を形し直そうと思う。結界は明に近いけど角度次第で目に見えるはずだから、村人、特に子供には近寄らないように言っておいてもらえる? 特に『れ続けたら死んじゃうかもしれない』ってところまでちゃんと伝えて。水は結界が欠けている場所から各々汲んでもらうようにして」
「わかりました、村全にそう伝えます」
これで生活水に困ることはないだろう。
あとは、これを恒久的に大丈夫になるようにしなければならない。
水沒したことを省みると、今後集落の中央に潤いの木を置いておく選択は無しね。
この集落から離れた場所に移植して、川を作って集落に通すのが安全策かな。
出來れば今後氾濫した時に対処できる時間を稼ぐ目的でも、かなり離れたところが良い。
「火山の火口とか……」
あそこならここから50kmくらいは離れている。
しかも、七つの何個かは完全に冷えてカルデラになってるから、ダムのような機能の替わりが務まる可能はある。
しかし、休眠狀態になってはいるが、つい先日まで活火山だっただけにいつ噴火するかわからない。
潤いの木を植えておけば、常に水を出し続けてくれるから、ずっと冷えていてくれる可能はあるけれど……
「流石に火口は無しかな……萬が一の可能もあるし。オルシンジテンに予測させるか」
萬能書なら何か糸口が摑めるかもしれない。
「リーヴァント」
「はい」
「潤いの木の対処も一応一通り終わったと見て良いと思うから、私は一旦家に帰るね。今頭の中がごちゃごちゃしてて、一人の方が考えがまとまるかもしれないし」
「わかりました、ではまた何かあった時にご連絡いたします」
私が帰ろうとしたところ、私を呼びに來た塩作り三兄弟ののニートスとサントスがぐったりして帰って來た。
「ハァハァ……ああ……水沒は何とか解決されたようですね……ハァ…ハァ…」
「あ、お帰りなさい。報告ありがとう、あなたたちにも迷をかけちゃったね」
「……ハァ……いえ、呼びに行って良かったです……ハァ……我々には対処……できなかったので……」
「しかし……はぁ……家が遠すぎます……はぁ……はぁ……往復10時間近くかかるのは……はぁ……すぐに呼びに行くには……はぁ……厳しいかと……何とかなりませんか?……」
確かにかなり急いで走っても5時間かかるのでは、急の用がある場合に困る。
私自も、急いで飛んで來ても30分かかった。
『人が今にも死にそう』なんて時に呼びに行こうにも、私がその報告を聞いて集落に著いた5時間半後にはもう事切れてしまっているかも……まあ、呼びに來てもらったところで私は醫者でもないから人死ひとしにに対応できるかどうかはわからないけど……
「思い切ってこの集落に引っ越すというのはどうでしょうか?」
リーヴァントが口を挾む。
期待が顔に出てるな……
でも……
「ごめんなさい、一応あの場所に著があるし、あそこに定住する飼い犬にも著が生まれてしまったので、現時點で引っ越すという選択肢は無い……かな」
「左様ですか……」
シュンとしてしまった。
「だけど、距離に関してはちょっと思い付いたことがあるから何とかしてみるよ」
さて、優先順位が変わってしまった。
川を整備することを第一位にしていたが、まずは集落と我が家との距離を何とかすることの方が優先順位が上になった。
「ああ、そうだ帰る前に」
集落の中央ほどに移。
土魔法と樹魔法で即席ではあるが、ある程度広めの家を三棟建てる。
「ごめんなさい、簡易になってしまいますが、新しい家を建てるまでの避難所として使ってください。では、私は一旦帰ります」
今日は本當に疲れたから、早めにお風呂って寢よう。
集落と我が家の距離問題は明日にしよう。
往復10時間の距離 (しかも上り坂)を走って連絡に行った、ニートスとサントス兄弟を賞賛したいです(笑)
次回は8月14日の20時頃の投稿を予定しています。
第23話【50kmの距離を一歩にするドアの創 (通過実験)】
【書籍化】隻眼・隻腕・隻腳の魔術師~森の小屋に籠っていたら早2000年。気づけば魔神と呼ばれていた。僕はただ魔術の探求をしたいだけなのに~
---------- 書籍化決定!第1巻【10月8日(土)】発売! TOブックス公式HP他にて予約受付中です。 詳しくは作者マイページから『活動報告』をご確認下さい。 ---------- 【あらすじ】 剣術や弓術が重要視されるシルベ村に住む主人公エインズは、ただ一人魔法の可能性に心を惹かれていた。しかしシルベ村には魔法に関する豊富な知識や文化がなく、「こんな魔法があったらいいのに」と想像する毎日だった。 そんな中、シルベ村を襲撃される。その時に初めて見た敵の『魔法』は、自らの上に崩れ落ちる瓦礫の中でエインズを魅了し、心を奪った。焼野原にされたシルベ村から、隣のタス村の住民にただ一人の生き殘りとして救い出された。瓦礫から引き上げられたエインズは右腕に左腳を失い、加えて右目も失明してしまっていた。しかし身體欠陥を持ったエインズの興味関心は魔法だけだった。 タス村で2年過ごした時、村である事件が起き魔獣が跋扈する森に入ることとなった。そんな森の中でエインズの知らない魔術的要素を多く含んだ小屋を見つける。事件を無事解決し、小屋で魔術の探求を初めて2000年。魔術の探求に行き詰まり、外の世界に觸れるため森を出ると、魔神として崇められる存在になっていた。そんなことに気づかずエインズは自分の好きなままに外の世界で魔術の探求に勤しむのであった。 2021.12.22現在 月間総合ランキング2位 2021.12.24現在 月間総合ランキング1位
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