再び一晩を経て、ようやくアドパンの街へと戻ってきた。なんかそれでも行きよりもかなり早く進んでたような？　まあ私も早くうさぎっ子とお風呂りたいし、良いんだけどね。街にるのも私なら顔パス。そして戻った街の雰囲気がなんか違う事に気付いた。なんか騒々しい様な？　アレかな？　行きの時に見た船。あれのせい？　そのくらいしか思い當たる節がない。

なんだかどこもかしこもお祭り騒ぎみたいな？　なにこの楽しそうなイベント。私だけ除け者にしようとしてたのかあの爺！　嫌がらせしてやろうか！　そんな事を思ってると、馬車から降りて何やら門番の兵士と話してたうさぎっ子が戻ってきた。

「ラーゼ様こちらです」

「え？　うさぎっ子？」

私の手を取り、引っ張り出すうさぎっ子。一どうしたんだろうか？　こんなうさぎっ子は初めてだ。でも……悪くない。強く引っ張られるのも悪くないよ。けど一つ気になる事が……

「なんだか屋敷の方角と違うと思うんだけど？」

そうなんだよね。そこまでこの街の事を知ってる訳じゃないけど、簡単に屋敷の方かそうじゃないかわかる方法がある。それは壁に向かってるかどうか。だってまだ外壁の傍だよ。それなのにうさぎっ子が引っ張る方向は壁に向かってる様にはみえない。寧ろなんか大きく回ってるような？　一何処に向かってるのか？

「大丈夫ですラーゼ様。私を信じてください」

そういううさぎっ子。そう言われれば信じちゃうけど……なんか視線があるんだよね。まあ私は目立つし、それはしかたない。けど、その視線がいつもと違うような？　なにか期待してるみたいな視線が……いつもなら私が見ると直ぐに視線を逸らす街の人々がこちらをマジマジと見てるってのがなんかおかしい。不穏な何かをじる。

でもそれを意にも介さぬくらい、うさぎっ子は強く引っ張ってる。走った先に大きな建が見える。あれは確か発著場。あれも重要施設だけど、流石にアレを壁の中に作るとかは無理だから外壁側にある。けど確かVIP専用の通路が繋がってたような？　直通の奴。うさぎっ子の目的はあそこ？　てかそろそろ息がヤバイんだけど……肺が痛い、肺が。

私普段から運なんてしないからね。だってそれでも私のはらないもん。それに私は一撃必殺。だから大かないで決めるスタイルだからね。こんな華奢なで防と攻撃に極振りなんだからなんかおかしい。

デッカイ建にるとなにやら沢山の人で溢れてた。かなりの人數がこの建に集まってる。そして私じゃなく、その全ての視線を誰かが集めてる。普通は私が集める視線。それを私よりも集めるだなんて許せない。一何処の……それか年？

「いたっ！　うさぎっ子？」

うさぎっ子が握る腕に痛みが走った。そして見た橫顔に私はゾッとした。それは狂気をじる表してた。違う……こんなうさぎっ子をみたかったわけじゃない。私は足取りを重くする。けど、うさぎっ子の方が力が強い。だから引っ張られるのを止める事はできない。私たちに気付いた人達はまるでモーゼの如く道を開けていく。そしてどこかで見たようなハムスターが大きく手を振ってると思ったら何処かを指差してる。

それに頷くうさぎっ子。更に足早になったうさぎっ子はその一団を見つけて、急いでゲートをくぐる。傍に白狼の森に行く途中で見た船がある。って事は帰り？　てか何故にゲートの看守が何もしない？　普通そこは止める所でしょう。どう考えてもVIPがいるのにこんなあっさり……いや、あっさりどころか無視したよ。どんどん不味いじが高まってる気がする。けどいかんせん私はうさぎっ子の手を振りほどく事ができない。

そしてついにはその一団が目と鼻の先に……何やら重裝備な兵士に囲まれて、誰かがいる。跪いてる中にはこの街の中樞の奴等。その中にオラルドもいる。って事はあの誰かが超VIPか。そんな事を思ってるとうさぎっ子がその聲を張り上げた。

「アンサンブルバルン様！！」

その必死なびに、その場の誰もがこちらを見る。重裝備の兵士達は素早く武を構えてた。オラルドはこっちを見て青い顔してる。この街の重鎮達もそれは同じ。そんな中、一人が靜かに聲をだした。

「何かな？　可くしいお嬢さん方」

それは紫の蛇だった。蛇と言っても頭がそうであるだけでは普通に人っぽくある。その細長い舌を素早くかしながらも聲を発してる。けどなんだろう？　聲は穏やかなのにがピリピリする。これが蛇に睨まれた蛙ってじなのかもしれない。只者じゃない……ただなんとなくだけど私でもそれがわかった。