になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。》#38

「君は彼に仕えてるだろう? 出來るのかね?」

「當然です。この手で殺れるのなら……それは本です」

こちらを見るうさぎっ子に迷いはない。本気で私を殺す気だ。それが出來るかどうかは別にして、うさぎっ子にはそれだけのが私にあるって事。今まで楽しかったのは私だけ……本當は腹わたが煮える思いだったんだね。

「武はあるのかな? 流石に素手では不味かろう。悪魔なのだろうアレは?」

何余計な事をあの蛇は言ってるのか……別に武なんていらないよ。私はどう見てもか弱いの子なんだからね! この容姿の何処に戦闘力があると思えるのか。

「確かにそうですが……けど私は一介のメイドです。武なんて」

実はうさぎっ子は暗とか持ってそうだなーとか思ってたけど、流石にそこまで騒なメイドでは無かったようだ。まあそもそも暗程度では私に傷一つつけれないけどね。てか、私の防を抜ける武がこの世に存在してるのか甚だ疑問だけどね。そのくらい私の防力は高い気がする。だからまあ何が來ても大丈夫じゃないかな。

「それならこれを使いなさい」

そう言って蛇は懐に手をれて、二本の赤と青の綺麗な雙剣を取り出した。おい、ちょっと待て。どう見てもそんなのらないだろ。どうなってんだその服。しかもめっちゃ強そうな武だよあれ。見たじ『伝説の』とかついてもおかしくはなさそう。チート武じゃないでしょうね。

「これは?」

「それは我が國が蔵で所持してる伝説上の雙剣だよ」

ほらきた! いやいやいやちょっと待とうよ! そんなの手軽に出して良いものじゃないよね!? 明らかに國寶じゃん! それもなんで簡単にうさぎっ子に渡すの? おかしいでしょ! てか、なんでそんなの所持してるのこの蛇。獣僧兵団のトップってそんなになの?

「だけど、この剣を使うにはリスクがある。だが、あの悪魔と呼ばれるを討伐するにはこれくらいは必要かと思ってね。どうだね……それでも使うかい?」

「使います!」

「ちょ!? うさぎっ子!!」

リスクも聞かずに即決だよ。なんて男らしいうさぎっ子! 惚れちゃうよ。ってなにげに私討伐対象にされてるんですが? 私はモンスターかよ。

「うさぎっ子なんて呼ばないで! 私はこの手で貴を殺す。それが出來るのならなんだっていい!!」

そう言って雙剣をけ取ったうさぎっ子に変化が起きた。二本の剣と手が同化しだして、中の管が浮き上がる。そして白かった髪が赤く染まる。からは青い闘気が迸ってる。これ明らかにヤバイ武じゃん!! リスクが目に見えちゃってるよ!!

「なんてを……」

「それほどまでの怨みを買った貴も貴と思いますがね」

しれっとしてる蛇にブチ切れそうになる。こいつ……これ狙ってたんじゃないの? そもそもあんな國寶級のなんて持ち歩かないでしょ。まあ強者の傍こそが絶対な安全地帯という事も考えられるけど……でもあの蛇が絶対に負けないってわけでも無いんだろうし……

「ころ……す」

うさぎっ子は既に正気じゃないじ。そんなうさぎっ子がいた。次の瞬間、私は後方に飛んでた。

「つっ……」

早すぎて何も見えなかった。多分斬られたんだと思う。だって服がの所から下の際どい所まで裂けてるし……けどに傷はない。どうにかして服にまで力を伝えれる様にならないと、戦闘の度に私全を曬すことになるね。そんな事を考えてると今度は側面から衝撃が來た。が反対の方向に飛ぶ。けど直ぐにその飛んだ方向から再び衝撃が來る。

怒濤の攻撃……滅多打ち狀態とはこのことだね。服がどんどん剝がされてっちゃう。それに合わせるかの様に沸き立つ歓聲。こいつらどいつもこいつも変態か。まあ実際は私相手に超優勢なうさぎっ子に興してるんだろうけど……わかってるよそんな事。誰も私のなんて興味ないって! これ以上しいなんてこの世に存在してないっていうのにね。

いや、一人いたや。私のに興してそうな奴。オラルドはこっち凝視してる。なかなか見る目あるじゃん。その獣人を全員滅ぼす時が來てもオラルドだけは生かしてもいいかもね。

まあだけど今はうさぎっ子だ。攻撃に耐え続けてなんとか目がうさぎっ子の姿を捉えるくらいには慣れてきた。でもだからって反応できるかは別問題だけど……そもそも私運音癡っぽいんだよね。薄々はじてたけど、なんかそんなじ。頭のなかで描いてる華麗な姿と現実は違うみたいな? 屋敷でボールを真上に投げて取れない時はショックだった。

だからこんな早くくうさぎっ子に反応するとか多分無理。難しいことなんて出來るわけもない。だから私はただ一つを狙う。複雑じゃなくシンプルでいて効果はてきめん的な? 服もそろそろパンツまで落ちちゃいそうだしね。いいじに迫ってくるうさぎっ子が見える。私は頭を後方に傾けて、そして一気に前へ! 先に剣が私のに當たるけど、傷つかないんだから気にしない。

そして向こうのスピードでは避けるなんてことは不可能。私の頭とうさぎっ子の顔がかち合う!

