《魔法が使えないけど古代魔で這い上がる》15 ロイドのスキル
スキルとは。
ごく稀に生まれ持ち、中には通常ではあり得ない程の恩恵を授けてくれるものもあるが。
だが、様々なスキルが存在し、なかには持ち主に必ずしも良い恩恵を與えるものばかりではない。
過去には呪いのような恩恵をもたらすスキルを発現し、國を脅かした存在にまでなる者もいたという。
 
そしてルーガスはロイドにスキルによって魔法適に異常が発生しているのではないかと考えたのだ。
「……なるほどね。まぁそう言うことなら何が何でも起させてやる」
ロイドは自分の為に國寶まで借りてきてくれた父に謝の言葉を告げようとして、辭めた。
起させる事が謝を伝えるに相応しいと考えたからだ。
気合いをれ直して鑑定石に向き合うロイド。
そこには普段飄々としており力の抜けた表はなく、真剣な表を浮かべている。
「すー……はぁー……よし!」
鋭い目つきで右手を鑑定石にかざし、の魔力に意識を向けて高め、それを右手に集める。
そして、一気にそれを鑑定石に流し込む!
「っうぇえ?!」
直後、なんとも腑抜けた聲がロイドかられ出した。
垣間見せた真剣な表はらどこへやら、狼狽を隠しきれない様子だ。
フィンク、エミリーも聲もなく目を丸くしている。
「すげぇあっさり出てきたんすけど…壊れちゃったとかないよね…?」
そう、魔力を叩き込んだ瞬間、これまでのようにゆっくりと文字が浮かび上がる過程すら飛び越えて、一気に文字が浮かび上がったのだ。
「あ、あわわわわ……壊れた……?」
「ふぅ…」
「ロイド……今まで楽しかったよ…」
 
これ、國寶だよね?壊れたらやばいよね?弁償?…無理だろやばいどーしよ!と慌てふためくロイド。
額を右手で押さえて天を仰ぐように諦めのを現するエミリー。
ロイドに向ける微笑みがまるで死期間近の親を見送るそれであるフィンク。
そんな兄弟達を脇目に、ルーガスとシルビアは息を呑んで固まっていた。
その目線はロイドではなく鑑定石の文字に向けられている。
「あなた、これは……」
「うむ、々と想像以上の結果だな……しかしこれでロイドの魔法が使えない理由が分かったな」
え?とフィンクやエミリーとは違い冷たい汗をかきまくるロイドは、ルーガス達に目を向ける。
そして、つられるように鑑定石に目を向けた。
フィンク達も我に帰って鑑定石を覗き込む。
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魔力量 3750/4500
魔法適 火0 風0 水0 土0 0
スキル 魔適
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それを見て固まる兄弟達。數秒の後、
「は、はぁぁああっ??!」
エミリーの特大のび聲がウィンディア家に響き渡ったのであった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その後、エミリーの聲で晝寢していたローゼが起きて泣き喚き、それをシルビアとエミリーが必死に宥め、それでも余程驚いたのか泣き止まないローゼに陣2人が困り果てたり、エミリーが何を思ったかルーガスとフィンクに泣き止まさせようとローゼを手渡すがやはりどうにも出來ず普段見せない困をわにしつつも頑張ってあやしたり、自分の鑑定結果を飲み込め切れず呆然とするロイドが放置されたり、ルーガスとフィンクがロイドを巻き込もうとしてローゼをロイドに押し付けたり、それを冷ややかな目線で陣が見たり、ロイドの腕の中に収まった瞬間にローゼが泣きやんだりした。
「ほんと、なんでロイドってそんなにローゼに好かれちゃってるの?」
「ロイド……今度ゆっくり話をしようじゃないか」
  暴れたローゼにやられたのか髪や服にれがあるエミリーと、シスコンの目をしたフィンクの目線がロイドに刺さる。
「いや待て待て、それより俺の結果について何かないのかお前ら」
「そうだな。とは言ってもシンプルな容ではあるが」
ローゼによる嵐で忘れ去られた自分の結果だが、ロイド1人では飲み込めないので手伝ってしかった。 そこに、ルーガスがいつもの落ち著いた雰囲気を言葉に乗せて返してきた。
 
尊敬出來る父の聲にし冷靜になってルーガスを見る。
そこには普段通り冷靜な表を浮かべるルーガスがーー冷や汗をかいていた。
そのルーガスの奧には冷たい視線を送り続けるシルビアが。
「あなた?ローゼをロイドに押し付けるだなんて…」
「……すまない…」
大柄なルーガスが小さく見えた。
滅多に見れない父の姿だが、そんなに見たい姿ではなかった。
なんかもう々疲れてきたロイドは自分1人でこの結果を飲み込もうと鑑定石に目をやる。
まず、魔力量がおかしい。
フィンクの3倍以上ある。意味が分からない。
次に魔法適は全て0。そうかそうか、だからかー、と投げやりな気持ちで天を仰ぎたくなる。
ぐっとこらえてスキル。魔適?なにそれ?魔法適0じゃ意味ないやん。と思ったところで、ふと5年前に會った神様を思い出す。
――魔法と魔は効果は酷似してますが、全く違う技ですーー
おぉ、すっかり忘れていた。でも赤ちゃん生活や魔法が當たり前、魔なんて名前すら聞かない生活をしていた為、忘れてしまうのも無理はない。
てかあの神様の名前なんだっけ?と自分でフォロー?するロイド。アリアが知ったら拗ねてしまうだろう。
(そういえば、神さんも俺の魔力は比較的多いとか言ってたような気もするしな)
々思い出してきたロイドは、やっと飲み込めたようだ。
そして、それを踏まえて考える。
(魔力は多い。これは良いが、魔法が使えない。代わりといってはなんだが魔は使える。んでもって魔は古代の技。つまり……)
そう、習得方法がない。
いきなりどん詰まりのロイドは、改めて天を仰ぐのであった。
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