《乙ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?》12話 真っ當に生きてほしいの
スリの年から財布を取り返そうとしたところ、彼はまた別の男に財布をぶんどられてしまっていた。
その男はフレッドにより倒されたが、さらに數人の男達が私達を取り囲む。
「死ねやオラァッ!!」
不良の一人がナイフを取り出し、襲いかかってくる。
「遅いよ」
フレッドは相手の腕を摑むと、そのまま背負い投げをした。
「ぐあっ!」
地面に叩きつけられる不良。
他の連中が怯んだ隙を見逃さず、私は魔法を唱える。
「【風刃】」
風の魔法で男達の足を切りつける。
「いでぇっ!?」
「こ、こいつは魔法使いか!!?」
「くそっ! 魔法使いの相手なんざしてられるかよ! ずらかるぞ!」
「逃しませんよ」
私は逃げようとする奴らに水魔法を浴びせた。
「【水流】」
水の奔流が不良たちを飲み込む。
「おぼぼぼ……」
「ごぽぉ……」
男達は溺れながら、その場に倒れ伏した。
「ふう、終わったわね」
私は額の汗を拭った。
「姉上、お見事です」
「フレッドこそ、大したものよ」
「いえ、僕はまだまだです。姉上の足元にも及びません」
謙遜するフレッド。
「それより、姉上に怪我はありませんか?」
「ええ、大丈夫」
「それなら良かった」
フレッドはほっとをで下ろしている。
「さあ、このような場所に長居は無用です。早く帰りましょう」
「そうね。ところで、あの子はどうしようか?」
私は地面に転がっているスリの年を見た。
彼は唖然とした表でこちらを見ている。
「ふむ、このまま放っておくわけにはいきませんね」
フレッドはそう言うと、指先をくるっと回した。
すると、どこからともなく現れたロープが彼のを拘束してしまう。
ついでに、他の男達も拘束されている。
後で衛兵に通報しておこう。
とりあえず今は、この赤髪の年のことだ。
「な、何をする! 離せよ!!」
「君が逃げるかもしれないと思ったのでね。とりあえず、縛らせて貰いましたよ」
「クソッ、卑怯だぞ!!」
「あなたは盜みを働いたのです。文句を言う資格はないでしょう?」
「うるせー!! いいところのボンボン共め!!」
「ふふっ。元気な子供ね」
私は思わず微笑んでしまった。
この年の年齢は十歳……いや、十一歳ぐらいだろうか?
十歳の私や九歳のフレッドよりもしだけ上に見える。
しかし、地球で過ごした記憶がある私や、侯爵家の息子として自分を厳しく律してきたフレッドに比べると、子供っぽく見えてしまう。
「黙れ! お前らには、俺達の気持ちなんて分からねえよ! 特に、魔法なんて使える奴らにはな!」
年はヒステリックにぶ。
魔法の習得には適が必要だ。
王族や貴族の方が比較的適を持っている人間が多い。
また、自分が何の適を持っているかを把握し、それを存分にばすことができるのも十分な資金や時間があってこそだ。
適という意味でも、それをばすための余裕という意味でも、私達は平民に比べて恵まれた環境にあると言えるだろう。
「俺だって、俺だって……本當はスリなんてしたくなかったんだ……」
「…………」
私とフレッドは顔を見合わせる。
なにやら訳ありのようだ。
私は彼に向かって語りかけることにした。
「どうして、こんなことをしていたの?」
「生きるためだ! 金がないから、俺はこうやってスリをしてるんだよ!」
「生きるために、か。それで罪を犯してもいいのかな?」
「うるせー! お前達に、貴族のお前達なんかに、俺達の苦しみなんて分かるもんか! こうでもしねえと、チビ達に何も食べさせられないんだよ!」
「……」
私は言葉に詰まってしまった。
私は地球でもこの世界でも、なくとも食うに困る生活はしてこなかった。
だから、彼がどんな人生を歩んできたのか想像することしかできないのだ。
「ごめんなさい。辛いことを聞いてしまったわね」
「謝ってどうにかなるもんじゃねえよ。今さら同しようってか?」
「だけど、あなたのやったことは許される事ではないと思うの」
「へっ。言って聞かせられないなら、衛兵に突き出そうってか?」
年がそう悪態をつく。
口調とは裏腹に、は小刻みに震えている。
この世界の刑罰は、地球ほど甘くない。
平民同士の竊盜ならともかく、貴族の私から財布を盜んだともなれば、重刑は免れない。
最低でも、利き腕の切斷や數年単位の強制労働が課されるだろう。
「本來はそうすべきだけど……。私のお願いを一つ聞いてくれたら、見逃してあげる」
「なに?」
「あなたはスリをしないで、真っ當に生きてほしいの」
「はっ、そんなの無理だよ。真っ當に生きるだけじゃ、腹は膨れねえ。それに、あんたに俺の人生を決める権利なんてあるのか?」