「いつっ!」

「ぐあっ!?」

よろめいて後ろに下がるうさぎっ子。顔面にったしこれは効いたでしょ。

「うさぎっ子聞こえる!! 正気に戻りなさい!」

私は額を抑えながらうさぎっ子に聲を掛ける。するとうさぎっ子が頭を大きくふる。

「あっがあああああああああああ!!」

そんなの子としてはあるまじき聲まで出る始末。このままだとうさぎっ子の命がヤバそう。実際、最初の闘気よりも今は目に見えて減ってる。アレが生命力とかと関係してるとすれば……アレが見えなくなった時、うさぎっ子は死んでしまうんじゃないだろうか? それは嫌だ。だってまだモフモフしてないしね。

「うさぎっ子! その剣は駄目! このままじゃ死んじゃうよ!!」

「それが……なに!? どうせ、もう……誰も居ない! アンタが殺した!! 私のお父さんも、お母さんも、本當のご主人様も!!」

どうやら頭突きの効果はあったようだ。何とか自我は取り戻したらしいうさぎっ子。だけど、止まりそうにはない。そもそもあの剣……既にうさぎっ子の腕に同化してるしね。

「うさぎっ子が私を殺したい理由はわかった。けど、どうしようもない。だって死者とか蘇らせれないし」

「じゃあ……私を殺して止めればいい。アンタなら簡単でしょ? やりなさいよ。私が殺すか……アンタが殺すか……それしか無いのよ!!」

の涙がうさぎっ子の瞳からは流れてる。あんまり喋ってる時間はない。多分次くらいの行でうさぎっ子の闘気は燃え盡きる。チャンスは一度きりだ。それにそもそも簡単に殺すとかいってるけど、私はそんなに簡単に殺せないっての。確かに消すだけなら簡単だけど……

「私はうさぎっ子を殺したくない」

「何を馬鹿な事を……そんな訳ないじゃない! だって私はこんなにアンタを殺したい!!」

うさぎっ子の闘気が燃え上がる。さながら燃え盡きる前の蝋燭の如く。確かに信じれないかもね。私的にはいたって普通なんだけど……私ってだから誰からも理解されないのかも? まあでも、これが私だし……しょうがない。

「殺したい? いいよ、け止めて上げる。その上で私のメイドにしてあげる。今度は真の……ね」

「ぬかせえええええええええええええええええええ!!」

私の笑い顔が癪に障ったのか、うさぎっ子の闘気が剣へと注がれる。そして青い炎と赤い炎が迸る。一気に床を蹴るうさぎっ子。その衝撃で床は剝がれてた。一瞬にしてうさぎっ子はそこにいる。二刀の剣は私の首を狙ってる。私は力をそこだけ緩和する。首の中ほどまで剣が來るが伝わる。本當は皮一枚にしたかったけど甘かった。けど中までくればこっちのもの!

私は自の力をその剣に一気に注ぎ込む。外に伝えるのは苦手だけど、に侵させたらどうか? って考えてたんだ。そしてそれは當たってた。流せる! 私はゼルラグドーラの力を無制限に流し込んでやる。すると次の瞬間、雙剣は脆くも砕け散った。その時何かが流れ込んだ気がしたけど、それどころじゃない。なんか二つの炎が大きくなって私達を包んでる。

てか、なんか凄い悲鳴とかが聞こえる。罪が追加されそうな勢い。

「これってヤバイ? っう……」

あれ? 視界がボヤける。なんかに熱いが流れてる……と思ったら、が赤に染まってた。どうやら首からがドバドバと流れ出てるようだ。そうだよね、だって確実に脈と靜脈まで切られた。回復を……と思ったけど、そこで死にかけのうさぎっ子に気付いた。命の火が消えかけてる。なんとなくわかる。けど、まだ消えかけだ。

消えてないのなら……まだどうにか出來るかもしれない。でも……それをやると私自の回復はきっとできない……

「ほんと……手のかかるメイドなんだから……」

私はその青白い顔に手を置いて「回復して」と願う。それだけで十分。というか、他にやり方しらないし。するとうさぎっ子のってなくなってた両手とかが元通りになって顔も戻った。私は安心した。それと同時に、酷い気だるさが襲ってうさぎっ子の傍に倒れ込む。はどんどん出てる。これは不味いかも?

「私は……なんで? どうしてこんな!?」

どうやらうさぎっ子が起きたようだ。遠くから喋ってる様に聞こえるけど、きっと近くにいるよね。わかんないけどとりあえず最後の力を振り絞って私は言うよ。

「だって……可いは正義だから……私の許可なく、可いは死んじゃだガボッゲホッ!?」

やばい、が口いっぱいに広がってきた。これは出多量よりも先に呼吸困難で死にそう。折角決めようとしたのにこれだよ。なんで格好良くさせてくれないかな? そんな事を場違いに思ってると、周囲の炎が消し飛ぶ。それをしたのは多分あの蛇。だって奴が、なにか機械の腕みたいなのを四本も生やしてるのが見える。そしてその蛇目を爛々と輝かせるのも……

「凄い……素晴らしい逸材だよ君は。君はこんな所では死んではいけない。我が國の為に存分にその力を使って貰いたい。勿論、拒否権など無いがな」

そんな言葉が聞こえたと同時に私の意識は落ちた。

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