になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。》#48

「こーんにーちはー!」

軒先でそんな聲を出して中の人に呼びかける。ここはライザップの首都であるライザリアの繁華街から離れた場所にある食事処だ。大衆料理を扱ってて、地域著型みたいな? 結構繁盛してると聞いてる。まあ今はお晝時も過ぎた頃だから、そこまで忙しくはないだろう。

「…………」

なにも反応がない。そんなわけ無いと思うんだけど……もう一回大きく息を吸い込んでると勝手に著いてきた奴が興味深そうに聞いてくる。

「ここに一なにがあるんだい?」

「貴方に関係ないでしょ」

「それはそうだけど……ああ、じゃあ客として僕は行こうかな?」

「は?」

そんな事を言ってイケメンはさくさく進んで扉を開いた。その瞬間何か必死な聲が聞こえてイケメンの顔にモップがぶち當たった。

「ていやああああああ!! ――ってえ!?」

モップが當たっても微だにしないイケメン。そこでようやくモップを握った人は狙いとは違うことに気付いたようだ。

「この店は斬新な歓迎をしてくれるんですね」

モップをずらしながらも笑顔を絶やさないイケメン。近づいて中を確認すると、モップを持ったうさぎっ子がその笑顔に見惚れてた。このイケメンやっぱり敵だな。私のうさぎっ子をするとか許せない。

「わーうさぎっ子來たよ!」

「え? ちょっ、ごめんなさい!!」

飛びついてくる私にイケメンに押し付けてたモップを投げつけて來るうさぎっ子。それに阻まれてる間にうさぎっ子はイケメンに謝ってた。

「はは、あの娘と勘違いしたのかな?」

「はい……本當はこんな事絶対にしないんです。このお店はとても評判良くてですね」

「うん、わかってるさ。席に案して貰えるかな?」

「はっはい!」

あれ? うさぎっ子……私は? なんかうさぎっ子が今まで見たこと無い顔してる気がする。的に言うと、乙の顔みたいな? なにそれ、認められないんだけど? 私はゆっくりと立ち上がってイケメンが案された席の向かい側にドガッと座った。しだけうさぎっ子がこっちを見てくれた。けどそれだけ。うさぎっ子は直ぐにイケメンに視線を戻して、メニューを差し出してる。だから私には?

「ここのおすすめは何かな?」

「えっとトトロの姿焼きに、メイの七草スープです」

「ではそれでお願いしようかな」

「はっはい。只今お持ちしますね!」

赤くなった顔を笑顔でゆるませてうさぎっ子は店の奧に消えていく。そんなうさぎっ子を涙目で私は見つめることしか出來ない。だから……ねえ……私には!? 私にも優しくしてようさぎっ子!! この世界にきて、私はこれ以上無い落膽を味わってる。

憎い! このイケメンが憎い!!

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