《になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。》#49
なんとか私も注文をして、料理が來るのをイケメンと共に待ってる。イケメンの奴は私の恨めしい視線も何のその、ずっとうさぎっ子を見てる。普通そんなガン見されたら引くじゃん? けどうさぎっ子……なにその反応? なんでさっきからこいつをチラッと見て視線がかち合う度に「きゃ!」ってじて――「きゃ!」ってじて頬を赤らめて視線を逸してるの。
(もうなんなの? 発しろ)
と、私が思わず思っても仕方ない。なんなの? なんでこの世界一のの私がモブにり下がってるの? そんなにうさぎっ子が気にったのか? 確かにうさぎっ子は可い。それはわかる。だって私が目をつけた娘だもん。そこらの獣人よりも一回りはレベルが上だ。別にこのイケメンにこっちを向けとは言わない。けどね……うさぎっ子は駄目。
(私、認めませんよ!!)
怨嗟の念を背中から垂れ流しながらイケメンを睨む。勿論、奴はうさぎっ子しか見てない。だから私は、出された木製のコップにってた生溫い水を一気に飲み干して、私はダン! っと激しい音を出してコップを置いた。
「レディがその様な所作は心しないな。しかも君みたいなしい娘なら尚更だ」
ニコッと……ニコッと自然に出來るイケメン。しかも歯も浮くような臺詞をさらっと口にする。ゾワゾワする……ゾワゾワするよ!! 私はコップが潰れるかと思うほどに、手に力を込める。腕が思わずプルプルしちゃう。
(ねえ……なんなのこいつ? なんなのこいつ? 消し飛ばしたい!!)
今はじめて私は自の力を完璧に制したいと思う。だってそうしないと、うさぎっ子まで消し飛ばすことになる。それは出來ない。けど、こいつは消したい。消し飛ばしたい。どうにかして殺すすべはないか考える。
「ふぅーシュゥゥゥー」
「凄い息吐いてるけど、大丈夫かい? 調が悪いのなら送るよ?」
「お……お構いなく。ただ、どうしても消したい存在の事を考えてるだけですので」
「それは……騒だね」
お前の事だよ!! と言ってやりたい。このイケメンの仮面を剝がしたい。殺すことは葉わなくても、うさぎっ子のあの視線を止めさせたい!! あんなキラキラした瞳……見てられないよ!! どうしてくれようどうしてくれよう! 私は自の水を飲み干した事を後悔した。
(いや、水はおかわりいただけるみたいだし、うさぎっ子に持ってきて貰ってそこでこいつに……うしし!)
とか考えて早速実行。「うさぎっ子お水! お水がほしい!」と要求した。すると一瞬とてつもなくイラッとした顔をしたように見えたけど、きっと気の所為。だってここ最近、うさぎっ子は私を見る目に、戸いが有ったんだ。それこそ今、このイケメンに向けてるような……程とはいえないかもだけど、自分の中の何かと葛藤してる様なじだった。
だからこそ、ここらで良い印象を植え付けて、うさぎっ子に好いて貰おうとしてたのに……だ。このイケメンの登場ですよ。橫から私のうさぎっ子をかっさらおうとはいい度してるじゃない。
「お待たせしました」
そう言ってやや投げやり気味の聲でうさぎっ子がお水を持ってくる。それをけ取る振りをして、盛大にイケメンにコップごとぶつけてやる。するとなんと奇跡! コップがイケメンの頭の上に乗っかて綺麗にひっくり返ってるじゃない! これには笑わずにはいられないよ!!
「あはははははは! 凄い凄い! ねえねえうさぎっ子見てよあれ! 奇跡! 奇跡起きちゃったよ! 流石イケメンは笑いの神にもされてますねー! プープップ!!」
「大丈夫ですか!? 本當に申し訳ありません!!」
んあれ? 私が盛大に笑ってると、うさぎっ子はイケメンの濡れた頬とか鼻先をその綺麗なハンカチで拭ってた。しかもそれやってるって事はだよ……二人が超近いわけで……なんだか、私の笑い聲なんて聞こえてませんみたいな? 二人だけで甘い空間作っちゃってます的に見える。
「はは……大丈夫ですよ。それよりも……ふふ、本當に綺麗に乗っちゃったよ。そうだと思わないかい?」
「えっと……どういえばいいか」
「あはは、ごめんごめん。そうだね。そんな事言われても困るよね。う……う……ハクション!」
「大変、直ぐに著替えを用意しますので奧へ!」
「いや、このくらい……」
「駄目です。この店で風邪なんて引かれたら、將さん達が困るんです!」
「そっか……それもそうだね。ではお言葉に甘えようかな?」
「はい!」
二人はそんな會話をして奧に行こうとする。もう私は訳がわからなくて、目を皿にすることしか出來ない。けど最後の抵抗で私はうさぎっ子の名前を読んだ。か細い、寂しくて死んじゃいそうな聲で――なのにうさぎっ子は私を一瞥すると冷たくこういった。
「もっとマシな人かと思ってたのに……また騙される所でした」
そうして消えてった二人。私が一人殘ったテーブルに注文の品が運ばれてくる事はありませんでした。
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