《になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。》#10
朝日が昇る。昇るって行っても朝日の筋が見える程度だけどね。そんな時間に起きて私は出発の準備をしてた。今起きてないのはケプラーだけ。アイツが起きたら面倒だからとこんな時間だよ。昨日の耳打ちは私を追い出さないで――とのことだったらしい。ケプラーのお父さんからそう聞いた。まあこの貌に魅せられたケプラーがそういうのは仕方ないよ。
私のっぷりはなかなか罪づくりだと思うもん。それに魅せられたのがケプラーだけってのは納得行かないけどね。
「食料はできるだけしいんですけど?」
「貴様な……」
「後、水も」
「遠慮というのは無いのか?」
を一人放り出そうとしてるくせに態度がデカイ奴等だ。そもそも私が居なかったら全員死んでたんだから文句を言わずに獻上するのが普通でしょう。それを食料と水で我慢してあげるんだから私は優しいと思う。こいつの奧さんの品だって全てぶんどったって良いんだよ? 金目のならどこかでお金に変えれるだろうしね。まあどの道私はそんな持てないし、食料と水で一杯なんだけど。
だからそれくらいは遠慮なく貰うんだ。
「命の恩人」
「くっ……やはり人種だな。貴様らはどの種よりも強だ」
「なんでもいいから出しなさないよ」
さっさと行ってしいんでしょ? それに人種の事を私に言われてもってじだし。この世界の人種なんて私知らないよ。まあ昨日聞いた限りでは、人種はなかなかに悪らしいけどね。人種は大罪を全てもって生まれる唯一の種で、それ故にこの世界では悪なのだと。それは信仰上のことでしか無いから実際私的にはどうでも良いんだけど、人種は他の種の領土を奪ってると聞いた。
つまりは戦爭を起こしてると。やめてほしいね……このルドランド大陸は人種自がないらしい。それってつまりは他の大陸ではイケイケかもしれない人種もこの大陸では迫害されてるんじゃないかと言うことだ。人権とかなさそうな世界だし、悪に定められてる人種はこの大陸では生きづらそうなんだよね。そうそうに他の大陸に移って人種として差別する側に回りたいものだ。
いや、別段何もする気はないよ。他の種族に興味なんてないし……ただ私は楽に人生送ってチヤホヤされたいだけ。だからとりあえずの目標はこのルドランド大陸からの出になるね。
そんな事を考えてる間に緑の奴等は食料と水を用意してくれた。食料は大干だった。日持ちするものと言えば干……當然だね。水は竹っぽい筒にってるのが四個。何リットルかはわからない。瓶とかないの? 想定よりも文明レベル低すぎなんですけど? でも瓶くらいみたぞ。あれかな? この人達の村が極端に貧しいか、それこそ文明に疎い種族とか。
それか私が村をふっ飛ばしたからこんなのしかないとか? 有り得そうだから聞かないでおこう。
「我らにも食料と水は貴重だというのに……」
「近くの町に行くんでしょ? こっちはこの足でもっと遠い所目指すんだから當然よ」
「子供の癖にやけに偉そうなやつだな。もういいからさっさと行ってくれ」
どうやらこの人達は私と話してると頭が痛くなってくるよう。まさか本當に私には呪いが? こんなと會話できるだけで幸運をじるものでしょうに……嘆かわしい。さっさとこんな大陸から出なくちゃね。私は貰った袋に食料と水を詰める。水がってる竹筒の一つはそこらの蔦を腰に巻き付けて更に竹筒の紐をそれに結んで完だ。蝶結びだから直ぐに取れるよ。落ちない? 多分大丈夫。
「それじゃ、もう會うことはないよね」
「そうであってほしい」
「こっちもそう思う」
そんな會話をして私はカラスの傍に寄った。こいつに乗っていけば楽ちんだからね。
「カラスー乗せてー」
反応がない。いや、閉じた目を開けてこっちを見たくせに直ぐに閉じやがる。なにこいつ反抗期? その大きさでそれはないでしょ。ちょっと遅すぎよアンタ。
「私の言ってる事、わかるよね?」
聲をなるべく低くして言ってるみる。こいつは私の軍門に下ったはずなのだ。だから命令を聞くはず。まだダメージが有るのかもしれないけど、一晩眠ったんだから大丈夫でしょ。拠はない。魔ってそういうものじゃないの?
