「……ここは」

目が覚めると、鈍痛も蘇ってくる。

「いっつ！」

変な夢を見ていた気がする。

容は覚えていないが、漠然と不愉快だったな気がしてならない。

「俺……勝ったのか？」

あの灰のオーガとの戦いこそ、夢だったのではないかと思えてくる。

「夢じゃない」

俺の手には、あの剣が握られていた。

優雅とは程遠い、戦うために鍛え上げられたであろう無骨な大剣が

周りの風景を見渡す。

死どころかなど一滴もないが、あの灰のオーガを殺した場所だと分かる。

○すぐに元の場所に戻りますか？

チョイスプレートが出現しており、そう表示されていたため、NOを選択。

時間は十八時を過ぎており、も限界。

今日はここで休もう。

灰のオーガに対し、手を合わせる。

「……戦士．Ｌｖ７？　なんで？」

チョイスプレートの端に、そう表記されていた。

オーガを倒した段階で５に上がっていたとしても、灰のオーガ一で２も上がったことになる。

「どれだけ格上だったんだよ……」

そんな格上を、剣無しで切り裂いたこの剣はなんなんだ？

名前は“グレートソード”。

地味というべきか、尊大と言うべきか。

「まあ、気にったよ」

“グレートソード”はメイン武になっていた。

”鉄の短剣”は損壊狀態と表示され、サブ武から外れている。

「”鉄の灣刀”は無くなっているけれど、短剣の方は修復可能って事かな？」

攻略本か攻略サイトがしい！

○Ｌｖ５になりました。サブ職業を一つ選択出來ます。

★大剣使い　★二刀流使い　★盾使い　★槍使い

★棒使い　★拳闘士　★弓使い　★斧使い

★鎌使い　★針使い

……盾使いを取ろうと思っていたら、なんか増えてる！

「……どうする」

大剣使いが魅力的だが、堅実を取るなら盾使いを選ぶべきか？

灰オーガとの戦闘で攻撃力不足を痛したばかりだからなー。

ただ、サブ職業は二つまでしか著けられない。

盜賊を著けずに探索するのは罠が怖いし、僧がないと致命的になっていたであろう場面がたくさんあった。

「今何を選んでも、どうせ使えないか」

針使いっていうのは気になるけれど、選ぶなら大剣使いか盾使いか。

「……悩む」

選ぶ基準が見いだせない！

「取り敢えず保留にするか」

獲得アイテムが次々と表示される。

グレートオーガの角、オーガの髪、グレートオーガのスキルカード、大剣使いのスキルカード。

あれ？　大剣使いのサブ職業と同じスキル、手にるんじゃね？

「二つのスキルカード……使ってみるかー？」

そう言えば、スキルって幾らでも獲得出來るの？　修得限界數とか無いの？

「……もし限界數があるのなら、修得したスキルを消す方法もあるはず」

じゃなきゃクソゲーだ。

命掛けさせられている時點でクソゲーか。

「使っちゃえ！」

○スキル“大剣”を修得しました。

「よし！　思った通り！」

○スキル“片手持ち”を修得しました。

「あれ？　二つ？」

大剣使いだと二つ手にるんだ。

他のよりも上位のサブ職業なのかな？

次にグレートオーガのスキルカードを使用する。

……いかにも強そうな名前だな。

○スキル“超頑強”を修得しました。

「防系のスキルか」

あいつ、異様にかったもんな。

「サブ職業も決めちゃうか」

もちろん盾使いを……なんか異様に惹かれるんだよな、針使い。

「攻撃も防も強化されたし、どうせ裝備出來ないし♪」

○サブ職業：針使いを手にれました。

やっちまったぜ！

○Ｌｖ６になりました。サブ職業の裝備數が３つになります。

――盾を選べば良かったーーーーーーーッ!!

「アホだ……俺」

○Ｌｖ７になりました。”無名のスキルカード”をプレゼントします。

「無名？」

調べてみても詳細が分からない。

ただ使用するかどうかしか出なかった。

「使わないで置こう」

一通り獲得アイテムなどを確認し終え、食事を始めた。

グレイウルフのに塩を掛けて、食べる！

「うまー!!」

ただ塩を掛けただけなのに、うめーよー!!

