文化祭の準備が長引き、さらに足りないを買っていて気づくと9時過ぎだった。

優人は急いで家に帰って謝る準備をした。

「ごめん！遅くなった！」

そこには、怒った表の菜が待っていた。

「…」

「ごめん。」

「…」

菜は無言で優人のカバンを取り、部屋へ向かった。

「なぁ、悪かった。遅くなって。」

「…」

菜はまだ無言だ。やはり怒っているのだろうか。

「今日、文化祭の準備やらされてさ…」

「…日か…る？」

「え？」

「今日、何の日か分かる？」

今日…何の日だっけ？誕生日？それは違うな。

「結婚記念日！忘れたの?!」

「あ〜…そうそう！」

「忘れたんだ。」

部屋の隅には、包みが置いてあった。

そう言えば、林間學校で潰れた結婚記念日をずらして今日に祝おうと約束していたのだ。

多分、ずっと口にはしていなかったが楽しみにしていたのだろう。

「ごめん。」

「私より仕事なんだ。別にいいけど。」

菜は泣きそうだった。必死にこらえて風呂場へ消えてしまった。

「正直、忘れてた！ごめん！この埋め合わせは…」

「うるさい！」

菜は桶を投げつけて扉を閉めてしまった。

優人は菜の機嫌を良くする為に何でも出來る事はしたが、駄目だった。

「菜、おやすみ。」

「…」

最後の足掻きに、後ろから菜を抱きしめた。

「ちょっと?!」

「今日はごめん。今度、どこか出掛けよう。」

「今更遅いし。」

でも菜は優人が服に手を掛けても抵抗しなかった。

やっぱり本當に嫌ってはいないのだ。

「するの？」

「嫌ならやめるよ。」

「まだいやだ。」

キッと睨んでに飛び込んできた。

「文化祭。」

「うん？」

「文化祭、見せて。私行くから。」

まさかの、今回の原因となった文化祭へ菜を招待する事が仲直りの條件らしい。

「分かった。」

「今度こそ約束ね。」

菜は一瞬笑みを見せたかと思ったが、また怒った表に戻った。

多分、文化祭當日まではこのままだろう。

to be continued…