《になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。》#7
「はっはっはっ!」
お腹が痛い……そもそも私の足ではカラスから逃げるなんて無理。なんとかカラスが空の高いところにいる間に木々の多い所に逃げたかったけど、思ったよりも私は足が遅かった。
「きゃあ!?」
突然足元が発した。そのせいで後方に転がる。一何が? と思ったら、目指してた出り口の所から緑の奴がこっちに銃を向けてた。何も言わなくてもわかる……生贄の役目を果たせと、そういうことだろう。私的にはもう十分やったと思うんだけど……その時ザワっと背筋が震えた。私は咄嗟にを力で強化する。
ガキイイイン!!
ものすごい衝撃と共にが大きく浮いて前方に向かう。衝撃は凄かったけど、は大丈夫。そろそろ最初から著てるこの服が駄目になりそうだけど……けどまだ見えはしないはず。あと一撃でダメそうだけどね。
「うお!? 生きてる……のか?」
近くに吹っ飛んできてババっとけからを翻した私を見て緑の奴が驚いてる。まあ普通は死ぬだろうからね。私は目の前で呆然としてる奴に「たっち」と言ってそのにれる。そして素早く草むらに転がり込んだ。
「うわあああああああああ!!」
南無三……今度の生贄は君だよ。私の為にせいぜい時間を稼いでくれたまえ。その間に私は逃げる!!
「ガア」
「ん?」
上をみると木々を押しのけてカラスの顔がそこにはあった。二頭の頭の片側の口からは足が見えてバタバタしてる。さっきタッチした奴だろう。どうやら頭が二つだから一人では足りないよう。さっきは潰そうとしたくせに……てかなんで私の場所がこんなに簡単に分かったの? 私は小柄だし、絶対に見えてなかったはず……くんくん。
「匂い?」
とはいい匂いがするものだ。自分では気づかないが、もしかしたら……いや、絶対に私はいい匂いがするはずだ。うん! 間違いない。そんな事を思ってるとカラスの首がびてきた。私の匂い……いや、良い匂いにわれてるとしたら隠れても無駄。まさかであることが仇になるなんて……だけどさっきの何もない場所と違って、ここは木々が生い茂ってる。
そう自由には出來ないはず。びてきたをなんとかかわしてく。これなら案外なんとか出來るかも……って考えは甘かった。きりがないと考えたカラスは一度上昇してそして翼をはためかせる。すると黒い風が木々を切り裂き始めた。
「ちょっちょっちょっ!!」
ここら一の木を全部切り落とす気? 危なすぎて一歩もけないよ。森が躙されていく音ともに何やら悲鳴が聞こえる。多分、緑の奴の殘りだろう。一人がいたんだしそこまで遠くに居たはずでは無いはず。あの食われたやつはきっと私が生贄の役目を果たしてるのを見屆けるためにいたんだろう。一人なら軽だし、後からでも追いつけると判斷しての事なら仲間もまだ近くにいたはず。
そしてその人達もこの風に巻き込まれてる。早く終わって〰と願ってると風の質が変わった? 目を開けると隨分見晴らしが良くなってる。けど風はやんでない。寧ろ激しさをまして、目當てのを浮かせ始めてる。
「ちょっと、エッチなんですけど!!」
ボロボロの服がめくられたり煽られたり……どうしようもない。てかげそう。まさか、それを狙ってる? んな訳なくて、やっぱり私達を浮かせて捕らえるのが目的だったみたい。服がげそうになってるのはただの不可抗力だね。でも私以外も浮いちゃってカラスに捉えられてる。いい気味である。そして私たちは一際強い風に流されて奴の住処まで戻された。
「なんで……こんな……」
「おとーさん、おかーさん」
「大丈夫、大丈夫だからね」
折角逃げてたのに再び戻されて絶の淵に落ちたかのよう。わかる。わかるよ……私的にはしめしめだけど。でも私だって安心できるわけじゃない。力を使ってるせいか、それともお腹減ったせいかわかんないけど、がだるい。いつものように直ぐに倒れたり意識が薄れる覚はないけど、それが近いのもわかる。このままじゃ全員カラスの腹の中に収まる事になる。
一人はさっさとってったようだけど……私達もこのままじゃ直ぐに後を追うことになるのは必然。
「くそ!!」
「くそ!! なんで効かないんだ!!」
さっきから緑の奴等はその銃を撃ってるがカラスには全く効いてない。それならと鎖の様なを打ち出してカラスのきを縛ろうとするけど、逆に彼等が引っ張られてその二つの頭の口へと吸い込まれてく。
「あなたぁぁぁ!!」
「おとぉぉぉさぁぁぁぁぁぁん!!」
悲痛な聲が響いてる。殘ったのは親子と男二人に後は私。男たちは銃持ってるけど、もう撃つ気力もないようだ。そんな中、食われた二人がさっきまで使ってた銃が落ちてきた。それを奧さんが拾う。そして震えながらカラスへ向けた。
「やめろ! 見ただろう、黒の厄災にはそんなのもの……」
「私が……私があの人の仇を取るのよ!!」
そう言って銃口から放たれる。だけど撃ったと同時に彼は後ろにひっくりかえった。どうやらが使うには大変な代のようだ。私はかに拾ってた銃をどうしようか一瞬考えたけど、やっぱり持っとくことにする。武が有ったほうが安心だしね。使い方は全くわからないけど……とりあえず引き金を引けば良いのかな?
