開店の準備を終わらせ、屋敷に戻ってきた俺はグランさんと夕食をとっていた。

「アリスたちはどうしたんですか？」

「今、王城の方に用があってそっちに居る。しばらく戻れないだろうな」

グランさんは一瞬悲しそうな表をしたが、すぐに普段の表に戻った。

何かあったのか？し気になるがあまり詮索はしない方がいいな。

「そうですか」

「そういえば店の方はどうだ？」

「今日開店の準備が終わったので、明日から始めようかと」

「それは良かった。そういえば何を売るのだ？」

「武や防、薬品類ですかね」

「意外だな」

「意外ですか？」

「ああ、あれだけの料理の腕があるのだから料理屋でも開くのかと思っていたぞ」

「それも考えたんですけど、のんびりするつもりなんでやめました」

「そうか。武や防、ポーションのランクはどれくらいなんだ？」

「普通（ノーマル）から希（レア）くらいで、いくつか特質（ユニーク）も販売するつもりです。ポーションは下級から中級です」

「そうか。鍛冶師や薬師としのスキルも持っておるのか。多才だな」

「スキルレベルがどれも1なんでたいしたものは作れませんけどね」

基本的にスキルはレベルに依存する。その人によってスキルの獲得までの時間、スキルレベルのび合も変わってくる。普通の人がレベル1で鍛冶をすれば、普通級（ノーマル）、稀に悪級（バッド）になるだろう。

スキルは極めた時ランクアップすることができる。例えば、［剣］は［剣豪］に、［鍛冶］は［上級鍛冶］になることができる。ただ、ランクアップは奇跡に近いところがある。単に才能があるだけではランクアップはできないし、その方法も人それぞれなのだ。

「ふむ。まぁ、何か困ったことがあれば頼りなさい」

グランさんは、し苦笑したように言った。

そのことに心首をかしげるが、気にしないことにした。

「ありがとうございます」

◇ ◆ ◇ ◇

side.？？？

4本のロウソクの燈りが照らす薄暗い部屋の中で、地面に描かれた淡いを帯びた魔法陣の側に立つ男がいた。

「ふふ、いいぞ。この調子だ。あとしで門が開く」

男が注ぐ魔力によってその魔法陣は起していた。しかし、魔法陣がを帯びているのは別の要因だった。

「しかし計畫のためとはいえ、々きすぎたか。計畫が表沙汰になるのは、いざとなればあれ（・・）があるが々不都合があるな」

し顔を歪めながら呟いた。

「とはいえ、あちらの計畫があと2、3日で完了する。こんな心配もいらないか」

計畫の功を夢想して、男は顔に笑みを作る。

魔法陣の淡いが、男の昏い瞳を照らす。

そんな魔法陣の中央ではそれ（・・）が徐々に灰と化していくにつれて、魔法陣がを失ってく。

完全に輝きを失った魔法陣に男は特に興味も無さそうに完全に灰となったそれを一瞥し、部屋を去っていった。