疲れているのもあるだろうけれど、やっぱり塩があるのとないのとじゃ大違いだ！

香辛料が金より高く取り引きされていたって話しを、今なら実できる！

「あのチケットで選んで良かった！」

食べはリストには無かったが、調味料だけは々選べた。

チケットはまだあるから、暫くは調味料に困る事は無い。

焼いて置いたグレイウルフのを、全て食べてしまう。

が貪に食糧を、を要求しているのが分かった。

「……寢るか」

腹が膨れたため、布にくるまって眠りにつく。

充足と寂しさが溶け合っていく。

★

「おし！」

大剣などのスキル確認も終わり、手にれていたも加工し、全ての準備は整った！

チョイスプレートを作してオーガと戦った場所に戻ってきた俺は、更に奧へと進む。

「なんか出た」

これまででもっとも煌びやかな空間に出たと思ったら、その中心にくなにかがいた。

「ブオォォォーーー」

金屬の人型ゴーレムって所か。

ゴーレムが接近して來る。

「行くぞ」

ブラウンの握りやすい柄と、太く黒い二メートルに屆く刀を持つ大剣、“グレートソード”を構える。

「針を試してみるか」

針使いによって使用可能になった武系スキル。

何故か、大剣でも使用可能なのだ！

「ブオォォォーーー」

「パワーニードル！」

一度だけ左に跳ぶフェイントをれ、ゴーレムの右を斜めに貫いた！

「あれ？」

――なんの抵抗も無く貫けたぞ？　凄くそうなのに。

「ブ……オォ……ォ……ォ……」

「へ？　終わり？」

ゴーレムがになっていく。

○特別ボーナス、オリハルコン、銀塊、金塊、アダマンタイト、ミスリルをプレゼントします。

「特別ボーナス？」

オリハルコンとか、なんか凄そうなのが手にっているんだけれど？

このゲームでのオリハルコンやアダマンタイトの位置づけは分からないが。

「まあ……良いか」

ボーナスらしいし、あのゴーレムは最初から弱く設定してあったんだろう。

更に奧へと進むと、道の脇に置かれている金貨の山が減っていく。

暫くすると金貨が無くなり、最初の頃の巖ばかりが並ぶ。

「うん？」

また分かれ道に出た。

けれど、チョイスプレートによる選択は出ない。

「どっちに進んでも良いのか？　いって！」

適當に右側を選んだら進めなかった。また明な壁だ。

「もしかして、ゴブリンロードの出口なのかな？　ならこっちか」

○金銀財寶ザックザク踏破特典。10000Ｇと、“買い取り一割アップの指”をプレゼント。

なんか、いきなりチョイスプレートが出現してプレゼントされた。

「取り敢えず、指は裝備しておくか」

“大地の盾の指”以外指は無いし、無いより良いだろう。

地味に能力の補正が掛かるかもしれないし。

鎧を裝備する前としたあとでは、能力が大分上がっている気がするしな。

その辺の補助効果がよく分からないのが痛い。

…………買い取りアップって事は、買い出來る場所がどこかにあるんですね。

お金はどこで使うのかと思っていたけれど、これはつまり、どこかで商売をしている人間が居ることになる。

いや、人間とは限らないのか。

「むしろ、人間じゃない方が面倒にならないかも」

人間には會いたくないし。

そう思う一方で、久し振りに誰かと話をしてみたいと考えている自分がいた。

◇◇◇

『……ゴージャスゴーレムを一撃？』

おかしいな。魔法攻撃には弱いけれど、理防にはかなり……なる程。針をあの強力な剣で放ったわけですか。

針の威力は低いですが、貫通効果を持つ針をあの剣で放ったのであれば、この結果にも納得がいきますね。

時間を掛ければ魔法攻撃手段が無くても倒せる設定にしていたとはいえ、一撃とは。

『盜がなければ手にらないサブ職業、針使い……』

これまで手にれたスキルや武も、彼に合っているばかり。

『ゴブリンロードの方を選んでいれば、鉄の武よりも強力なが々手にったのですが……』

あちらには”グレートソード”程強力な武は無く、”偉大なる英雄の鎧”を見付けていなければそもそもグレートオーガのイベントは起きない仕掛けだった。

やはりコセ様は當たりだ！

『決めましたよ。私・が・提・供・す・る・主・人・公・は・貴・方・に・し・ま・す・!!』

何人か候補は居ましたが、貴方が一番面白い！

『私が、人気ナンバー１提供者になるために、頑張ってくださいね、コセ様!!』