彼の撃ったはカラスに當たることは無かったけど、まだまだ好戦的だと伝えるには十分だった。再びカラスはこちらに向かって空してくる。死にたくないから一斉に彼等は銃を撃つ。でもそれでカラスが止まらないのは今までの攻撃でわかりきってる。でも私も一応引き金を引いてみる……けど、案の定玉は出ない。てな訳でさっさと橫に飛んで回避する。
「きゃああああああ!!」
「ぐわああああああ!!」
そんな聲が飛んだと同時に聞こえて、風圧で更にが転がってく。後ろを振り返ると、そこには子供しか殘ってなかった。その子の周りにもその子にも、悲慘なが散してる。カラスは空に戻って大きく旋回してる。軌道を整えて再び攻撃に出るだろう。私はその子供に近づいてく。私が十歳くらいだとしたらこの子は六歳かそこらだろうか?
種族が違うから有ってるかはわからない。
「早く! 逃げるわよ!!」
「ひっ!? あぁあぁ……」
どうやらショックとか私への恐怖とかで一杯一杯らしい。けどそんなのにかまってる暇はない!
「死にたくなかったら走りなさい!」
よろよろとだけど、私の背についてくるその子。けどやっぱりだけど、子供の足じゃどうあがいても逃げ切れない。私だけならまだどうにかなる。けどこの子もとなると……外に力を出すのは消費が激しい。どうにかして力の消費を極力なく抑える方法はないだろうか? 実際見捨ててもいいんだけど……聲かけちゃった手前それもね。
それにこの子はただの子供だし、大人たちとは違って私を生贄にしようなんて思ってないだろう。
「あわ……うあああああああ!!」
カラスの接近に腰を抜かす子供。ここまでか……思いついたのを試すしか無い。私は前に出て力を込めた聲を放つ。
「バリアー発!!」
ガゴン! という音を出して、カラスが弾き返される。上手く行った? でもただ固くなるよりも消費が激しい。既にがだるい。けど、このバリアーを崩すわけには行かない。だってこれが文字通りの最後の砦だ。これを突破されたらもう手立てがない……
ガゴン! ガン! ガン!
何度も何度もカラスは當たりをかます。けど私のバリアーは想像以上の強度だったようだ。でも奴が當たりをかます度に私のダル度は上がってる。既に瞼が重い。だけどここで寢るわけには行かない。それは永眠だ。私は首を左右に振って眠気を飛ばす。実際眠いままだけど、その時子供が銃をもってそれをポカスカと撃ってるのに気づいた。
いやーバリアーの維持で一杯だったからね。でもこれは由々しき事態だよ。だってこんな子供が使ってるんだよ? それなら……
「ねえ、それってどうやって使ってるの?」
「……これは、魔力を込めて撃つだけだから……簡単だよ。威力はその人の魔力によるから……僕なんかじゃ全然威力もでないけど」
なるほど、だからこの子が撃ってもポカスカとしかならないわけね。でもそれなら私なら? ゼルラグドーラの力を使える私なら……しかも私が出來ない魔力制とやらもやってくれるんじゃない? このバリアーもいつまでももたない。考える暇なんてない。私は銃口を空してくるカラスに向ける。そして集中する。自分のと銃が一化するイメージを持つ。
なんとなくこうした方が力が伝わりやすい気がしたんだ。それに銃の構造が頭に流れてくる覚もある。こういう魔道と沢山同調していけば自分でも魔力制出來るようになるかも……いや、今はそんな事を考えてる場合じゃない。目の前の事に集中集中集中――
「いっけええええええええ!!」
――引き金を引くと銃口から糸みたいなが出る。それは思ってたよりも大分ショボい。でもそれだけじゃなかった。は銃口の前で魔法陣を作り、それが幾つか出來た。今まで見たこと無い現象に驚いてるとその魔法陣からドデカイ一撃が放たれる。空にびる。それはカラス全を飲み込む程に大きな一撃だった。
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