《乙ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?》24話 お願い
「これはこれは、シルフォード様。ご機嫌麗しゅう」
私はオスカーに向かって、恭しく頭を下げた。
「ええ、こんにちは。イザベラ殿」
オスカーも微笑み返してくる。
「オスカーで結構ですよ。侯爵家の方に様付けで呼ばれるほど、私の分は高くありませんので」
「はぁ……。では、オスカーさんと呼ばせていただきますね」
確かに、分としては私の方が上だ。
私は侯爵家の娘で、オスカーは伯爵家の息子だからだ。
しかし、この國は男尊卑の傾向がしはある。
いくら侯爵家の娘であっても、伯爵家の息子を呼び捨てにしてぞんざいに扱っていることが広まれば、風聞が悪い。
そのため、私は彼に対して敬稱を付けることにした。
「ところで、イザベラ殿。今回はどのような用件でこちらへ? まさか、スイーツ巡りをしようとお考えなわけでは……」
オスカーは怪しむような視線を送ってきた。
「いやですわ。そんなはずありませんでしょう?」
私は想笑いをして誤魔化す。
「本當にそうでしょうか? あのアップルパイを狙っていたのではありませんか?」
「うぐっ……。そ、それは否定できませんけど……。でも、今は違いますよ」
「本當ですか? ……怪しいですね。まあ、いいです。それよりも、ちょうどよかったです」
オスカーは意味深に笑った。
「……何がですか?」
嫌な予がして、背筋に冷たい汗が流れる。
「いえ、実はお願いがありまして。この私、オスカー・シルフォードと……婚約していただけないでしょうか?」
「……はい?」
私は耳を疑った。
今、彼は何を言った?
「もう一度言いましょう。私の婚約者になってしいのです。そして、いずれは妻となってもらいたい」
「つ、つまり……。結婚してしいと?」
「その通りです。いかがですか?」
「ど、どうして急に……。というより、そもそもなぜ私なんかを?」
私は狼に狙われた小のように、ビクビクしながら訊ねる。
「そうですね……。まず、あなたに惚れたこと。それから、あなたの能力に惚れ込んだから、ですね」
オスカーは顎に手を當てながら答える。
「惚れたって……。私達が會うのは、これでまだ二回目ですよね?」
初めて會ったのは、三か月前の夜會だ。
まだ大して友が深まっていない。
「イザベラ殿の困も當然ですね。ですので、まずは婚約なのです。いかがでしょうか?」
オスカーが銀の髪をたなびかせ、爽やかな笑顔を浮かべる。
彼の顔は、まるで絵本の中から飛び出してきた王子様のような端正さを誇っている。
こんな人に求婚されて斷るがいるだろうか?
なくとも前世の私は、斷らないだろう。
だって、の子なら誰しもが一度は憧れるもの。
だが、今の私は……。
「オスカー殿! 姉上を誑かすな! 姉上も離れて!!」
突然、怒りを含んだ聲が聞こえたかと思うと、フレッドが私の肩を摑んでグイッと引っ張ってきた。
「ちょっと! 痛いわよ、フレッド!」
私は思わず文句を言う。
「うるさいです。とにかく、姉上は僕の後ろに隠れていてください」
フレッドは私を庇うように前に出る。
「おや、フレッド殿。邪魔をしないでくれますか?」
オスカーがフレッドを睨んだ。
お互いがお互いに丁寧な言葉遣いで接しているが、雰囲気は最悪だ。
それぞれ、侯爵家と伯爵家の息子。
貴族家同士で無用な対立は避けるべきだが、彼らにも譲れないものがある。
このままだと、間違いなく激突し諍いが大きくなってしまう。
「フレッド、控えなさい」
「ですが!」
「これ以上言わせないで。いいわね?」
私は威圧するように低い聲で告げる。
すると、フレッドはすぐに押し黙り、渋々といった様子ながらも一歩下がった。
「ごめんなさい、オスカーさん。うちの弟が失禮しました」
私はオスカーに頭を下げる。
「いえ、お気になさらず。それでは、婚約をけていただけるということでよろしいでしょうか? もちろんアディントン侯爵家へ正式な打診も致しますが……」
私がフレッドを下がらせたことで、自信を持ったのだろう。
オスカーが勝ち誇ったような笑みを浮かべて、再度婚約を申し込んできた。
「いえ、それには及びませんわ。だって、私があなたと結婚することはありませんもの」
「なっ!? そ、それはまたどうして? 私には何か至らぬ點があるということですか?」
「そういうことではありません。ただ、オスカーさんが見ているのは私自でないことが分かりました。それだけです」
三か月前のあの夜會で、不可解に距離を詰めてきた彼の言。
月と太の比喩を用いた自の言葉。
それらが気になった私は、この三か月でいろいろと調べてきたのだ。
彼の悩みのタネに見當がついていたが、先程からのやり取りでそれが確信に変わった。
バッドエンドを回避するために、オスカーの悩みを取り除いてあげようではないか。
(ふふっ。それに、私の楽しみも増えるしね……)
私はニヤリと微笑みながら、怪訝な表を浮かべるオスカーに向き直ったのだった。
後は野となれご令嬢!〜悪役令嬢である妹が婚約破棄されたとばっちりを受けて我が家が沒落したので、わたしは森でサバイバルすることにしました。〜
「すまん、我が家は沒落することになった」 父の衝撃的ひと言から、突然始まるサバイバル。 伯爵家の長女ヴェロニカの人生は順風満帆そのもの。大好きな婚約者もいて將來の幸せも約束された完璧なご令嬢だ。ただ一つの欠點、おかしな妹がいることを除けば……。 妹は小さい頃から自分を前世でプレイしていた乙女ゲームの悪役令嬢であるとの妄想に囚われていた。まるで本気にしていなかった家族であるが、ある日妹の婚約破棄をきっかけに沒落の道を進み始める。 そのとばっちりでヴェロニカも兵士たちに追われることになり、屋敷を出て安全な場所まで逃げようとしたところで、山中で追っ手の兵士に襲われてしまった。あわや慘殺、となるところを偶然通りかかった脫走兵を名乗る男、ロスに助けられる。 追っ手から逃げる中、互いに惹かれあっていく二人だが、ロスにはヴェロニカを愛してはいけない秘密があった。 道中は敵だらけ、生き延びる道はたった一つ。 森の中でサバイバル! 食料は現地調達……! 襲いくる大自然と敵の兵士たちから逃れながらも生き延び続ける! 信じられるのは、銃と己の強い心だけ! ロスから生き抜く術を全て學びとったヴェロニカは最強のサバイバル令嬢となっていく。やがて陰謀に気がついたヴェロニカは、ゲームのシナリオをぶっ壊し運命に逆らい、計略を暴き、失われたもの全てを取り戻すことを決意した。 片手には獲物を、片手には銃を持ち、撃って撃って擊ちまくる白煙漂う物語。 ※この物語を書く前に短編を書きました。相互に若干のネタバレを含みます。またいただいた感想にもネタバレがあるので読まれる際はご注意ください。 ※続編を別作品として投稿しておりましたが、本作品に合流させました。內容としては同じものになります。
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