「ガ……ガガア」
「言い訳は聞きたくない」
「ガア!?」
なんか驚いてる。適當に凄んでみたんだけどニュアンス的にはあってたのかな? もう後ひと押しか? そう思ってるとカラスは自の羽にを埋めて羽を一枚もぎったを差し出してきた。
「なにこれ?」
「ガガア!」
「ガ、ガアガア、ガ!」
「があがあ煩い!!」
「「ゲガア!?」」
二つの頭でガアガア、ガアガア……怒鳴ったらしゅんとなったカラス。これで勘弁してくれって事? いやいや無理でしょ。だって歩くの大変だし。聞いた限り、普通に魔が出るらしいもん。このカラスに乗って行かないと命懸けになる。てかなんで素直に言うことを聞いてくれないの? 何かが足りてない? うーん何が……意志ではカラスは私に屈伏してるのは間違いない。
だって私を守るし、襲ってもこない。けど言うことは聞かないとはこれ以下に……アレかな、まだ野良と仲良くなった程度って事かも。じゃあ野良からペットにするには何が必要? 書類……ってここは現代じゃない。もっと繋がり的な……
「魂の回廊……名付け?」
「「グギャ!?」」
わかりやすいカラスであった。ぼそっと言っただけなのにちゃんと聞こえたようだ。なるほどなるほど、名付けが重要なのね。
「ふふふ」
私はニンマリと、そうニンマーーーリとする。すると先手を打ってカラスがきやがった。その羽を広げて風を起こす。そして私達が踏ん張ってる間に飛び去りやがった。
「あいつ……そんなに私に名付けられるの嫌なの? 普通そこは強者として認めたとかじゃないの? 降りてこーーい!!」
空に向かってぶけど、それでカラスが降りてくるわけもなくて、ヤケクソ気味に適當な名前んでも駄目だった。どうやら遠すぎるのか、それとも別の要因か不明だけど、魂の回廊は結ばれない。そんな事をやってると緑の奴等から「しーしー」とジェスチャーされた。確かにこんなんでたらケプラーが起きるかもしれない。しょうがないから私はカラスの羽を袋にれる。
大きすぎてはみ出るけど仕方ない。そして心新たに一歩を踏み出す。
(あのカラス今度會ったら殺す!)
そんな新たな決心は私を強くしてくれる筈だ!! 首を洗って待ってろよ!
【書籍化】隻眼・隻腕・隻腳の魔術師~森の小屋に籠っていたら早2000年。気づけば魔神と呼ばれていた。僕はただ魔術の探求をしたいだけなのに~
---------- 書籍化決定!第1巻【10月8日(土)】発売! TOブックス公式HP他にて予約受付中です。 詳しくは作者マイページから『活動報告』をご確認下さい。 ---------- 【あらすじ】 剣術や弓術が重要視されるシルベ村に住む主人公エインズは、ただ一人魔法の可能性に心を惹かれていた。しかしシルベ村には魔法に関する豊富な知識や文化がなく、「こんな魔法があったらいいのに」と想像する毎日だった。 そんな中、シルベ村を襲撃される。その時に初めて見た敵の『魔法』は、自らの上に崩れ落ちる瓦礫の中でエインズを魅了し、心を奪った。焼野原にされたシルベ村から、隣のタス村の住民にただ一人の生き殘りとして救い出された。瓦礫から引き上げられたエインズは右腕に左腳を失い、加えて右目も失明してしまっていた。しかし身體欠陥を持ったエインズの興味関心は魔法だけだった。 タス村で2年過ごした時、村である事件が起き魔獣が跋扈する森に入ることとなった。そんな森の中でエインズの知らない魔術的要素を多く含んだ小屋を見つける。事件を無事解決し、小屋で魔術の探求を初めて2000年。魔術の探求に行き詰まり、外の世界に觸れるため森を出ると、魔神として崇められる存在になっていた。そんなことに気づかずエインズは自分の好きなままに外の世界で魔術の探求に勤しむのであった。 2021.12.22現在 月間総合ランキング2位 2021.12.24現在 月間総合ランキング1位
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