《たった一つの願いを葉えるために》想い

翌朝、日が登り始めたごろに起きて通りがかったメイドさんに庭に出ていいか聞き、木剣を持って庭に出る。

「おはようございます、早いですねテルさん」

「や!ミッシェルこそ早いな」

軽い準備運して、木剣の素振りをしていると、ミッシェルがきた。

「朝は、鍛錬が日課なんです。と言っても、テルさんに助けてもらったあの日は疲れて起きれなかったんですが」

「まぁ、あの時は仕方がないよ。神的にも的にもかなりの疲労があったはずだから」

「そうですね。そういえば、テルさんって剣も使うんですか?」

「ああ、使うよ」

「魔法もあれだけ使えるのに、剣も使えるなんて」

「俺にとっては、むしろ剣の方が使い慣れてるな」

「凄すぎますよ。…あの、お願いがあるんです」

「なに?」

「私はもっと強くなりたいんです。だから、私に稽古をつけてくれませんか?」

「…どうして君は強くなりたいの?」

「私には、親がいません。孤児の私をグラン様を拾って育てて下さいました。ディレーネ様は、らしさ教えて下さいました。お嬢様は、わがままでお転婆ですが、一緒に笑って、泣いて、怒って、分が違いすぎますが私は、お嬢様を姉妹のように、友のようにじているのです。レイルリット家の方たちは、こんな私を本當の家族のようにしてくれる。その方たちを守りたいと思ったんです」

嬉しさや照れている言葉の中に悔しさが滲み、ミッシェルの瞳から涙が溢れてくる。

「ですが襲われたあの時、私はお嬢様を守り切れなかった。守ると誓ったはずの大切な人をあなたが來てくれなければ、失うところでした。だから、私は強くなりたい。今度こそ守れるように。自分の無力さに嘆くことがないように」

涙を流しながら語った想いは、獨白のようだった。

…ああ、眩しいな。

家族を失った時、俺も同じことを誓った。大切な人を失わないように、今度こそ助けられるようにと。

……だが、その誓いを守れなかった。大切な人がばした手をつかむことができなかった。

せめて、この子が俺とは違う道を歩めることを祈ろう。

「いいよ、君が強くなれるよう稽古をつけてあげる」

「ありがとうございます!」

「さあ、剣を構えて。実戦の中で君を鍛えていく」

「はい!」

◆ ◇ ◇ ◇

「よし、とりあえずここまで」

「はぁ、はぁ、はぁ、…はい」

朝の鍛錬を終え、汗を流した後著替え食堂に向かう。ミッシェルはすでに來ていた。

「おはようございます、テルさん」

「おはよう、テル」

「おはよう、テルくん」

「おはようございます。アリス、グランさん、ディレーネさん」

「さて、みんな揃ったし朝食にしよう」

朝食を食べる。獻立は、白いパンにベーコン、サラダ、スープだ。黒いパンと違って白いパンはらかかった。

「皆、今日の予定は?」

「私は、王宮で仕事よ」

「私は、テルさんについて行こうかと」

「アリスは、學園の課題やったのか?」

「う、いえ、やってないです」

「では、それをやりなさい」

「…わかりました」

「俺は、商業ギルドに行った後、教會に行こうかと」

「教會?なんだ、テルは神を信仰しているのか?」

「いえ、そういうわけじゃないですけど」

「…ミッシェルはどうする?」

「私は、テルさんに町の案をしようかと」

「いいのか?じゃあ、案頼むよ」

「はい」

「私も公務があるし、また夕食にだな」

「え、俺は今日、宿をついでに探そうかと思ってるんですけど」

「何を言ってるのだ、テルよ?」

「え?」

「そうよ、テルくん。しばらくここにいていいって言ったじゃない」

「あれ、本気だったんですか」

「いいじゃないですか、テルさん。宿だと無駄にお金もかかりますし、私またテルさんの料理食べたいです」

「テルの料理だと?」

「あら、テルくん、料理できるの?」

「ええまあ、それなりに」

「テルさんの料理ってすごいんですよ!見たこともない上に、すごく味しいんです!」

「そんなにか」

「それは気になるわね」

「テル、夕食を作ってはくれないか?」

「口に合うかわかりませんが、一杯作らせて頂きます」

「よし、では私は仕事に取り掛かろうか」

「私も王城に行ってきます」

「テルさん、私たちも行きましょうか」

「そうだね、アリスも課題頑張れよ」

「ああ、私も一緒に行きたかったです」

何かうまく話を逸らされたが、自分の家を買うまでは泊まらせてもらおう。

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