「次は私がやりたーいっ！！」

親バカ丸出しの発言をするルーガスと、それをそうとも言い切れない程の數値を示したフィンク。

ともに誇らしげに微笑んでいたのだが、ここでエミリーが我慢出來ずに割ってった。

「お兄ちゃんがすごいなんて分かりきってるじゃない！今更よ！今更！」

「まぁ確かに」

なんとも見も蓋もない想ではあるが、的を得ていると頷いてしまうロイド。

そんな妹弟にフィンクは苦笑しつつも、それでも信頼をじる言葉に嬉しさもじていた。

「そうだね、先に使っちゃってごめんね２人とも。ハードルを上げすぎてやり辛くなってしまったなら謝るよ」

「ははっ、比べようとも思ってねぇよ。さすが兄さん、で片付く話だわ。むしろしは慢心して俺達が追いつくのを待ってもいいんだけど？」

「あり得ないね。まだまださ」

フィンクのからかうような発言にロイドは軽く返す。

むしろこの兄が平均レベルならこの世界ではまともに戦える気がしない。

フィンクが努力しているのは家族全員が知っている事だ。

ロイドも負けじと頑張ってはいるが、その背中は変わらずに遠い。

「よーし！んじゃいくわよ！」

「………」

そんな軽口を叩く兄弟を脇目に早速エミリーが鑑定石に手を向けて魔力を注いでいた。

兄弟はなんとなしに目を合わせて苦笑し合い、エミリーに目を向ける。

「んんっ……！まだ足りないの？！」

「頑張ってねエミリー」

魔力量が厳しくなってきたのか、額に汗をびっしり浮かべてぶエミリー。

シルビアが応援しつつ何か魔法を発させようとしているが、それをルーガスが無言で手で制する事で遮る。

シルビアがルーガスに目を向けると、ルーガスは何も心配してないと言わんばかりに表を変える事なくエミリーを見ていた。

先程のフィンクの魔力量の表示からすると７５０減していた。

元々一切減ってないとするならこの鑑定石の起には７５０ほど必要であり、同世代の魔力量の平均では到底足りない量でもある。

それに気付いていたシルビアが魔法の高等技の１つである『魔力譲渡』を施そうとしたのだが、ルーガスの表を見て無言で手を下ろした。

「こんにゃろぉおっ！」

もちろん、エミリーはそんじょそこらのではない。

ウィンディア家から長にして、その名に恥じぬ能力をにつけつつある才だ。

才能と努力を兼ね合わせ、風の妖などという呼び名まである彼に起出來ない訳がない。――気合いの掛け聲は妖のイメージには似つかないものではあったが。

そしてついに、掛け聲に応えるように鑑定石に文字が浮かび始めた。

「で、出來たわっ！」

「うむ、よくやったぞエミリー」

「ふふっ、さすがエミリーだわ。余計な事をしようとしてごめんね」

  ん？余計な事って？と首を傾げるエミリーに、なんでもないと言わんばかりに頭をでるシルビア。

エミリーもそんな事より褒められた事が嬉しいのか貓のように目を細めて気持ち良さそうにでられている。

「さて、文字が出てきたな」

ルーガスの言葉にはっとしたようにエミリーが鑑定石に目を向けた。

それにつられるように全員が目を向ける。

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魔力量 １００/８５０

魔法適 風１００ 火６５ 水２５ 土５ ６０

スキル 風魔法適

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「凄いじゃないエミリー」

「えへへっ！當たり前でしょっ！」

表示されている數値はフィンクには劣るもののかなり高水準と言えるだろう。

得意げにするエミリーをシルビアは再び頭をでてあげる。

「姉さんは火の適が高いんだな。扱うのは見た事あるけど、こんなに高かったんだ」

「そうだな、今度は火魔法の稽古をしても良いかも知れん」

ロイドの獨白に近いセリフにルーガスが反応し、今後の教育について思案していた。

ロイドはなんとなく「風の妖」という通り名もそう長くないかも、と心呟く。

そんな事を考えていると、フィンクが肩をポンと叩いてきた。

「それじゃそろそろロイドもやってみよう」

「ん？おう、そうだな。起出來るか自信はないけど、やるだけやってみるか」

正直姉のエミリーがギリギリで起させる程の魔力を自分が持っているとは思えなかったロイドだが、挑戦するだけしてみようと鑑定石に近づく。

「大丈夫、ロイドならいけるさ。というよりこの為に父上が無理して取り寄せたんだし、やってあげないと可哀想だろ？」

「ぅえ？そーなん？」

思わずルーガスに目を向けるロイドに、ルーガスは頷く。

「無理をして、かは別としてロイドに使わせるのが目的で借りけたなのは確かだな。

ーーお前の魔法適や、場合によってはスキルによるものが原因で魔法が使えないのではないかと思ってな」