《になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。》#45
エレベーターを降りてエントランスにでる。スイート用のエレベーターは直通だから他の人が乗ってこないのがいい。私ほどの可さなら、室は常に危険だからね。雄なんて狼。いつだって発してくるのだ。まあ毎晩ベッドで蛇に抱かれてる私が言うことでもないかもだけど。けど最後まではやってないし! 舐められてるだけだから。
思い出すだけでゾクゾクする。
「あー早くうさぎっ子の所にいこ」
し歩くと直ぐに、視線が集まってくる事に気づく。いつもの事だから気にせずにホテルの外へ。するとそこで人よりで貓耳を生やした軽薄そうな奴と、獣寄りの黒貓っポイマッチョに聲を掛けられた。
「ねえねえお嬢ちゃん。君凄く可いね」
「は?」
「いや、だから凄く可い――いぎっ!?」
とりあえず地面にあった軽薄そうな奴の足の甲を踏みつけてやった。人形は基本人の形してるから貓の癖につま先立ちではない。黒貓マッチョはちゃんとつま先立ちだ。だからこそ軽薄そうな方したんだけどね。足の甲って弱點らしいよ。こんな小さくて軽い私でも勢いと全重を乗せれば、それなりの攻撃力になる。だから軽薄そうな貓耳男は痛がってる。
「私、自分の可さ知ってるから。もっと気の利いたこと言いなさいよ」
「こんのガキ!」
貓耳男は私に向かって拳を向ける。この私を毆ろうとは死罪確定だね――
「いぎっ!?」
「きゃあああ!!」
――社會的にだけど。私は力を行き渡らせて自を保護。その上で毆られた振りしてあげる。盛大に後ろに倒れて、聲もよく通った筈。しおらしく倒れた振りして周囲のざわめきを確認する。確実にこっちを見てる。それはわかるけど、わざわざ行に移そうとするやつは居ない? いかついのは外見だけか? 獣人の癖にを助けないとは何事だよ。
とか思ってると私はとんでもない事に気付いた。なんかすぐ傍にアレがある。そうあれあれ……
「あっ、ちょっとごめんあそば」
そう言って私は近くに落ちてたうさぎ耳を取ってつけ直す。うん、こんなものかな? すると黒貓マッチョが「貴様人種か?」とかいうから慌てず驚かずに、そしてし小馬鹿にした様な笑いを出して否定する。
「あはは、まさか、私の耳は著式なだけですわよ」
なんかさっきから口調がおかしくなってるけど、慌ててるわけではない。向こうの方が慌ててるだってツッコミれて來てるし。「そんなわけあるか!」って。やっばり著式は無茶だったか。
「人種か……はふ」
なんだその変な音? 私を下卑た目で舐め回したからこの貓耳男の思ってることはわかる。人種になら何やったっていい。そんなクソッタレた事がまかり通ってるんだ。戦爭してるんだし、まあわからなくもないけど、人権を主張したいところである。
「人種にしては相當の上玉だな。おらっ、もっとよく拝まされろ」
なんか急に言葉遣いが荒くなったな。自分が上だと認識したようだ。これだから獣は……いや、これはどの種も一緒かな? 自分が優位だと思えば一気に攻める。それは戦略上の鉄則みたいなものだからしょうがないね。この國にいる人種なんて生兵か奴隷くらいだし、そんな相手に下手にはでないでしょ。私の頭を摑んで強引に顔を見る貓耳男。
「へえーこれは凄い。だが、むかつく目だ」
そういって貓耳男は黒貓マッチョに視線を送る。けどどうやら黒貓マッチョは乗り気ではないよう。
「こいつアイシャンテホテルから出てきたぞ。奴隷だとしてもかなりやばい奴の所有なんじゃないか?」
ああ、そういうこと。確かにただの奴隷がこんなところから出てくるわけないよね。案外こっちのマッチョの方が頭使ってるじゃん。侮りがたし黒貓マッチョ。けどそんな忠告に貓耳男は聞く耳をもとうとしない。哀れなやつである。
「何言ってんだよ。人種なんて好きにしていい奴等だろ? 俺たちにどこも敵うところなんてない劣等種族だ。お前の爪でひっかくだけで泣きわめくぞ。こいつさっきから全く俺たちを怖がってないんだ。脅してやろうぜ。おいガキ、こいつの爪はいてえぞ!」
なんか可そうな奴だねこの貓耳男。自分では威張れる所が一つも無いんだろう。わざわざ他の奴に頼って脅すとかなんなん? しかも私まだ小さなだよ。そんな私に自分以外の力で勝ち誇ろうとか男としてのプライドはないの?
「おらおらどうした? 怖くて聲も出なくなったか? 許してしかったらとりあえずにでもなれよ。てめえらみたいな人種に服なんか必要ねーんだよ!」
そう言って私に向かってその手をばしてくる貓耳男。ラフな格好だけど、こんな奴にられるとか、それだけで著替えたくなっちゃう。だからすかさずこう言うよ。
「れるなカスが。私はアンタがれれるようなじゃないのよ。見てわかんない? アンタのその貧相な容姿に私が釣り合うとでも? 世界がひっくり返ってもありえないんですけど〰ププー!」
「この! 人種の分際で!!」
そう言って再び拳を握る貓耳男。そして振りかぶった拳が私に當たる。けど今度は吹っ飛んでやらないよ。
「いっでええええええええ!!」
そう言って転げ回る貓耳男。いい気味である。なにやら黒貓マッチョは驚いてるようだけど、手は出してこない。やっばりこっちが見込みある。向こうの雑魚オブ雑魚は殺したい所だけど、その手段が私にはない。力使うと広範囲消し飛ばす事になるからね。それじゃあ犠牲が大きすぎる。消し飛ばしてもいいけど、そんな事したら流石に蛇も私をかばえ無いだろうし。
問答無用で死刑とか宣告されてもこまる。どうしようかと悩んでると、貓耳男は懐からナイフを取り出した。まあ別に所持は止されてないし、寧ろここでは推奨されてるくらい。なにせ獣人は己の強さとかを追い求める傾向が強いらしいから、い頃から武の扱いは一杯叩き込まれるのだとか。聞いた話では學校の授業とかであるとか。
流石異世界はちがうね。けど私はナイフをビビりもせずに笑っちゃったよ。
(よし、あれで事故を裝って殺そう)
そんな考えをしてたからだ。すると貓耳男は何やらナイフの刀をらせてる。のマナを武に通すとああいうことが起きるんだとか。ああする事で武の耐久力とか切れ味とかが上がるらしい。まあだけど、あんなナイフで私の防を抜けるとは思えないからどうでもいい。あれはあの貓耳男が本気だということだろうけど、私にとってはただの棒きれとかわらないからね。
「てぇめぇぇ!! 人種の分際で! ぶっ殺してやる!!」
ドラマとかで聞けそうな事を吐いて突っ込んでくる貓耳男。私はただそれを待つ。狙うは奴が完全に決まったと思って油斷した瞬間。その瞬間にあのナイフを返して、奴にめり込ませる。そんな作戦だったんだけど……
「やめたまえ!!」
そんなき通る様な聲が響いて、私の計畫はおじゃんにされた。
旋風のルスト 〜逆境少女の傭兵ライフと、無頼英傑たちの西方國境戦記〜
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