「権利なんてないわ。だから、これはお願いなの」
私はニッコリと彼に微笑みかける。
「……真っ當に生きたくても、生きられないんだよ。世の中、理想論だけじゃ生きていけないんだ」
「なら、私があなたに生き方を教えてあげるわ。當面生きていけるだけのお金。それに、魔法の使い方だってね」
「なっ!? そ、それは……」
「どうする? 私に従う? それとも、衛兵に突きだされる方がいいかしら?」
私はそう言い放つ。
赤髪の年はずいぶんと迷った様子だったが、最終的には頷いた。
「……分かったよ。言う通りにすりゃいいんだろ」
「ありがとう。それでは、早速行こうか」
「どこへ?」
「決まっているじゃない。あなたのお仲間のところによ。お腹を空かせた子供達がいるんでしょう?」
「ああ。俺達の拠點にいるよ。だけど、なんで知って……」
「自分でさっきらしていたじゃない。さあ、早く案して」
「……分かった。ついてきてくれ」
こうして、私はスラム街の奧地へと足を踏みれたのだった。
俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
世界中で知られる有名ゲーム機を 開発、製造、販売する會社 『新城堂/SHINJYODO』 三代目社長 新城 暁(30) しんじょう あかつき × 新城堂子會社 ゲームソフト開発 『シンジョーテック』 企畫開発部 成宮 芹(28) なりみや せり 暁にとっては運命の出會い 芹にとっては最悪の出會い 追いかけ追いかけられる二人の攻防戦
8 141TSしたら美少女だった件~百合ルートしか道はない~
ある日、理不盡に現れた神様によってTSさせられてしまった田中 由。 しかし彼の身の回りではそれを境に何故かトラブルが………いや待て、これはどう見ても神様のs………(田中談) さて、田中くんは普通の學園生活を送れるのか!?
8 165奴ら(許嫁+幼馴染諸々)が我が家に引っ越してきたのだが…
春休みが終わり、高校生二年目が始まろうとするその日、父親が長期間海外で滯在する事になったことを聞かされた天坂 興。この日を境に許嫁、幼馴染諸々が引っ越して來て我が家がシェアハウス狀態に。 そして興は彼女たちの心を、自分の本心を知ることになる。果たして興はどんな答えを出すのか……。
8 153擔任がやたらくっついてくるんだが……
冴えない男子高校生と擔任教師のほんわかラブコメです。 『小説家になろう』等の別サイトでも掲載しています。
8 103【連載版】無能令嬢と呼ばれ婚約破棄された侯爵令嬢。前世は『伝説の大魔女』でした。覚醒後、冷遇してきた魔法學園にざまぁして、國を救う。
短編版の連載開始です。序盤の方から短編にない新キャラ等も登場予定です。 魔法王國で唯一魔法が使えない『無能令嬢』リンジー・ハリンソン。ある日、公衆の面前で婚約者アンドルー王子から婚約破棄を言い渡される。學院ではいじめられ、侯爵家である家族には冷遇され、使用人からもいびられる毎日。居場所のない日々だったが、ある日謎の旅人に出會い、『伝説の大魔女』だった前世の記憶がよみがえる。そして、伝説の虛(ゼロ)級魔法使いとして覚醒。とりあえず、學院でいじめてきた生徒たちを圧倒。掌返しをするアンドルーも拒否。家族や使用人にもざまぁします。さて、次はなにをしよう……と悩んでいたら、國王陛下から呼び出し?國を救って欲しい?辺境の魔物討伐?とりあえず、褒美を頂けるなら無雙しちゃいましょう。 チート級魔法での無雙あり。ざまぁあり。
8 65聖女のわたくしと婚約破棄して妹と結婚する? かまいませんが、國の命運が盡きませんか?
リリアベルは、生まれつき身體に百合の紋章を宿した聖女だった。 けれども、人の感情がオーラとして見える特殊能力があるのを、婚約者のアーサー公子からは疎ましく思われている。 「お前とは婚約破棄して、妹のララローズと結婚する!」 華やかな仮面舞踏會の夜、とうとう高らかに宣言される。 その上彼は、聖女の証まで噓だと疑ってきて……? 「今ここでドレスを脫ぎ、印を見せてみろ」 乙女の肌を大衆の目にさらすわけにはいかない。 抵抗するもむなしく、背後から捕えられ、絶體絶命のピンチに――。 「やめろ!」 そこへ、仮面をつけた見知らぬ男性が現れたのだった。 ※2022/11/17異世界戀愛日間ランキング11位・総合日間13位・総合日間完結済4位 応援ありがとうございます。 ※第一部だけでも婚約破棄がテーマの短編としてお楽しみいただけます。 ※第二部は後日談的な位置づけとなります。 ※2022/12/02カクヨム様にダイジェスト版の掲載をしました。
8 145